トランプ大統領、メキシコの大統領に「壁の代金を払わない発言はやめてくれ」

トランプ大統領、メキシコの大統領に「壁の代金を払わない発言はやめてくれ」


 トランプ大統領が就任直後にメキシコ、オーストラリア首脳と今年1月27日に行われた電話会談の全内容が記載されたトランスクリプト全文を今月3日、『ワシントンポスト』紙が報道した。なかでも、メキシコのニエト大統領との初会談の内容が再び注目されている。
 トランプ大統領は自らが掲げた重要な公約である「アメリカとの国境に壁を建設すること」に対して、メキシコの大統領が「メキシコは壁の費用は払わない」と発言していることを取り上げ、「メディアにそれ(メキシコは壁の費用を払わないと)を言ってはいけない。もしあなたがそう言うなら、私にはそれは受け入れられないから、あなたとは会いたくない」と言っている。この電話では、「壁の建設は重要なことではない。しかし、政治的にはこれは最も重要な問題だ」と言ったことも記録されており、公約は支持票を得るためだけのものだったとも受け取れる内容が公表された。同記事を受けてホワイトハウスは、「大統領は各国首脳とは率直に話し、常にアメリカを一番に考えて交渉する」と弁護している。
 タフな交渉力か、二枚舌か? RedとBlueの見解はいかに。

出典『The Hill』
元記事:Trump to Mexican president: Stop saying your government won't pay for wall

RED: バカな奴らが半年前の話を蒸し返して新しいニュースだと報道しただけ
“Brain Dead Journalist recycles 6-month-old story and calls it new news”

 今年1月のメキシコ大統領との電話会談はすでにメディアに公表されている。トランプ大統領が大統領選運動中に公約した、アメリカとメキシコの間の国境に建設する壁の建設費用を(関税あるいは直接支払いか、何らかの方法で)メキシコが支払うという基本的な点を追求しているのは驚くに当たらない。この報道の一体何が「ニュース」なのかというと、大統領と外国首脳との会談全容を記録したトランスクリプションを誰かが外に漏らしたという事実だ。それだけが唯一のニュースであり、深刻な犯罪である。

 メディアは果たして、誰がなぜ、何の目的で漏えいさせたのかを、調べることに興味はあるのだろうか。答えは「ない」に決定だろう。ニュースメディアは、トランプ大統領を辱めることだけにしか関心がない。彼らは次から次へと価値のない見出しを作るだけ。報道機能の焦点を失っている。ハーバード大学ケネディー校ショーレンスタイン・センター・メディア政治公共政策によると、大統領就任後90日間のトランプ大統領に関する報道は、メディア全体では80%が否定的(ネガティブ)、CNN、CBSにおいては90%以上が否定的なものだという。
 アメリカのメディアは、左翼政党の公共啓蒙部の延長に過ぎない。半年も過ぎた古い話を最新のニュースかのごとく報道するようでは、ニュースメディアの意味がない。『The Hill』は、ニュースメディアを辞める潮時だろう。


BLUE:メキシコ大統領をバカにしたトランプは彼に助けを求めた
“Trump to Mexican President: I Blame Your Country for Everything, but Listen, I Need Your Help”

 アメリカとメキシコ間の国境に壁を建て、メキシコに支払いを強要する。トランプが大統領選の時に掲げた重要な公約だ。ところがトランプはこの電話会談で、実はそんなことは重要ではなかったのだと認めている。それに加えて彼は、メキシコとメキシコ国民に対してさんざん悪口を吐いておきながら、自分の名声を保つ助けをしてくれとメキシコ大統領に要求したのである。気分が悪くなるような偽善的な要求だ。

 7月に、信じられないことだが、アメリカ政府は国境の壁の建設費として16億ドルを承認した。それと同じくらい問題なのは、トランプがずっとウソをついていることだ。7月19日付けの『ワシントンポスト』紙のファクトチェッカーによると、トランプは大統領に就任して以来、事実と異なることことや、人々に誤解を与えるようなことを836回発言している。右翼メディアは、電話会談の記録が極秘情報であることにフォーカスし、それが外部に漏れたことを問題にしている。トランプも誰がこの情報を漏らしたのかを突き止めるように司法省に指示したが、これは漏洩ではない。内部告発だ。
 アメリカ人は自国の大統領がどれくらい自分たちに嘘をついているかを知る必要がある。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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