シリコンバレー・エンジニアって、どんな人たち?

シリコンバレー・エンジニアって、どんな人たち?


 世界中から優秀なエンジニアが集まるシリコンバレー。そこで働くエンジニアたちとは、どんな人達だろうか? 20年近く、この地でハードウエア・エンジニアをしている私の夫や、彼の同僚や友人を中心に、私が知り合ったシリコンバレーで働く多くのエンジニアたちの印象や特徴をお伝えしよう。

英語ができないことを馬鹿にしない

 シリコンバレーには世界の頭脳が集まっている。優秀な人たちが大勢いる場所だが、自分の英語が完璧でないことを馬鹿にされた経験は一度もない。むしろ私は、つたない英語を話していた当初から彼らとは話しやすいと感じていた。
 夫いわく、シリコンバレー・エンジニアは学生時代に相当の勉強をして、何事においても何かを習得することが容易でないことを知っているから、完璧でなくても英語を話そうとしていることに敬意を感じるそうだ。
 また、彼らは語彙も多く、頭の回転も速いせいか、話を聞いていて意味が分からなくても、違う単語に置き換えたり、言い方を変えて理解できるように努力をしてくれる。また政治・経済・海外事情・宗教など知識も豊富なので、話している相手の英語が流暢でなくても、「きっと、この話をしているのだろう」と素早く想像し、その場の会話をちゃんと成り立たせてくれる。また、外国人と話すことに慣れているため、インドのアクセント、中国のアクセント、もちろん日本のアクセントが強くても理解してくれる。

日本のことをよく知っている

 シリコンバレー・エンジニアは外国のことをよく知っている。Zen(禅)やMeditation(瞑想)に興味を持つ人が多いためなのか、出張で東京に行くことが多いからなのかは分からないが、びっくりするほど日本のことを良く知っている人が多い。日本は中国の一部とか、アジアはひとつの国だと思っているアメリカ人も少なくない中(参考:アメリカ人は北朝鮮がどこにあるか知らない?!)、シリコンバレーのエンジニアからは私の方が「アベノミクスについてどう思う?」、「Kurosawa監督の映画はどれが好き?」などと質問されてしまい、うまく答えられず焦ったこともある(笑)。

食べ物に好き嫌いがあまりない

 アメリカ人は食べ物の好き嫌いが多く、食べず嫌いが多いと言われているが、シリコンバレーでは、それは適用されないようだ。食べてはいけないものがあるヒンズー教やイスラム教などを信仰していたり、ベジタリアンではないエンジニアたちは、どんな国の食べ物も選り好みせずに食べる印象を受ける。
 外国人が多く在住しているので、シリコンバレーには様々な国の料理を出すレストランがあり、 GoogleやAppleのカフェテリア(社員食堂)のメニューも、インド料理、寿司、ペルシャ料理、メキシコ料理など多国籍だ。シリコンバレーではアジア人以外でも、ほとんどの人が箸をきちんと持てることに驚かされる。エンジニアたちは海外出張も多いため、出張先でも良い仕事をするためには、その国の食べ物を選り好みせず食べることも大切だそうだ。私の夫も海外との接点によって好き嫌いが克服できた一人だが、日本出張の際に日本の食事の量が彼にはあまりに少な過ぎて、空腹を満たすために嫌いな海老も食べざるを得ず、それがきっかけで海老嫌いを克服できたと言っている。

時間に正確

 エンジニアは常にデッドライン(納期)との闘いだ。スケジュールを守れる、きちっとした性格の人がエンジニアになるのか、プライベートでも時間に正確に行動する人が多いようだ。アメリカ人は時間にルーズだと言われるが、シリコンバレーのアメリカ人は日本人並みに時間に正確で、待ち合わせをして相手に待たされることはほとんどない。「電車が30分遅れても、遅れたうちに入らない」という時間に大らかなインド人たちも、シリコンバレーでは時間を守って行動している。

健康維持に努める

 日本人よりも労働時間は少ないが、短い時間で猛烈に集中して仕事をしたり、時には早朝や深夜に海外と電話会議があったり、海外出張が多かったりと、シリコンバレー・エンジニアの仕事は意外に体力勝負だ。そんな中で効率良く質の高い仕事をするためには、体調をしっかり整えることも仕事のうちと考える人が多い。
 私の夫も睡眠時間は毎日7時間取り、週に2~3回ランニングをして、ヘルシーな食事を心掛けて健康維持に努めている。これはアメリカの文化でもあるが、仕事帰りなどに飲んでから家に帰ってくることは、まずない。仕事が終わるとまっすぐ帰宅し、家でのんびりするか、ランニングをしに行く。
 また、ある程度の社員を抱えている企業であれば、オフィスビルにジムが併設されているので、出勤前後やランチタイムに気軽に運動をできるし、会社のカフェテリアでも低カロリーのメニューや、スーパーフード入りの食事を提供して、会社側も社員の健康を保つよう努力している。クオリティの高い仕事ができるのは、健康な身体があってこそ、なのだ。

他者への敬意

 シリコンバレー・エンジニアの誰もが必ず意識していると言われるのは、「他者への敬意」だ。国、宗教、政治、文化、セクシュアリティなどが自分とは異なっても、それを批判することはまずない。
 中国人と台湾人、またユダヤ人とイスラム教信者など、対立しあう国や宗教の人たちが一緒に働くことはしょっちゅうあるが、「それは国と国との問題」、「宗教上の問題」だとして、対立を職場に持ち込むことはない。
 Google社員の友人から聞いた話では、最近は男性用トイレに、トランスジェンダー用の生理用品が置かれるようになったそうだ。その友人は、「社会的にマイノリティである人たちを自分の会社が尊重することに感心し、非常に誇りに思う」と言っていた。「他者へのリスペクト(敬意)」があるからこそ、シリコンバレーでは様々な国、文化、宗教、人種、セクシュアリティが入り混じっても、良いチームワークを保ち、クオリティの高い仕事ができるのだろう。

 真面目に仕事をこなし、時間に正確なシリコンバレー・エンジニアたちは、日本人と少し気質が似ているような気がする。しかし、GoogleやAppleなどのキャンパス(オフィスを含む敷地全体)を訪ねると、そのリラックスした雰囲気にたいていの日本人が驚く。ワークライフバランスが取れているからこそのギャップだと思うが、日本人がストレスなく働く方法やグローバルに活躍できるヒントは、こうしたシリコンバレー・エンジニアの意識や考え方にありそうだ。

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この記事の寄稿者

OLから、唯一の日本人として2004年にNFLサンフランシスコ49ersチアリーダーに合格し活動。その後、ネバダ州立大学にてピラティスライセンスを取得。2006年にエンジニアと国際結婚をし、シリコンバレーに移住。現在、アメリカではDK Body International セールス&マーケティング担当・サンフランシスコエリアのコーディネーター、日本では一般社団法人プロフェッショナルチアリーディング協会代表理事を務める。TBS「マツコの知らない世界」“チアリーディングの世界”のナビゲーターとしての出演し、日本でも話題になった。

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