スティーブ・バノン首席戦略官の解任

スティーブ・バノン首席戦略官の解任


 先月18日、トランプ氏が大統領に当選した最大の貢献者と言われるスティーブ・バノン大統領首席戦略官が解任された。先月12日にバージニア州シャーロッツビルで起こった白人至上主義者集会で反対派の女性が死亡、多数が負傷した事件について、トランプ大統領は記者会見で「双方に責任がある」と発言し、大統領が人種差別を肯定したとして民主党のみならず、共和党の上層部からも強い抗議の声が上がったことは記憶に新しい。バノン氏は大統領の同発言について「白人至上主義グループの勝利だ」と言っているため、この大統領の発言の背後にはバノン氏の思惑があったとの見方が強い。またバノン氏は、自らリベラル雑誌の記者に電話し、デモに集まった「白人国家主義者は、道化の集まりだ」などと批判したことも報道された。

 極右系オンラインサイト『ブライトバート』の元CEOだったバノン氏は、解任直後から同サイト編集部に返り咲き、今後はホワイトハウスの外から同メディアを使って政権をコントロールすることを試みると見られている。トランプ大統領の政策戦略に多大な影響を与えたと言われるバノン氏の解任をRedとBlueはどう見るのか。

出典『The Oregonian』紙
元記事:Steve Bannon out as White House strategist after contentious tenure

RED: ジャーナリズムの怠慢
“Failure of Journalism”

 『オレゴニアン』紙のダグラス・ペリー記者は、いまいましい面汚しであり、恥を知るべきだろう。私はこういった「メディア」と呼ばれるものの間違いを修正するのに、少々疲れてきている。しかし仕方ない、取り掛かるとするか。今回の件をざっと要約しよう。1)記事は、ドナルド・トランプが述べたバージニア州シャーロッツビルでのコメントに対して激怒が巻き起こっていると言っている。2)スティーブ・バノンが、白人国粋主義者とアメリカの極右派右翼と提携していると言う。

 本当だろうか? 証明してみてほしい。この安っぽい左翼ジャーナリストは自分たちが印刷したウソを読者が単純に真実だと思い込むと考えているようだ。しかし、事実はこうだ。1)シャーロッツビルには3つのグループがいた。グループ1:アンティファ(Antifa)。覆面をした暴力的左翼共産党のチンピラ共で、アメリカ全土でトランプ支持者を含めては自分たちが嫌いな者に暴力を振るったことが何度も記録されている。グループ2:骨なしの市議会が市民投票無しに気まぐれにロバート・E・リー将軍の彫像の撤去を命じたことから、撤去に対する平和的なデモの許可を申請した保守系の小規模グループ。グループ3:不思議なことに、オバマ支持者でウォールストリート抗議運動者のジェイソン・ケスラーが組織して指揮した、いわゆる白人国家主義者と呼ばれる招待されていない小グループ。つまり、トランプ大統領は、抗争の両者に暴力的な扇動者がいて、その間に平和的なデモ集団がいたと正しく表明したのである。

 アメリカにおいては、トランプの最初の発言に対する唯一の怒りは、『オレゴニアン』のペリー記者のような左派メディアから出たものだ。メディアは今、冷静になって真実を印刷するときではないか。そうしなければ、ウェブブラウザとワープロさえあれば誰でも自称ジャーナリストとなってニュースを発信できる情報時代において、まったく当てにならない通信社になってしまうだろう。


BLUE:スティーブ・バノンは、すべては金だということを我々に見せた
“Steve Bannon Shows Us It's All About the Money ”

 間違ってはいけない。スティーブ・バノンが白人国家主義者を「道化者」と呼んだのは、彼らが白人だからでもなければ、国家主義者だからでもない。バノンは再び『ブライトバート』の指揮を取りはじめた。そこでは、白人でもアメリカ人でもない者は、皆ひどい扱いを受けるのだ。この事実を忘れるべきではない。

 バノンの怒りは、トーチを掲げた暴徒が駐車場で黒人男性を蹴ったり殴ったりして瀕死状態にさせたことや、車で一人の女性を殺し、19人に怪我をさせたことに対するものではない。彼の怒りは彼のウエブサイトの大切な読者である白人国家主義者たちが、世論から悪いように言われたことに対するものだ。だから彼の偽善あふれる声明には、コメントするのも憚れるほど驚かされるとしか言いようがない。

 『ブライトバート』というウエブサイトは長年、極右、オルトライト(白人至上主義)、自分の行いを疑わない白人国家主義者の読者たちを扇動し、間違った行動に火を焚きつけてきた。だから、バノンと『ブライトバート』による危険で誇張された言葉が、「暴力」という形になって吹き出しても驚くには当たらない。それなのにスティーブ・バノンは、自分のウエブサイトが煽り、激励している人々が起こしたシャーロッツビルの恐ろしい事件は、自分にはまったく関係がないことだとして距離を置こうとした。それをしなければ、彼のウエブサイトは多くの広告主を失うことになるからだろうが、それこそが憎しみと恐れを売り物にして金を作る、このバノンという男の本性なのだ。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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