「Howdy!」使える?!テキサス式のごあいさつ。TPOにあった挨拶方法とは?

「Howdy!」使える?!テキサス式のごあいさつ。TPOにあった挨拶方法とは?


 「Howdy! (ハウディ!)」
 おそらく英語の教科書には載っていないこの単語、皆さんはどういう意味かご存知だろうか? 実はこれ、私も主人と知り合ったばかりの頃には、人にこれを言われてもどう答えていいかわからず、かなり戸惑った。

 Howdyは1680年にイングランド南部の方言として記録されたのが最初らしい(※1)。意味は「はじめまして」を意味する”How do you do”が簡略されたものだとされている(ちなみに今は”How do you do”は、ほとんど死語である)。

 今日ではアメリカ南部の一部、特にテキサス州でよく耳にする言葉として残っている。米国内ではカウボーイが使う言葉だという印象が強いが、実際にテキサスに行くと、これを使っているのはカウボーイだけではないことが分かる。うちの主人もカウボーイには縁のない環境で育った"テキサス人"だが、やはりHowdyを好んで使う。アーカンソー育ちのご近所さんもたまにHowdy!と挨拶してくるので、「テキサスだけ」、「カウボーイだけ」が使用するわけではないようだ。

 “Howdy!” は実際には”Hi!”のように、カジュアルな挨拶に使う場合が多い。従って、”Howdy!”と挨拶されたら、”Howdy!”と返すか、そう答えることに違和感があるならば、”Hi!”と返しても構わない。挨拶はもちろん「微笑みながら」が南部の基本。ちなみにテキサス州にあるテキサスA&M大学では、この言葉が学校の公式挨拶だそうだ。

 前回、サザン・ホスピタリティーは、日本でいう「おもてなしの心」だという話をした。私の経験上、バイブルベルトに住む敬虔なクリスチャン達は、特に穏やかに人の話を聞き、人に丁寧に接する礼儀正しい人が多い。だからサザン・ホスピタリティーが「クリスチャン・ホスピタリティー」に影響されたものと考えるのも自然だと感じる。こうした「おもてなし」の心ある姿勢は、言葉の選び方にも表れている。

 例えば南部では、人を呼ぶ時や呼び止める時に、知らない人には“Hey”ではなく、それよりもずっと丁寧な”Excuse me”、もしくは南部らしく、相手が男性ならば敬称の”sir”(サー)、女性であれば”ma'am” (マァム)を付けて、”Excuse me, sir/ma’am”と声を掛ける(”sir/ma’am”と敬称だけの声掛けも通用する)。
「ありがとう」と言う時も、”Thank you sir/ma'am.” 単に「はい」や「いいえ」と答える場合も、”Yes/ No, sir/ma'am”と言う。これをしっかり使うと、南部では「きちんとした人」という印象を持たれる(ただし、これは南部的な表現なので、南部以外で年上の女性に”ma'am”を使うと、「おばさん扱いされた!」と鼻息を荒くする方もいらっしゃるので気をつけよう)。

 キリスト教の背景から強く影響を受けて使われている言葉は他にもある。白人や黒人という人種を問わず、アメリカでは一般的な表現に、”Bless you”(ブレス・ユー)というフレーズがある。このフレーズを聞いたことがある人は多いだろうが、アメリカでは、これはクシャミをした人にかける言葉として知られている。正確には”God bless you”(あなたに神のご加護がありますように)という意味だが、実際に使っているニュアンスは「お大事にね」という感じだ。スーパーやデパートで買い物中にクシャミをすると、そばにいる人は、それが知らない人でも”Bless you”と声を掛けてくれる。ここまでは、アメリカならどの州でも同じだろうが、知らない人から声を掛けられた後に、「Thank you! 私、花粉症で…」などと会話が始まるのは南部ならではだろう。

 その他にも面白いのは、俗にいう「Fワード(直接的な表記がはばかられる言葉)」の南部版だ。アメリカでは良くも悪くもビックリした時に”F**k”という単語を連発する人がいる。そんな中でも”What the F**k!”という表現はとてもよく使われるフレーズだが、南部ではFワードを使うことを避けて、”What in the world!”や”What on earth!”と表現するのが一般的。ムカついた時に出るような「ちくしょう!」という意味を持つ、”God da*n it!”は、”Good night!”と言い換えられ、失敗したときや悔しいときに出てしまう「クソッ!」という表現を表す”Sh*t!”は、似た感じを持つ”Shoot!”に言い換えられるように、攻撃的だと取られるような品の悪い単語は使わず、言い換えて表現するのが南部流だ。

 言葉使いに気をつけている人達にとって、悪い言葉使いは遠くに聞こえるだけでも気分を害するもの。これは日本語でも同じではないだろうか? 特に子供達のいる場所では悪い言葉は使うべきではないし、南部におけるその辺の気配りは徹底している印象がある。

 なぜか、悪い言葉というものは、どんな言語においても真っ先に覚えやすいものだ。特に若い時には、悪ぶった言葉使いの方がカッコイイと思ってしまう節もあるだろう。しかし、ビジネスシーンや義父母の前など、ふとした時に無意識に悪い言葉が出てしまったら、後の祭りだ。場合によっては取り返しがつかない事にもなりかねないので、普段から気をつけたい。最初から使わないこと、いや、知らないことが一番かも?(笑)

追伸:上記のFワード関連にあげた単語の**部分はご自身でお調べあれ!
※1 https://en.m.wikipedia.org/wiki/Howdy

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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