アメリカを分断する右派と左派の深い溝。それは「すべて右派のせいである」

アメリカを分断する右派と左派の深い溝。それは「すべて右派のせいである」


 「昨今のアメリカにおける右派と左派の深い対立の責任は双方に同等にある」というのが多くの評論家の意見だが、ルイジアナ州立大学法学部准教授ケン・レヴィー(Ken Levy)氏は「それは違う、全て右派のせいだ」と言い切っている。
 その理由は例えば保守系TVキャスターやラジオ・パーソナリティーは論理的な議論は一切せず、相手の言葉を遮り、怒鳴りつけ、「フェミナチ(造語:フェミニスト+ナチ)」、「リブタード(造語:リベラル+うすのろ)」、「エリート主義」などの軽蔑的な言葉を使って見下し、相手の人格や目的を攻撃する。それだけでなく右派コメンテーターや白人至上主義者は堂々と非白人、イスラム教、左派を攻撃する。彼らの過激で毒のあるこうした言葉や考え方は論理的でないため、左派はさらに苛立つという見解だ。
 一見すると責任を片方だけに押し付けているような論旨だが、記事の最後に引用しているマーティン・ルーサー・キング牧師の言葉、「左派は緊張を生み出しているのではない。我々はすでに存在する隠れた問題を明るみに出して、それに取り組もうとしているのだ……」に筆者の意図があるようだ。溝が深くなり過ぎたように見えるアメリカの右翼と左翼。解決への糸口はあるのか? 

出典『Bill Moyers & Company』
元記事「Sorry, But It’s Entirely the Right’s Fault」:http://billmoyers.com/story/sorry-entirely-rights-fault/

RED: もちろん、すべて右派のせいだ。これだけを除けば
「Of course it's all the Right's fault, well everything except for this」

 この記事は、現在のアメリカの険悪な政治情勢の責任は右派が用いる辛辣な表現にあるという、非常に貧しい主張を試みている。筆者のケン・レヴィー氏は、数々の主張の中でこう述べている。「トランプのアメリカでは、右派こそが(左派ではない)相手を嫌悪(ヘイト)している」。本当だろうか? お言葉を返すようだが、「ヘイト」という言葉のコレクションをここに贈ろう。もちろん全て右派の責任だ。ただし、次のことを除いて。
 今年4月、左翼の大学教授エリック・クラントンはトランプ支持者の頭を自転車のロックで殴りつけ、凶器による暴行の罪で逮捕された。同月、左翼グループANTIFAのメンバーがジョージタウン大学で、保守系レポーターのジャック・ポソビッツ氏を激しく攻撃して逮捕された。5月には左翼グループANTIFAのメンバーがマサチューセッツ州の「ボストン言論の自由」デモで、ジャーナリストのティム・プール氏に暴力を働き、左翼グループANTIFAのメンバー4人がカリフォルニア州ハンティントンビーチで64歳のトランプ支持者を攻撃し、暴行罪で逮捕された。そして6月には、左翼政治家バーニー・サンダースの支持者が、野球練習中の共和党議員を暗殺しようとして7人に重軽傷を負わせた。左派連中は全てを他人のせいにするのではなく、問題は自分たちにもあることに気付く時だろう。


BLUE:狂気の沙汰はもう止めろ
「Stop the Madness」

 リベラル派が求めているものは、きれいな空気と水。子供たちが学校で襲撃されず、若い女子学生が構内で安心していられる学習環境。破産する心配やホームレスになる心配をせずに、誰もが必要な医療を受けられること。家族、友人、近所の白人もそうでない人も、お金持ちでない人も、みんなが平等に平和に共存できる社会である。
 右派と同様に我々も、平和的な抗議デモを壊す愚か者たちには刑務所に行って欲しいと思っている。しかし、何よりも我々は、右派の政治家たちに偽善をやめて欲しいと願っている。大企業の手先ではない振りをするのはやめて欲しいし、右派だけの利益になるように法律を変えようとすることを辞めて欲しい。我々は政府に「アメリカ人の利益になるように働いて欲しい」だけなのだ。すべてのアメリカ人のために。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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