がんの画期的治療薬をFDAが承認 致命的ながんも克服可能か

がんの画期的治療薬をFDAが承認 致命的ながんも克服可能か


 米食品医薬品局(FDA)が先週、はじめて「遺伝子療法」の薬を承認した。承認されたのは、製薬メーカーのノバルティス社が開発した「B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)」の治療薬「Kymriah(キムリア)」だ。

 キムリアは、遺伝子組換え技術を利用した画期的な治療法である「キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)」に用いられる治療薬で、完治が難しいとされてきたがんの腫瘍を完全に消失させる可能性を持っている。CAR-T療法とは自身の免疫機能を強化して、がんの腫瘍を排除するもので、がん細胞を攻撃できる物質「キメラ抗原受容体(CAR)」を遺伝子組換えによって体内に組み入れる手法をとる。そこが、これまでの免疫療法とは異なる点だ。新治療薬キムリアの場合、白血病患者から血液を採取し、血中に含まれるT細胞というリンパ球にCARを組み込み、作成された遺伝子組換えT細胞を再び患者の体内に戻す操作を行う。この新しいT細胞ががん細胞だけを狙って攻撃するため、臨床試験ではALL患者の腫瘍が完全に消えた例も確認されたという。

 しかし、同薬は製造コストが非常に高く、価格は47万5,000ドル(約5,200万円)という高額だ。そのため、薬を開発したノバルティス社は、「投与後1カ月以内に効果が認められない場合は、支払いは不要」と言っている。現状、同薬が使用できる医療機関は20カ所に限定されているが、今後は35カ所に拡大する予定だ。

 白血病という血液のがん治療に高い効果が出れば、他のがん治療に応用できる可能性があるため、FDAが同薬の承認に踏み切ったと見られている。今回のFDA承認により、CAR-T療法の治療薬を開発している他の製薬会社各社の勢いも加速すると予想されるため 、がん治療が新しい時代に入ることが期待される。

引用元:A Medical Breakthrough That Hacks Genes to Fight Cancer Just Got Approved, and It's the Beginning of 'a Big New Field of Medicine'
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