与党共和党も「気候変動は国家安全への危機」との防衛法案を承認

与党共和党も「気候変動は国家安全への危機」との防衛法案を承認


 トランプ大統領がパリ協定離脱を表明し、前オバマ政権で決められた環境保護政策が次々に変更される中、先月14日に行われた2018年度国防省承認法案(防衛費予算案)が、超党派の賛成多数で承認された。同法案には「気候変動は国家安全の危機」とする項目が含まれているため、この法案が通ったことは関係者を驚かせた。

 同項目では「 気候変動が軍隊に与える影響の詳細」を国防総省に報告するよう要求しており、海水上昇、洪水、山火事などの気候変動の影響で危機にさらされているとする軍基地が10拠点挙げられている。また同法案には、米国国防総省のサイバーセキュリティー管理の強化、およびトランプ政権が望んだ米軍基地閉鎖への拒否も含まれている。いずれも現政権の方針と逆行する内容だ。

 犬猿の仲の共和党と民主党が、ついに党派を超えて気候変動問題に取り組むのだろうか。RedとBlueの受け止め方は?

出典『TIME』
元記事:GOP-Led House Approves Defense Bill Declaring Climate Change a 'Direct Threat to National Security

RED: 『TIME』誌は米軍が太陽に宣戦布告すると信じているらしい
“The idiots at Time Magazine actually believe the U.S. Military will declare war on the Sun”

 銃弾と爆弾を使って気候変動と戦うなど、バカげているとしか言いようがない。まともな頭脳の持ち主なら、たった2秒でさえ真剣に考えないだろう。それなのに『TIME』誌は、防衛費予算案に無意味なこじつけをして、まるで米軍が本当に気候変動と取り組むかのような見出しをつけている。もし本当に気候変動が米国の国家安全に直接的な危機を与えるなら、それは太陽が破壊する時だ。地球の気候に直接影響を与えるのは太陽系の中心にある黄色っぽいオレンジ色の火の玉だが、例えばそれが地球に絶え間なく日射を降り注がなければ、地球は相当涼しいことだろう。もちろん、それで人間はみんな凍えて死んでしまうが、少なくとも気候変動の危機は取り除ける。

 いや、真面目にいうと、このコメントを書いていること自体、呆れて物が言えない。以前から何度も書いているように、気候変動(それと人間がその原因であるという考え)は失笑物であり、1990年のボストーク氷床コアを含め、その他の多くの正当な研究によって間違いを暴かれている。

 2017年7月現在、アメリカだけでなく世界中にとって最も危険なのは、福島の原子炉の汚染水漏洩だ。海面が20年にわずか1インチ上昇するという話の比ではなく、放置しておくと最終的には太平洋のすべての生き物を撲滅してしまうかもしれない世界規模の環境問題にこそ、注視すべき時ではないか。アメリカは2007年からすでに720億ドルもの大金を気候変動対策に無駄に投じている。我々は今、手遅れになる前に福島原子炉からの漏洩汚染水を封じ込めるため原子炉周辺に堤防建設をし、それに費用を充てるべきだ。


BLUE:トランプが気候問題に取り組まないのなら、米軍が取り組む
“If Trump Won't Act on Climate, the Military Sure Will”

 2年前にオバマ政権は、「気候変動は国家安全に対する危機だ」と言った。その時、保守系のシンクタンクであるヘリテージ財団(大統領に当選後のトランプが、スタッフを選出する手伝いをした)は、気候変動に対応するオバマ政権を日本の真珠湾攻撃と比較するという、奇怪なことをした。ところが今回、彼らは恐ろしく静かだ。

 今年6月のロイター通信のアンケート調査によると、アメリカ人の72%が政府は「地球温暖化を遅らせるために積極的な取り組みをするべき」だと考えている。地球温暖化における科学的合意の調査によると、91〜100%の科学者が「気候変動の責任は人類にある」ということに同意している。 もはや議論の対象でさえなく、ヘリテージ財団でさえも、たとえ信じたくはなくても、それがわかっているのだろう。

 もっと重要なことは、トランプが何と言おうと米国防総省には気候変動に取り組む用意ができており、それが実行に移されるということだ。トランプと、彼のパリ協定に対する愚かな誤解のことは放っておこう。気候問題の現実を認められない石頭のトランプ政権のことは忘れよう。軍がいったん問題に取り組んだら、任務を達成するまで休むことはないのだから。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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