鳴り物入りだったトランプのインフラ評議会、停止

鳴り物入りだったトランプのインフラ評議会、停止


 先月17日、ホワイトハウスはトランプ大統領が大統領助言組織であるインフラ評議会を中止したと発表した。大統領は、バージニア州シャーロッツビルで発生した白人国家主義団体と反対派の衝突をめぐる大統領の発言を受け、メンバーの辞任が相次いだ2つの助言組織をその前日に解散したばかりだった。トランプ大統領は公約を何も実現できていない中、インフラを強化するための評議会も頓挫。この流れをRedとBlueはどう見るか?

出典『CBS News』
元記事:White House kills Trump's infrastructure council

RED: トランプが考えを変えた、それがどうした?
“Trump Changed His MindーSo What”

 私は最近、もしトランプ大統領がある日、朝の飲み物を紅茶からコーヒーへ、あるいはコーヒーから紅茶に変えたとしたら、それが翌日の新聞のニュースになり、それについてメディアはどっちに変えたとしてもよく思わないのだろう、と考え始めている。

 大統領のインフラ評議会と戦略フォーラムが8月半ばに中止になり、みんながそれを不思議がっている。しかし、これらの諮問グループの解散は特別な秘密や陰謀があるわけではないし、ロシアもこれにはまったく関係ないはずだ。ドナルド・トランプは単に考えを変えた、ただそれだけのこと。大統領は時に業界や企業からアドバイスを求めることがある。そのアドバイスが大統領にとって価値がある場合、組織への質問は重要性がある。しかし、もしも大統領が意思決定をする上で、それほど重要な生産的立場や課題がなければ、そうした評議会や諮問グループは具体的な目標や要件が欠如していることから解散する可能性がある。

 私は、次のワーキング・バケーションにドナルド・トランプが自分の所有地に出かけて、アメリカのメディアがショッキングなニュースとしてそれを取り上げ、そのことで彼を非難するのが待ち遠しくてならない。そして、あとで事実を発見するのだ。ホワイトハウスは改装中で、彼はウエストウィングには住めないということ……、おっと待った、これはもうすでに起こったことだったな。


BLUE:トランプは決して何も作らない
“Trump Is Never Going to Build Anything”

 トランプはホワイトハウスに入るときに、自分がいかに成功したビジネスマンであるかを自慢していた。彼は、「私は本当に素晴らしい交渉力を持っている。交渉の仕方を知っている」と言っていた。

 トランプは、アメリカのインフラに1兆ドルの投資をすると約束した。空港を作り、工場を作り、橋を作り、アメリカとメキシコの間に「大きくて美しい壁」を作る、と言った。ところが、メキシコに払わせるというのは初めからウソであり、メキシコ大統領に、壁の料金を出す振りをしてくれと頼んだ電話会談の録音まで発覚した。恐ろしいことに、トランプ政権は、すでにアメリカ国民の税金を壁に使うように算段をしている。

 先月、シャーロッツビルの暴力事件におけるトランプの発言に嫌気がさした大企業のリーダーたちが、企業戦略・政策評議会の委員を辞任したことから、議会は解散になった。そして同じ理由で製造事業評議会も解散になった。そして、ついに彼のインフラ評議会も同じ理由でメンバーを失った。さて、今度はどうするのか? トランプはすでに、彼のなすべきことを援助できる頭脳をもった業界のトップをすべて失ってしまった。これまでのところトランプの最も大きな業績は、トランプが選出される前から進行中だった数社の工場に対して功績を残したことくらいだ。他には本当に何もしていない。「駆け引きの術」を持つ男から期待できるような素晴らしい進歩は、今のところ何もない。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

シャーロッツビルに関する記事 

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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