サウスカロライナ州議事堂に南部連合旗。反対派が抗議

サウスカロライナ州議事堂に南部連合旗。反対派が抗議


 アメリカの奴隷制が廃止されたのは150年前。南北戦争というアメリカを二分する国内戦争の結果だ。当時の南部連合軍(南軍)の旗は、現在でもアメリカ南部の多くの白人にとって誇りの象徴でもあるが、その他の人にとっては人種差別(奴隷制度)のシンボルと、とらえられる事も多い。

 昨今、南部の各州で、その南軍旗や南北戦争関連の記念碑が公の場から撤去される動きが起きている。引き金となったのは、2年前にサウスカロライナ州チャールストンのアフリカ系アメリカ人教会で、9人の黒人が人種差別者によって射殺された事件だ。事件の後、州議会によって南軍旗の撤去が決定し、議事堂の屋根から取り除かれた。その後、撤去対象が南北戦争記念碑全般に及び、ニューオーリンズ、バージニア州リッチモンド市、ノーフォーク市などの各地で将軍像などを撤去する動きが起こっている。

 今年7月10日、サウスカロライナ州議事堂前で2年前の軍旗撤去の記念式典が南軍旗支持者によって開催され、旗が持ち込まれた。同式典は同時に、南部各州における記念碑撤去への抗議運動でもあったことから、反対する多くの人々が参加して両者の間で激しい応酬が交わされた。

 アメリカの歴史を語る上で避けて通れない南北戦争と奴隷制度について、RedとBlueはどう見るのか?

出典『NBC News』
元記事「Confederate Flag Raised at South Carolina Statehouse in Protest by Secessionist Party」:
http://www.nbcnews.com/news/us-news/confederate-flag-rises-south-carolina-statehouse-protest-secessionist-party-n781331

RED: 好むと好まざるに関わらず、アメリカが南北戦争を戦ったのは事実だ
"Like it or not the U.S. Fought a Civil War"

 これに関しては明記すべきことが4つある。まず、アメリカ合衆国で1861年から1865年にかけて戦われた南北戦争は、主に奴隷制度の制定に関連していること。次に、この戦争は奴隷制を容認する民主党と、奴隷制廃止を主張する北部の共和党の間で戦われたこと。3番目に、南部連合の旗「The Stars and Bars(星と線)」はアメリカ連合国(注:アメリカ合衆国から分離して独立を宣言した南部諸州によって1861年に設立され、南北戦争終了の1865年に消滅)の国旗ではなく、南軍が用いた軍旗であること。4番目は、南軍の兵士の大半は奴隷の持ち主ではなく、北部アメリカ連邦軍と戦うために南部の州から集められたボランティアだった。

 これらのことから私が言いたいのは、流血の分断と、外部と内部の双方の脅威から国を守るために命をかけたアメリカ人のことを、決して忘れるべきではないということだ。南部連合軍の旗は歴史の一部である。それを嫌だと思う人もいるだろうが、これは国が形成される長い流れの一環なのだ。それによって不快な思いをする人がいるというだけの理由で、それを取り除いたり、消し去ろうとするのは、その後に起こったすべてのことに対して失礼だ。

 例えば、第二次世界大戦中に日系アメリカ人とドイツ系アメリカ人が、アメリカ政府によって強制収容された歴史を、75年後の今になって知った誰かが不快な思いをしたという理由で、アメリカは削除したりはしない。それはまったくのナンセンスだ。アメリカの歴史は過去の素晴らしい出来事と時にして発生し得る悲劇の双方の証しとなるものだ。そのどれであっても消してしまうことは(たとえ南軍旗であっても)、人としての自分たちを忘れることに等しい。


BLUE:南北戦争は250年前の出来事
"The Civil War Was Fought 250 Years Ago"

 南軍旗がアメリカの奴隷制の歴史の象徴であることは、紛れもない事実だ。それがある人々にとっては——多くの南部の人々が強く感じるように——、過去のアメリカに郷愁を感じさせるものとして映るというのは残念なことだ。

 しかし、どんなに一部の人たちが南北戦争の英雄的な物語だけを覚えておきたいと思っても、どんなに南北戦争は奴隷制度のためではないと信じようとしても、事実は、北部は奴隷制を廃止しようとし、南部はそれを望まなかったのだ。歴史と世論は、南軍旗は恥ずべきアメリカの奴隷制の歴史と決して切り離せないものであり、どんなに強い過去への郷愁も、アメリカ人がアフリカの市民をさらって来て、奴隷として彼らを拘束した事実は消すことができない。どんなに南軍旗がそのファンにとって重要であるにしても、歴史博物館以外の公的な場所に設置するのは、ふさわしくないだろう。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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