プーチン大統領へのトランプ大統領の敬愛は不変。そのほかすべては意味不明

プーチン大統領へのトランプ大統領の敬愛は不変。そのほかすべては意味不明

元記事『West Virginia resident creates 'Run The Rock 2020' campaign committee』:https://goo.gl/o6QrRm


 今月7日にドイツで開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議の前日、ポーランドのワルシャワを訪問したトランプ大統領は、会議の席で米大統領選中におけるクリントン陣営のメール・ハッキング問題について聞かれ、「ロシアだと思う。でもたぶん他の国かもしれない。確かなことは誰にもわからない」と言い、それとは関係ない話題を持ち出したり、オバマ大統領に責任を押し付けたりと理解に苦しむ回答をしたと、『USA Today』紙の記者が指摘。さらに同記事では、ワルシャワで行われた大統領の野外演説の内容に触れて、そのひとつひとつがこれまでの大統領の発言と矛盾していると、例を挙げて解説。トランプ大統領の言うことはすべてにおいて一貫性がなく、「唯一、プーチン大統領に対する敬愛だけは不変だ」と結んでいる。
 今月11日にはトランプ大統領の長男が、大統領選挙中にロシア政府からトランプを応援するための情報を提供したいとの申し出を受けたことが判明し、トランプ陣営とロシア政府との疑惑は深まるばかり。さてRedとBlueはこの記事をどう受け取るか?

出典『USA Today』
元記事「Trump's admiration for Putin is constant. Everything else is gibberish」:
https://www.usatoday.com/story/opinion/2017/07/09/trump-admires-putin-everything-else-gibberish-max-boot-column/462836001/

RED: またもや『USA トゥデイ』のたわ言
"USA Today—Constant Gibberish"

 なんとナンセンスで堪え難い記事だろう。これを書いたマックス・ブートという男はトランプ大統領について苦情を言いたいだけのようだ。好きなことを書けて、よかったな。なぜ、この記事が編集者のチェックを通過できたのかは謎だが、記事の問題点は複数ある。大統領選に関するロシアのハッキングについては、トランプ大統領は明確に、こう発言している。

 「ロシアだと思う、しかし、もしかしたら他の人か、あるいは他の国かもしれない。私はこれが間違った表明ではないと思う。誰も本当のことを知らない。誰も本当に確かには知らないのだ」

 大統領は様々な理由から注意深く、「知っている」という言葉ではなく「思う」という言葉を使っている。なぜか?(1)アメリカを標的にしたロシア政府によるハッキングは、いかなるものでも戦争行為とみなされ得る。(2)インターネット攻撃の本当の攻撃元を突き止めるのは難しい。アメリカの情報ネットワークを堂々と攻撃できるだけの洗練されたレベルのハッカーは、自宅のパソコンからインターネットに接続するようなことはしない。彼らは何十という異なるウェブサイト、異なる国から攻撃しており、出どころを決定するのは難しい。(3)米国の情報ネットワークは明確に「ロシアにハッキング」されたわけではない。ヒラリー・クリントン陣営内部の電子メールはメディアに漏れたのだ。ジョン・ポデスタ選挙対策本部長のメールアカウントが何らかの理由で漏洩し、それを民主党全国委員会の内部の者が漏らしたか、ヒラリー陣営が漏らしたか、あるいは両方であろう。

 アメリカのメディアはドナルド・トランプを好きではないかもしれないが、一度くらいは正直な報道を見てみたいものである。


BLUE:トランプのプーチンに対する敬愛は恥ずかしく、しかも危険だ
"Trump's Admiration for Putin Is Embarrassing and Dangerous"
 トランプとプーチンがG20会議の際に、ロシア人の通訳だけが同席した2回目のミーティングを持ったことが報道されたが、トランプがロシアの大統領に魅了されているのは否定しようがない。記事では、2度目の会談は1時間にわたったと伝えているが、ホワイトハウスは「ちょっと話しただけ」と言っている。2人は同日に2時間以上も話し合った後に、もう一度、話し合いの場を持ったのに、だ。

 ホワイトハウスがトランプとプーチンの関わりを「控えめに扱う必要性」を感じている事実は、私たちが知るべきすべてを物語っている。もし、2人の会話がアメリカにとって有益なものであれば、すでにその内容が発表されているはずだ。しかし実際にはトランプは、ロシアと共同の新しいサイバーセキュリティー組織を作るという馬鹿げたプランを、2日後にはあっさりと撤回した。

 オバマ政権下の元国防長官によると、ロシアとの共同サイバーセキュリティーなどというアイデアは、「自分の家に入った泥棒に、強盗に関する専門調査委員会を一緒に作ろうと提案しているようなもの」だそうだ。2度のミーティングにもかかわらず(それを報道したメディアにはまた悪態をついたが)、どうやら何事も達成しなかったことこそが、トランプにできる最高のことだったようだ。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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