投資はクリベッジに通じる

投資はクリベッジに通じる


 私は教育者であり、投資家でもあるが、今の私をここまで導いてくれたのは、よい師やメンターたちに巡り合ったからだ。彼らが厳しさと優しさを持って導いてくれ、技術や知識だけでなく、精神も鍛えてくれた。

 「クリベッジ」というトランプのゲームがある。17世紀頃にイギリスで誕生したらしいが、アメリカ海軍の間で流行し、今日でもイギリスやアメリカで盛んなカードゲームだ。ルールは独特で、勝負は運の強さにもよるが、技術や知識には「型=公式」があり、それがかなり反映される。パターンを統計化して学び、何度も根気よくゲームを繰り返して習得していくのだ。私には子供の頃から、このゲームの素晴らしい「師」がいた。私の父だ。このゲームを通して、人生に必要な様々なことを学んだと思っている。

 投資の世界を知ったのは、そうとう大人になってからだが、私の場合は、自己流の投資を試した後、統計を教わった恩師と呼べる人物に出会った。最初の頃、その恩師が私に繰り返して言ったことは、父が幼い日の私に言っていたことと同じだった。投資の基本は、クリベッジと同様に「型を学ぶ」ことが大前提だった。自分が子供の頃から学んでいたことと、投資の基本が同じだと気づいた時には驚いた。

 何事にも通じるが、何かを学ぶために入門を考えるとき、自分に合う「流派」や「技の種類」を見極めるのは大事だ。人生の限られた時間の中では、すべてを試すことはできないので、効率をよくするためにも、それぞれの人生の目標、性格、ライフスタイルなどをじっくり考えてみることをお勧めする。

 「投資」には多くの人が固定のイメージを持っているらしく、まず銘柄や相場の動向などを知りたがる傾向が高い。しかしそれよりも前に、「人生をどうしたいか? どう生きたいか?」を考えることが大事だ。「投資」はひとつの意味や技術を持つだけでなく、たくさんの方法があり、広く深いものだ。投資方法も自分に合うものを選ぶことが大事で、それを明確にすれば、選択もやり方もわかってくると思う。そして、そこから広がっていくものは、人生の目標に沿ったものになっていく。私は、投資というものは経済的に満足するのはもちろん、心の幸せを潤わせるものであるべきだ、と思っている。

 また、投資は「ギャンブル的」なものというイメージを持っている人も多いようだが、実は統計化された公式がある。まず「型=公式」を学べば、自分の投資スタイルも理解できてくるのだ。もちろん、運やその時の判断に結果が左右されることもあるので、一喜一憂したあげくに「心ここにあらず」な状態にならないことが大切だ。感情に任せて判断を誤ると敗北する。失敗したことに、いつまでもこだわってしまうことも多いのだが、「最終的な人生の目標」からブレずに心を落ち着けて向き合えば、対処法も見つかるだろう。

 これで、投資に関する私の持論が日本の古典武芸や侍の生き方、カードゲームに似ているということを少し理解していただけたら幸いである。

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この記事の寄稿者

ローレンス・クリエイティブCEOとして、投資・ビジネスに特化した英語学校「ローレンス・インスティテュート」を運営。米ワシントン州のグリーンリバーカレッジで大学進学集中ESL科での教員経験から、日本人の英語指導には定評がある。ハワイ大学演劇科修士課程・博士課程修了後、1990年代には日本国立能楽堂内の国際演劇協会の職員として能楽の研究、学会誌の編集に携った経歴をも。The Japan Time、東洋経済オンラインニュース英語版『Tokyo Business Today』など寄稿多数。学校運営、投資家を続けながら、妻と世界中の図書館巡りを楽しんでいる。
著書:『ペンタゴン式 諜報員の英会話習得術』(講談社)

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