アメリカ経済を司るユダヤ人のビジネス

アメリカ経済を司るユダヤ人のビジネス


 一般的に「アメリカ人」というのは陽気で明るく、ガレージが付いた大きな家で、家族揃ってのんびりと幸せに暮らしている、というイメージがステレオタイプではないだろうか。しかし、このイメージが似合うのは、農業従事者などが多く、宗教的価値観を大切にするような、のどかな州に住むアメリカ人たちだけだろう。

 アメリカの政治、経済を司るのはユダヤ人だ。特に東海岸の金融系企業の創業者や成功した経営者たちの苗字を並べてみると一目瞭然、彼らの多くがユダヤ系である。

 ユダヤ人の金儲けに対する意識と、それに伴う価値観には特徴がある。彼らはお金と教育、そして家族の発展のためなら惜しみなく働く。「ノーペイン・ノーゲイン(痛みなければ得るものなし)」というフレーズは一般的にもよく知られているが、これはユダヤの教えだ。「苦労して勉強してこそ成果を得ることができる」、「楽をして得るものはない」ということを、ユダヤ人の親は子供が小さな頃から徹底して叩き込むのだ。彼らは歴史から多くのことを学び、教養が高く、教育にはお金を使う。たとえば、「お金が必要なら、まず家や宝石を先に売れ! 最後に売るものが本だ」と言われるほど、本や勉学を大切にする勤勉な人たちだ。

 自分の子供の教育を最大の投資と考え、目指すは名門・アイビーリーグに入るような大学に行くことを徹底させる。そこでネットワークを作らせ、ファミリー・ビジネスを継がせる。もしくは、医師や弁護士に育てあげるという、彼らの教育熱は半端ないものがある。

 今や世界中の人がその名前を知る、フェイスブック社創業者のマーク・ザッカーバーグ氏のご実家も、ヨーロッパから移民してきたユダヤ系だ。グーグルの共同創業者のセルゲイ・ブリン氏も、コーヒーのスターバックス社のハワード・シュルツ会長も、世界的な化粧品ブランドのエスティー・ローダー社の創設者エスティー・ローダー女史も、マックス・ファクター社のマックス・ファクター・シニア氏も、ファッション界の成功者カルバン・クライン氏も皆、ユダヤ系アメリカ人である。ユダヤ系を代表するような実業家である彼らは、高い教養とビジネスの成功、家族の発展というユダヤ人の教えを体現している人たちだろう。

 お金を稼ぐことや、そのお金を増やすこと、そして、増やしたお金を使って自分を活かすユダヤ人のビジネス手腕が、アメリカの経済を動かしている。
ユダヤ人は倹約家(悪く言えばケチ)で質素と言われるが、その分、お金の使用目的を明確に定めているので無駄がない。また、ビジネスで必要な人を軽々しく信用せずにまずは疑ってかかる点や、自分を守るためにつく嘘が上手である点など、銀行や投資会社などで必要になるスキルを兼ねそろえている人が多い。そのため実際、金融系やファンドのオーナーやマネージャーにはユダヤ系が占め、今ではアメリカ社会でも、ユダヤ教のルールも広く理解され、ユダヤの祝祭日は会社も学校も休みになるところが増えている。

 日本人はお金の話をするのを嫌がる(蔑む)傾向が高いと言える。そのせいか、お金に対して積極的なユダヤ人に対する評価が日本人の間では低いように感じる。しかし、勤勉なユダヤ人は、日本人と似ている部分もある。たとえ、相手が信頼できると見極めると、アメリカで一般的に交される契約書の内容よりも、相手や会社を信じて大切に付き合うような傾向が高い。日本人の教えはイスラエルの教えと似ている観点が多いらしく、日本人を好きだというユダヤ系の人々が私の周囲にも大勢いる。ビジネスシーンでは相手側にやり手のユダヤ人が入ると、手強いことが多くて困るのだが、私は彼らのストレートな物言いや明確な意志表示は素晴らしいことだと思う。

 アメリカ東海岸で経済を司る金融系と、西海岸ベイエリアのITテクノロジー企業が今のアメリカのビジネスを動かし、それをリードしている優秀なユダヤ人たち。アメリカで仕事をするならば、ユダヤ教やユダヤの歴史に関する本を読んで、基本的な情報は知っておくべきだろう。かと言って、ビジネスでは、政治と宗教の話を持ち出すのはタブーである。これだけは、忘れないようにしよう。

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この記事の寄稿者

 ファッション、美容を中心に、日本とヨーロッパで長年輸出入ビジネスを展開。2008年、リーマンショック直前に日本の拠点としていた輸入会社を大手アパレル企業、株式会社ベイクルーズに売却、翌年2009年よりアメリカで本格的な事業展開をスタートし、ハワイ州にビジネスを登記。その後カリフォルニア州ロスアンゼルスにFundsmedia incを設立した。日米双方に向けての商品開発や販売、マーケティング、コンサルテーション、プロモーション、ライセンス契約エージェント業務など、幅広いサービスを提供。特にビューティー、フードビジネスエリアに関するサービスには定評がある。日欧米というグローバルな土壌で培った長い事業経験と、常に新しい視点でリサーチを重ねたビジネス案、ヒット予測を元に、現在新商品開発にも力を入れている。アメリカでビジネス展開を希望する、日本の個人、企業パートナーも募集中。

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