トランプ政権、起業家ビザ凍結。移民起業家はカナダへ企業移転を検討

トランプ政権、起業家ビザ凍結。移民起業家はカナダへ企業移転を検討

引用元『'Startup Visa' program delayed, impacts startups』:https://goo.gl/kApWHz


 トランプ政権が今月17日に発効予定だった「国際起業家に関する規則」(以下IER)の先延ばしを決定したニュースは、アメリカで起業を予定している多くの起業家たちに動揺を与えている。

 IERとは、外国人の起業家に米国への入国滞在ビザ(通称スタートアップ・ビザ)を優先的に許可する法律で、昨年、任期終了直前のオバマ前大統領が、議会の承認を経ずに大統領令として署名した。しかし今年1月、トランプ大統領が就任直後に発表した「移民に関する大統領令」を受けて、米国国土安全保障省は現在もIERの見直しをおこなっている。

 この影響を受けているスタートアップ企業のひとつが、移民を含む4人の女性起業家で創業したシアトルの「ナスティー社」だ。同社はエスプレッソ入りのチャイティー「ダーティ・チャイ」を製造している。
 共同創業者のひとり、ミニー・ユアン氏は、このIERに応募するために準備を進めてきた。移民起業家として25万ドル以上の投資を集め、経済的影響力と雇用創出力があることを示せば、30カ月間のスタートアップ・ビザが許可されるはずだったが、IERが適用されなければ、ユアン氏のビザは来年6月で切れてしまう。 
 「このニュースに打ちのめされました。米国に残って、パートナー達とこの会社を育てていきたい。本当にショックです」と話すユアン氏と、他の共同創業者、キャシー・チュアン、カリン・ソヤマ、エイミー・シェーの三氏は、ワシントン大学フォスター経営大学院のアントレプレナーシップ・プログラム(起業家プログラム)で出会った。4人は今、カナダへ企業を移転することも視野に入れつつ、会社としてとるべき道を探っている。

 ナスティー社の法律顧問で、スタートアップ・ビザに関する著作もある移民弁護士ターミナ・ワトソン氏は、同省がIERの廃止を求める世論を採用してしまうかもしれないと危惧している。同氏によれば、財源を圧迫する存在として同省が除外対象に加えたIER候補者は、年間3,000人相当にのぼる。同弁護士は「それではアメリカは、イノベーションにおける国際指導力を失ってしまう」とコメントしている。

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