独メルケル首相、「トランプ氏は米国大統領として尊敬されなければならない」

独メルケル首相、「トランプ氏は米国大統領として尊敬されなければならない」


 ドイツのメルケル首相は、反対派閥である独社会民主党(SPD)から、NATO加盟国の防衛出資を増やすように要求したトランプ大統領に抵抗するようにと圧力をかけられたが、それを拒んだ。トランプ大統領とは政策への意見の相違があるにしても、米国と強い関係を保ちたいというメルケル首相の姿勢の表れと見られている。  

 SPD党首のマーティン・シュルツ氏は、トランプ大統領を「ホワイトハウスの無責任な男」と批判しているが、それとは対照的にメルケル首相はドイツ最大の日刊経済紙『ハンデルスブラット』のインタビューに対し、「トランプ大統領は、アメリカの選挙法に基づいて当選したのであり、民意を元に選出された。彼の見解をいかに評価するかに関わらず、大統領として適切な敬意を示されるべきだ」と回答。トランプ大統領は厳しい選挙戦を乗り越えて勝利したのであり、簡単に「大統領の座」を手に入れたわけではないとの理解を示した。トランプ大統領の言動への内外からの批判が多い中、メルケル首相の発言は新鮮に聞こえるが、RedとBlueの見解はいかに?

出典 『ロイター通信』
元記事:Trump Must Be Respected As U.S. President, Says Germany's Merkel

RED: ドイツの首相は現実を認識している。これからはトランプの時代だ
“German Chancellor recognizes the reality. Trump is here to stay”

 アッラー、神、母なる自然、さらには子供たちが愛してやまない童話の妖精たちさえ、ドイツ首相のこの発言を称賛するだろう。メルケル首相はついに光明を見た。 彼女はドナルド・トランプが厳しい選挙で勝利したと言い、政治的な見解の違いにも関わらず、トランプ大統領は尊敬されるべきだと言っている。国際社会のステージにおいて、アメリカを無関心な傍観者にするよりも、同盟国にするほうがよいと気が付いたのだ。

 ヨーロッパは現在、移民問題と政治問題で岐路に立たされている。2018年にはイギリスが欧州連合から脱退することになっているし、欧州内で多発するテロリズムの問題も抱えている。このところイギリス、フランス、ドイツで起こっているイスラム過激派のテロ攻撃に直面して、さすがにメルケル首相も、テロリストと戦う上で、アメリカの諜報協力、軍事資源、経験がなくては大変な不利になることに気付いたのだろう。

 彼女は100万人以上のシリア難民をドイツ連邦共和国に受け入れるという決定を含め、ドイツにとって致命傷になりかねない舵取りをしている。これらの難民は多くの軽犯罪の原因となり、ドイツ市民に暴力を加え、性犯罪を起こすなど、社会的な害を生む一因にもなっている。だから私は、メルケル首相に万歳三唱を送る気にはなれないが、ささやかな拍手は送りと思う。半年たって、ついに彼女は民主的に選出された米国大統領に尊敬を示すことは、市民として当然であり、礼儀正しいことだと認識したのである。


BLUE:メルケル首相は世界がトランプを切り抜けられるよう願っているだけ
“Merkel Offers Hope That the World Will Survive Trump”

 ドイツは強力な国家であり、第二次世界大戦以来、米国との親密な関係を深めている。この友好関係は、両国が同盟関係にある世界の安定にとって重要であり、両国の貿易にとっても重要だ。

 メルケル首相はトランプを、忍耐強く、賢明に、プロフェッショナルに扱っている。一方でトランプは、自我とプライドにコントロールされて行動しているだけであることが明らかだ。他国の首脳がトランプを批判すると、彼は報復への子供じみた熱意をあらわにする。

 実際にトランプは、他国のリーダーが彼について何も批判的なことを言っていないにもかかわらず、攻撃することがよくある。例えばロンドンでの悲惨なテロ攻撃の後、トランプは、援助の申し出や同情の言葉を述べる代わりに、ツイッターでロンドン市長を攻撃した。世界のために、そしてトランプがいなくなった後も末永くドイツとアメリカが友情を保ち続けることを願って、我々はメルケル首相のトランプに対する賢明なアプローチに心から感謝するべきである。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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