トランスジェンダーの軍隊禁止令はカルチャー戦争なのか?

トランスジェンダーの軍隊禁止令はカルチャー戦争なのか?


 トランプ大統領が先月、トランスジェンダーの軍隊勤務を禁止すると発表して以来、各方面から反対の声が上がっている。

 共和党同性愛者グループ「ログキャビン・リパブリカン」のジョージ・T・アンジェロ会長は、大統領のコメントを「(来年の中間選挙を念頭においた)政治的駆け引き以外の何ものでもない」と批判しており、関係者の多くが同じ見方をしている。一方で、大統領支持有権者の反感を買うことを恐れて、このところ大統領を非難する発言を避けていた民主党も一斉に反対声明を発表し、戦う姿勢を見せている。また、共和党員で軍人としてベトナム戦争に従軍したジョン・マケイン上院議員は、「国に奉仕することを希望し、基準を満たしたアメリカ人は、いかなる人であれその機会を与えられるべきであり、愛国者として扱われるべきだ」と発表し、それに賛同する共和党議員が次々に現れている。これは政治的な駆け引きなのか? それともカルチャー戦争か? RedとBlueの意見は?

出典『CNN』
元記事:Democrats say they're ready for a culture war as Trump bans transgender people from military service
RED: 女装は憲法上の権利ではない
“Cross-Dressing is not a Constitutional Right”

 民主党は危険な愚か者たちの集まりだ。トランプのトランスジェンダーの軍隊活動禁止は、軍隊組織においては実際的な見地に立つと、まさに重要な点である。アメリカの軍隊は男性戦闘員、または女性戦闘員としては任務できるが、どちらかを選ばなくてはいけない。女装が憲法上の権利だとはお笑い種だ。服装の基準を設けることは専制的な抑圧にはあたらない。学校、ビジネス、宗教法人、格闘技の教室、プロ・スポーツ・チームなど組織には、決められた服装規定があるところが多い。それは男性にも女性にも適用され、そこに彼らの感情は考慮されない。軍隊では、服装と身だしなみの規律と秩序が必要であり、実戦においては機能性を発揮する。例えば、男性の場合は髪を短く切るのが規則だ。ある特定の兵士が自分の心は女だから髪を伸ばしたいと言ったとしたら、軍は規則を無視してよいのか? 答えはノーだ。まったくばかげている。

 人は男か女かのどちらかに生まれる。それが気に入らない人もいるかも知れないことは理解できる。しかし、それをどうやって修正するか、あるいはその人が自分の性別を受け入れられるようにするにはどうするかを考えることは、軍隊の仕事ではない。


BLUE:カルチャー戦争ではなく、健全な政権への絶え間ない挑戦だ
“There Is No Culture War, Only a Constant Battle for Sanity in Government”

 カルチャー戦争? ナンセンスだ。この新聞記事の見出しは必要以上に扇動的である。民主党は「カルチャー戦争」など仕掛けていない。彼らはただ共和党に、特定のアメリカ人の集団に対して、彼らが大多数とは異なるからといって、その権利を制限するのを止めてもらいたいだけだ。

 トランプは、軍に所属するトランスジェンダーの人々に対して勤務の禁止を通達する必要などない。なぜなら、米軍にはすでに何千人というトランスジェンダーの人々が任務に就いており、彼らはオバマ政権の下でアメリカを守ってきた。そして、トランプ政権の下でも彼らは継続してアメリカを守っている。トランプは禁止の理由を、トランスジェンダーの隊員の医療費が途方もない額だからだと言っているが、実際、彼らの医療費は年間840万ドルでしかない。軍隊が隊員のために購入する男性機能障害薬(バイアグラ)の費用は年間8400万ドルにも上る。さらに言えば、トランプがフロリダにある自分の別荘地に行くための旅費に、国は現時点ですでに2200万ドルから2900万ドルを投じている。

 この記事が掲載されて以来、民主党と共和党は共に、トランスジェンダーの軍隊勤務禁止という考えを批判している。米国湾岸警備隊のトップは、いかなる禁止にも反対すると表明しており、50人を超える元高級将校(将軍および海軍大将)が、この禁止令に反対するという共同声明を発表している。これはカルチャーの戦争ではない。これはトランプによる単なる雑音であり、自分が何も達成できずに減少し続ける支持者の目を反らすため、仮想の敵を作ってアピールしているだけなのだ。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
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