世界に逆行する米環境保護局。気候科学に挑戦する発議案に着手

世界に逆行する米環境保護局。気候科学に挑戦する発議案に着手


 気候変動論に懐疑的なことで知られるプルイット米環境保護局長官が、現在の科学者の大半が支持している気候変動説に挑戦する発議案に着手した。その中には気候科学研究の専門家を赤チームと青チームに分け、議論をさせるという案が含まれている。
 プルイット氏が長官を務める環境保護局(EPA)は、地球の気候変動は人間が作り出す二酸化炭素が主要因として、同局の規制はそれに基づいて制定されており、同長官は就任前の議会審問で、EPAによる危険性の認定については一切変更を加えないと宣誓している。しかし今回の動きは宣誓とは逆行するものに見える。環境団体を始め関係者は、長官の動きを注視している。環境問題に関するRedとBlueの見解は?

出典『Talking Points Memo/TPM』
元記事「Pruitt Is Reportedly Starting an EPA Initiative to Challenge Climate Science」:http://talkingpointsmemo.com/livewire/pruitt-epa-climate-science-critique

RED:気候変動の主因が人間という証拠より、キリストが存在した証拠の方が多い
“There is more evidence for the existence of Jesus Christ than there is for Man Made Climate Change.”

 この記事はゴミだ。目的はドナルド・トランプの新しいEPA長官が「気候変動否定者」だと言いたいだけ。人を「気候変動否定者」と呼ぶのは侮辱であり中傷であり、地球温暖化の狂信的信者が用いる軽蔑語だ。

 一体いつから、貧しい論理に懐疑的な者に対し、自動的に「否定者」と呼ぶようになったのだ? 2つだけ要点を言おう。気候温暖化を提唱する者は、地球温暖化の原因は、人間によって作り出された産業にある——具体的にいうと“温室効果”という仮説のもと人間の活動で排出される二酸化炭素が地球を温めている、と信じている。まったくのナンセンスだ。以前にも言ったが、1990年代に採取した南極のボストーク湖氷床コアで、過去何百、何千年の地球の歴史について分析した結果、二酸化炭素の増加は常に地球の気温が上昇した後に起こっており、前ではないことが、決定的に証明されている。

 地球温暖化の発想は空想科学にすぎない。それと対照的に、世の中にはイエス・キリストが地上に実在したという第一目撃者による証言は文字通り何百(もし何千でないとしたら)もある。さらにいうなら、世の中には自分は神の子であると言うような男を熱心に信じる信者が何十億人もいる。これから我々は、地球温暖化を信じる者を“神否定者”と呼んで侮辱しようか? もちろんそんなことはしない。薄弱な証拠と空想科学的論理に基づいた地球温暖化熱狂者が、反対意見の者に「否定者」というレッテルを貼って侮辱してよいはずがない。やめないなら、私はやつらに「ばか」というレッテルを貼ってやろうかと思う。


BLUE:環境のトップが現実に挑む議案をスタートした
”Environment Boss Is Starting an Initiative to Challenge Reality”

 石油と石炭会社が金を払って雇った科学者が、石油も石炭も環境にはなにも悪影響を与えないという調査レポートを作ったことは、秘密でもなんでもない。事実が気に入らないなら、自分たちのビジネスに都合のよいことを書いてくれる人を雇って、その条件に同意するものを作らせたらいい!という、ひどいやり方だ。

 スコット・プルイットが気候変動について異なる筋書きを作ろうとしているのもこれと同じだ。いや、これよりもっと悪い。一企業が世間を欺こうとするのも十分に悪いことだが、それを国家公務員がやるとなると、一企業よりはるかに悪い。プルイットをはじめとする国家公務員の給料は、我々アメリカ市民が払っているのだから、彼らは国にとっての最善を尽くすために働くべきであり、それを市民が信頼できるようにするべきだ。

 アメリカ人と世界にとって非常に残念なことに、スコット・プルイットは我々を説得するために、恐竜エネルギー(石油)会社にとって都合の良い、新しい事実を作り出す人材を雇おうとしている。もしプルイットが本当にアメリカのために働くのであれば、彼は再生可能エネルギーへの投資を推し進めるはずだ。そうなれば炭鉱労働者はトランプが約束した炭鉱の再始動を待ち続けるのではなく、ソーラーパネルや風力発電所を作る仕事とお金を手に入れられるのだが。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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