次世代継承として「投資」の道を息子たちと分かつこと

次世代継承として「投資」の道を息子たちと分かつこと


 投資の究極の目的は「時間を得ることだ」と確信した2017年の夏。「人生の夏休み」ということで、今、私は日本を旅している。多くの能の物語の題材にもなっている『平家物語』の舞台を巡っているのだが、これまで27年間、この旅をずっと夢見てきた。一の谷、壇ノ浦、八島、大原……。ゆかりの地に立つと、歴史を駆け巡った登場人物の息吹を感じることが出来る。すばらしい旅路である。

 歴史を学ぶのはたいへん興味深いことだ。先人が苦労して見つけ出し、系統立ててきたことの中には、大きな学びがある。その英知を享受し、私たちは現在の暮らしに大いに役立てることができる。何もない荒野に、あらかじめ道を作ってもらったようなものだ。後進や次世代は、その道を余計な苦労をすることなく歩んでいける。

 人生や家族と過ごす時間にも「小さな歴史」はある。息子たちには、簡単な料理、水泳、車の運転の仕方など、いろいろと教えてきたが、家庭のファイナンスについては、実はあまり教えてこなかった。私自身も、金銭に関してはあまり話さない家庭で育った。多くの親たちが、家庭の経済状況やプランを子供たちに伝えたり、正面切って話すことには躊躇があるのではないかと思うが、いかがだろう?

 私が「投資というものは、単に経済面を考えるだけでなく、人生そのものを考えることだ」ということに気づいてから、息子たちに世界の経済状態や家庭のファイナンスについて、腹を割って話し始めた。息子たちは成人に近い年になっていたが、私が投資に関して学んだ精神も技術も、彼らが望むだけ伝えていくことにした。ニュースを見て世界経済のことを話したり、彼らの将来の金銭的計画など話していくうちに、投資にも興味を持ってきたので、まずは社会経済の成り立ちからはじめ、「株式会社とはどういうしくみか?」、「株はどう買うのか?」など基本から徐々に教え、各自の口座を開いた。

 息子たちの若い頭脳は、新しいことをどんどん吸収し、投資技術の学び方に関しては、私より理解が速くて驚いた。もっと早く始めるべきだった、とも思うほど、息子たちは立派に習得していった。

 「投資」という言葉の意味は広い。繰り返しになるが、私の限られた人生の中で言うと、私が投資で最も得たいものは「時間」だった。それはある程度、獲得できた手ごたえがあるので、さらに「投資」という言葉の中に「次世代・人へ投資する」という意味も含めたいと思う。意見を自分なりにしっかり形作り、立派に成長していく若者を見て、私はこれからも、特に若い世代に経済をしっかりと教え、「人が人に投資する連鎖」を作っていきたいと思う。あらかじめ作られた道があるならば、それを示し、いたずらに迷い道に陥らないように導くのも、そのひとつだと思う。

 「お金」というものが世の中に登場した太古から、人々の暮らしの中で「ファイナンス」は避けて通れないものだろう。金銭をめぐり、人々が多くの失敗や辛酸をなめてきたのは、歴史でも自明の事実だ。特に世界情勢が不穏な昨今、内海から外洋にこぎ出したばかりの若者の「人生の船旅」は、経済に関する知識も技術にも裏打ちされて、安心して航海していけるものになって欲しい。

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この記事の寄稿者

ローレンス・クリエイティブCEOとして、投資・ビジネスに特化した英語学校「ローレンス・インスティテュート」を運営。米ワシントン州のグリーンリバーカレッジで大学進学集中ESL科での教員経験から、日本人の英語指導には定評がある。ハワイ大学演劇科修士課程・博士課程修了後、1990年代には日本国立能楽堂内の国際演劇協会の職員として能楽の研究、学会誌の編集に携った経歴をも。The Japan Time、東洋経済オンラインニュース英語版『Tokyo Business Today』など寄稿多数。学校運営、投資家を続けながら、妻と世界中の図書館巡りを楽しんでいる。
著書:『ペンタゴン式 諜報員の英会話習得術』(講談社)

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