アメリカで成功する日本人の共通点

アメリカで成功する日本人の共通点


 これまで本稿では、三記事を執筆した。読者の方々から、今度はアメリカで成功する日本人の共通点について書いて欲しいと依頼されたので、たかがアメリカ在住30年弱のヒヨッコではあるが、そのトピックに関する私見を書かせて頂こうと思う。

 今まで日米欧のビジネスを通して、たくさんの先輩や後輩、同年代の方々と出会うことができた。その中でも、大成功している方々、成功している方々、少し成功している方々など様々で、成功にもいろいろなレベルがあるように感じるし、努力やタイミング、運など、成功に大きく左右する要素もたくさんある。私が見てきた中で、大成功またはそれに近い領域の方々に見られる共通点を回顧してみた。

アメリカ・オンリー

 「アメリカ・ファースト」ではなく、「アメリカ・オンリー」。日本から離れれば離れるほど、成功するチャンスが増えるように感じる。アメリカで大成功している方々は、明らかに「アメリカ・ファースト」で物事を考え、事業内容も製品も技術も、日本ではなくアメリカ人やアメリカ企業に焦点をあてている。しかし、これは言うは易く、行うは難し。なぜなら、日本からアメリカに来られて勝負をかける日本人は、日本人であることや日本の製品・技術・サービスは差別化の大きなポイントであり、そこに捉われがちになるからだ。アメリカに焦点を絞れば、日本とのやり取りの労力や時間も不要になり、アメリカでの成功目標を大きくすればするほど、「アメリカ・ファースト」というより、「アメリカ・オンリー」になっていく。これは、鉄板焼きレストラン・チェーン「BENIHANA」の創業者のロッキー青木さんをはじめ、産業製品のメーカー創業者、特殊印刷サプライヤーや多くの日本人経営者の諸先輩が徹して行ったことだ。ニッポンのアメリカ事業部などと吠えている私には到底真似ができないことである。

ファーストネームと仕組みで体当たり

 〇〇社の□□、□□の太郎というように団体・組織・企業や苗字が重要視される日本では、自分自身の考えや意見を殺して、余り表に出さないことが多い。しかし、アメリカや欧州では、むしろ自分の考えや意見が重要なのであり、「これはあくまで私見だが」、と前置きをしたうえで意見を述べないと仲間が増えないし、さまざまなコトを興すことはできない。また、いつまでもノッペラボウで存在感がなく、「彼はなぜ、ここにいるのだ? 何をしにアメリカに来たのか知っているか?」と思われる羽目にもなりかねない。「自分」の意見や主張をしっかりと表に出し、メリハリの利いたパンチをもって体当たりをし続けるのが、真に信頼を勝ち取る成功への近道だ。舞台では大ヒットや、ホームランを狙うスキームをアピールして、通常は陰でコツコツとヒットやバントを実践するほうが、アメリカ人たちに注目され、歓迎される。そして、何よりもブレないことが大切だ。

 欧米人達は物事をよく見ているし、ユニークで、常識にとらわれない。「人と同じでも満足」、「不満より不安がよぎる」という人は、アメリカに来るべきではないと言われている。つまり、そういう人はアメリカでは失敗しやすいということである。また、アメリカで成功している人たちは、個々の製品が素晴らしいうんぬんということより、仕組みやプラットフォーム構築が巧い。これについては、最近の日本でも遅ればせながら似た現象が起きつつあると思う。とにかく、アメリカで仕事をするのは、猛者たちが真剣白刃取りにもがくようなもの。日本に帰国する際に、無二の親友と本気でいえる、信頼できる生涯のメンターやパートナーたちをアメリカでどれだけ作れるかが勝負である。

パーソナルでハイパー朝型

 「アメリカ人の働き方」にて触れたが、アメリカでは企業対企業というのはオフィスや現場での付き合いであり、関係性を更に深めようとする場合には、パーソナルな付き合いが重要となる。日本だと、職場を離れてもどうしても仕事の延長でのお付き合いになるが、アメリカでは、よりパーソナルな付き合いへと切り替えることが重要だ。しかし、これは意外に難しく、最初に何をしたらよいかと戸惑うことが多いだろう。アメリカでは、ギフトでも、ちょっとした接待でも、パーソナルな趣向を凝らした内容を企画し、準備することが多い。また、アメリカはスポーツ大国なので、何かスポーツができたり、スポーツ観戦が好きだとアメリカ人とパーソナルな付き合いをする機会は増える。アメリカ人が好きなメキシコ料理をおおいに楽しんで食べられることなども意外と大切で、こういう小さなこともアメリカで成功する秘訣のひとつである。

 また、アメリカでの成功者たちは、圧倒的に朝型が多い。「成功者が朝7時30分までに実践していること」という記事を是非読んで頂きたいが、この記事内にもあるように、朝早く起きることは脳を活性化させ、より正しく適切な判断ができる状態にし、創造力を最大限発揮することに有効であり、心身の健康にもつながるとされている。成功しているアメリカ人たちは4時台、5時台という早朝に集まって活動を始めるため、朝は成功者に出会う機会が各段に多い。そして、早朝の活動で活性化されたコンディションで一日を過ごすため、効果を最大化できると感じる。
 アメリカの地元の中学校は朝7時半には一限目が始業し、先生が始業前に6時台から勉強を見てくれるケースも多い。つまりアメリカ人は元々、朝型生活が基本にあるのだ。アメリカ人のエリートは日本人が出社する9時頃には自宅や出先、会社で仕事がひと段落している。それ故に、アメリカで成功する日本人も朝型が多いのである。

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この記事の寄稿者

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。学生時代は日本起業家協会の学生会長を務める。伊藤忠商事大阪本社・宇宙情報産業機械部門に勤務後、1999年よりシカゴのアイティエー・インク (I.T.A., Inc.) にジョインし、2005年より社長。日本の産業分野における対米進出支援、商社業務、リサーチ・調査、IT/テクノロジー支援を中心にニッポンのアメリカ事業部としての支援プラットフォームを構築。また、米国マイノリティ承認を取得し、大手企業へのCSRの一環であるサプライヤー・ダイバーシティ向上を支援している。

米オバマ大統領直轄ホワイトハウスのアジアアメリカ・メンバー(2年間)、 経済加速化イニシアチブに参加。他にも5つの団体で幹部や理事、ジェトロ・コーディネーター等に従事。支援しているインターンは500名以上。

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