SNSにおけるスマート・シェアリング

SNSにおけるスマート・シェアリング


 「SNSで写真をシェアーしたり、コメントを投稿する前に、必ずひと呼吸おくこと」。これは、このコラムで繰り返し書いていることだが、ソーシャル・メディアに何かを掲載するということは、あなたが想定しているよりも大勢の人たちにそれが見られる、ということである。たとえ「プライバシー設定」にしていても、一度オンラインに掲載した写真やビデオ、文章などを自分ひとりで完全にコントロールすることは難しい。たとえそのコメントや写真を削除しても、自分が消したはずの投稿が他のサイトでは閲覧可能ということは十分あり得る。削除をする前に、誰かがそれをコンピューターにダウンロードしていれば、いくらでもそんなことは可能になる。だからこそ、投稿ボタンをクリックする前に、それが家族や友達、同僚、近所の人たちにシェアーされても問題ないものかどうかを考えるべきなのだ。

 自分以外の人が写っている写真をシェアーする場合も、その写真が公の場で公開されても、そこに写っている全員が構わないと思うか否かを考えてから投稿するべきだ。そして、それに迷ったときは「もしも、この写真が美術館に大きく飾られていたとしたら、それを見て自分や友達は恥ずかしいと思うだろうか?」と、自分に問うてみよう。もしも、この答えが「いいえ」であれば、その写真は公の場でシェアーしても問題ない写真だろう。

 仮にあなたのSNSのアカウントがビジネス用の場合、たとえばツイッターのプロフィールをあなたという職業人で作っているならば、仕事関係者たちがあなたに関する情報やサービス、考え方などを知ることができるので、検索エンジンのインデックス(索引)にあなたの投稿を記録させた方がよいだろう。

 しかし、個人的なアカウントの扱いには気をつけたい。たとえば飲み会やパーティーの写真は、会の参加者や友人にシェアーするのは楽しい思い出でも、世界中の人が見ることができるオンライン上に永遠にシェアーされる設定にはしない方がよい。フェイスブックの設定が「友達だけ」または「友達の友達まで」の場合はそうなるが、通常設定だとインデックスがつけられる。ツイッターもアカウントを完全にプライベート設定にしない限り、常にパブリックであり、検索が可能だ。

 インスタグラムのアカウントはグーグル上で索引され、シェアーした写真以外の基本プロフィール情報はそこにキャプチャーされる。インスタグラムはすべての写真に、検索エンジンでインデックスしないようにタグをつけている。しかし、そのタグを無視する複数の検索エンジンや、コンテンツ・シェアーリング・サイトも存在するので、インスタグラムに個人的な写真を掲載する際には、アカウント全体をプライベート設定に変更する方が安全だ。

 また、自分はプライベート設定にしているという安心感から、結果的に個人情報を無意識のままオンライン掲載している人も少なくない。たとえば、よくネット上で見かけるのが、新しいパスポートや社員証、学生証を手にした際に、それが嬉しくてその写真をシェアーしているケースだが、こうしたことも大変危険だ。ワクワクする気持ちが大きくて、ついシェアーしてしまったのだろうが、そこに映っているパスポート番号や入館証の番号が個人情報として盗まれてしまう可能性を考えるべきである。自宅の表札の前やマンションの入口で撮影した記念写真を掲載している人もいるが、そういう写真を探して拾っている輩やストーカーもオンライン上にはびこっている。トラブルを出来るだけ避けるためにも、掲載する写真の背景や手にしているものに問題がないか、写真をシェアーする前に確認してから投稿しよう。

 こういう話を聞くとインターネットと関わることが怖くなる人がいるかも知れないが、注意点さえ守れば、ソーシャル・メディアは誰もが安全に楽しめる便利なツールだ。だから、何をシェアーするか内容の選択だけはスマートに行おう。

SNSに関する記事 >

この記事の寄稿者

インターエージェンシーLLC代表(ワシントン州シアトル)。デジタル媒体におけるブランディングおよびマーケティング・コンサルタント。クライアントは米大手スポーツ・ブランドや玩具メーカーから、スタートアップ、非営利団体などと幅広く、緻密なデータ分析から導き出すクリエイティブなネットマーケティングのコンサルテーションには定評がある。シアトルのグランジミュージック・シーンを牽引したバンドのベーシストだった過去を持つ。

関連する投稿


【Red vs. Blue】合意に達した日米貿易協定 それでいいのか、日本?

【Red vs. Blue】合意に達した日米貿易協定 それでいいのか、日本?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は合意されたばかりの日米貿易協定を、政治的な見解が異なるアメリカ人たちがどう思っているかについて。


行き先不明。「逃避行」を応援する旅行代理店が話題に

行き先不明。「逃避行」を応援する旅行代理店が話題に

アメリカには、驚くような経験を、驚くような手法で提供してくれる旅行サービス会社がある。一体どんなサービスなのか?


米南部人が大好きなフライドチキン、バーガーになって大混乱!

米南部人が大好きなフライドチキン、バーガーになって大混乱!

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は米南部の名物料理のひとつであるフライドチキンをバンズに挟んで売り出しただけで大騒ぎになってしまった件について。


16歳の対応がクレバーだと絶賛!トランプ大統領の皮肉に大人な対応

16歳の対応がクレバーだと絶賛!トランプ大統領の皮肉に大人な対応

国連の温暖化対策サミットで各国の代表を前に、怒りの涙を浮かべながら迅速な温暖化対策を熱望するスピーチをしたスウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさん。温暖化対策に後ろ向きといわれるトランプ大統領がツイートでトゥーンベリさんを皮肉ったところ、彼女の対応が「クレバー(賢い)!」だと世界的な話題になった。


リサイクルよりすごい! 完全再利用パッケージで商品を配達する新事業

リサイクルよりすごい! 完全再利用パッケージで商品を配達する新事業

プラスチックやガラスの容器などのリサイクルは、もはや常識だ。でも、リサイクルするよりも、容器をそのままの形で再利用すれば、さらに環境に優しくなる。アメリカでそれを実現した画期的なエコ・ビジネスが「Loop」だ。






最新の投稿


今週の神秘ナンバー占い(2019年10月18日〜24日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年10月18日〜24日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


大手メディアがまったく伝えない「トランプ大統領の良いところ」

大手メディアがまったく伝えない「トランプ大統領の良いところ」

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、アメリカの大手メディアがまったく伝えないトランプ大統領の良い部分を、保守系メディアではどう報道されているかを紹介しよう。


マイ・エコバッグより、さらに一歩進んだエコ袋とは?

マイ・エコバッグより、さらに一歩進んだエコ袋とは?

環境に配慮した日用品が市場に増えて来たアメリカでは、捨てずに何度も使用できるストローや、店で買い物をした際に自分のエコバッグを持参することなどがかなり定着してきた。最近ではエコバッグはもちろん、そのバッグ中にいれる商品の小分けに使う袋も洗って何度も使えるものや、土に返せるコンポースト素材のものが増えている。


今年も「ボスキャリ」の季節がやってきた

今年も「ボスキャリ」の季節がやってきた

アメリカの名門エモリー大学で28年間、教鞭をとってきた著者が語る、アメリカの日常と非日常。今回は、アメリカの大学を卒業する日本人学生のほとんどが参加すると言われている恒例の「ボストン・キャリア・フォーラム」における就活の様子について。


渦中の米WeWork、この3カ月半で新規オープン622件。大丈夫かの声

渦中の米WeWork、この3カ月半で新規オープン622件。大丈夫かの声

米メディアを騒がせている「WeWork(ウィーワーク)」。先月末のIPO撤回、カリスマ創設者の退任や現金不足など、厳しい局面を迎えていることで注目される一方で、ソフトバンク・グループの巨額出資、今月10日までの3カ月半で123都市、合計622件も新規共同オフィスをオープンしたことも注目されている。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング