セルフレス(無私)の境地を手に入れる

セルフレス(無私)の境地を手に入れる


 軍隊経験を通して学べた最も貴重なことのひとつが、「人は一人ではない」ということだ。あまりにも単純で当然なことのようだが、ともすると人はそんな単純なことすら忘れてしまう。「自分さえよければいい」、「自分ばかりが損をしている」など、いつでも主語が「自分」の人は、無駄に悩んだり、ヤケになったりするだけでなく、時に恐ろしく身勝手な行動に出てしまうものだが、あなたは大丈夫だろうか? この問いに対し、身に覚えがあるようであれば、今から話すことを真剣に聞いて欲しい。

 命を落とすかもしれないと思えるような緊張下では、一人では行動出来ない。また、「自分は一人だ」という思考になることも出来なくなる。実際、私自身、このシンプルな気づきに、どれだけ救われたか分からない。中東や北極などの赴任地で死の恐怖を味わったことは幾度かあるが、その度に同じ志を共有し、信頼しあえる仲間がいることに深く感謝したものだ。

 軍隊を快く思わない人もいるとは思うが、我々の仕事の多くは「人助け」がミッションであり、危険を冒してでも誰かを助けねばならないという事態が日常的に起こる。多くの仲間たちが、自己犠牲を厭わない行動で自らを差し出すのを目の当たりにしてきたが、「セルフレス(無私)の境地」にならねば、そんなことはとても出来ない。

 命の危険を伴うような軍隊の事例は特殊かもしれないが、あなたにとっても「セルフレス」という言葉は、間違いなく人生を豊かにするためのキーワードであると言えるだろう。人生を豊かにしたいと望むならば、あなたはまず「人は一人ではない」ということに気づかねばならない。自分のことのように、他人のことも大切に出来るようにならなければ、「セルフレスの境地」には辿り着くことは出来ない。そのために必要なことは、自分のために何かをしてくれた人の行為に気づけるようになること、そして自分自身も誰かのために積極的に手を差し伸べる行動を取ることだろう。これらは、決して難しいことではない。日々、第三者とのかかわりの中で、自分や人の行動をまずは俯瞰することだ。

 こうしたことに価値を持とうとしない人というのは、例え自分では無意識であっても、いつでも損得を基準に行動してしまうものである。あなたは人と接する際に、相手との人間関係の中に何か「隠れた思惑」を持っていないだろうか? 自分の得を優先するあまり、相手の気持ちや、相手が大切にしているものを見ようとしない、ということはないだろうか? 自分の周囲にいる人たちの顔を思い浮かべながら、一度この問いについて考える時間をもってみてほしい。

 アメリカでは、セルフレスに身を差し出した兵士の家族を「みんなで支えよう」という活動が盛んである。この国には戦死したり、負傷した兵士たちの家族のための社会支援プログラムがたくさんあるが、そのひとつに「Fold of Honor」という非営利団体がある。名だたる企業がこの団体の活動をサポートしており、働き手を失った家庭の子供のためにスカラシップを提供するなど、さまざまな素晴らしい活動を続けている。企業であっても、個人であっても、無私の境地にある者は、社会の一部として誰かのために手を差し伸べるということに、とても積極的だ。

 「Fold of Honor」の支援者の中でも大手ビールメーカーのバドワイザー社の支援は、その活動の一部を映像化して公開し、話題になった(下記動画)。元海兵隊員だった俳優のアダム・ドライバーが、湾岸戦争で負傷した父をもつ21歳の看護師志望の少女の元に「夢」を届けにいくという内容だが、これに代表されるような取り組みは、アメリカのあちこちで見られる。そう、「人は一人ではない」のだ。

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この記事の寄稿者

現役米国国防総省キャリア、サイバーセキュリティ・スペシャリスト。University of Washington卒。米空軍在軍中に、米国軍 事大学院で修士課程修了。その直後に 国防総省国防情報システム局入局。情報部隊のエキスパートとして、国防総省でも保有率わずか1%というサイバーテロスペシャリストのライセンスを取得。現在は国防総省、軍に籍を置きつつ、民間企業「ディフェンス・ディベロップメント・コンセプト社」をベースに、米、カナダ等でセミナー、コンサルティ ングなども行っている。日本、台湾等で書籍を出版した経験も。空軍での階級は少佐。

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