アメリカのビジネスシーンに学ぶ、記憶に残る自己紹介法

アメリカのビジネスシーンに学ぶ、記憶に残る自己紹介法


 あなたは、「お仕事は何をされていますか?」と聞かれたら、どんな風に答えているだろう? 「自己紹介」はどんなビジネスシーンでも必須だが、アメリカの起業家には常識となりつつある「記憶に残る自己紹介方法」についてご紹介したいと思う。

 まず、ビジネスシーンにおける自己紹介の仕方をほんの少し変えてみるだけで、ビジネスの可能性を格段に広げることができることを知って頂きたい。私は経営者や企業の営業チームなどに向けて、セールス戦略やマインド面を向上させ、サービスや商品の売り上げを倍以上に伸ばすためのサポートを提供している。クライアントから問い合わせが来る際、面識がない方からの場合は「自己紹介」のような文書を頂くことが多い。しかし、それらを目にして非常に残念に思うのは、頂いた文書では「何の仕事をしている人か、よくわからない」と思えるケースが多い点だ。

 アメリカに限らず、ビジネスで成功するには「具体的にどんなビジネスをしているのか」をハッキリと相手に伝えることが重要だ。自己紹介で自分のビジネス詳細が伝わりきらなければ、せっかくのチャンスを逃してしまうだろう。

 ビジネス・コンサルティングで、私が「ビジネス自己紹介文」を書くことを提案することが多いのはそのためだ。この作業をクライアントと始めると、似たような「避けるべき点」を見ることが出来る。以下は自己紹介にありがちな、避けるべき3つの「間違い」である。心当たりがある方は、是非これらを修正して頂きたい。

間違い1「自分が持っている役職や資格を強調してしまう」

 例えば、あなたが司法書士の資格を持っているとする。「私は司法書士です」と言っても、相手はあなたがどんな資格を持っているかには興味がなかったり、司法書士とは具体的にどんなことをする人なのか想像がつかない人も少なくない。また、「XX会社の部長です」と言っても、具体的に何をする役職かを説明しなければ、相手にあなたの仕事は伝わらない。

間違い2「仕事のプロセスを説明してしまう」

「私は鍼灸師です。人間の体には経路という、いわゆる気が流れる道のようなものがありまして、その気の流れを針を用いて促すことで……」
私は○○をXXして、△△を作っています。
私は △△を提供するために○○をXXしています。
などと、仕事のプロセスを説明するが、人々が知りたいのはプロセスではなく、あなたのサービスや商品がもたらす効果である。

間違い3「難し過ぎて 伝わらない」

 情熱をもって仕事に取り組む様子が伝わる丁寧な説明をしても、そこで難しい専門用語を使ってしまう。特にスマートな男性に多いケースで、専門的なビジネス内容は、その分野に明るくない人が聞いても分からない。「なんのことやら……」と思われたり、「難しくて自分には縁が無い世界だ」となってしまう。その分野が専門でない人でもわかる言い方で(中学生でもわかる言葉を使って)説明するべきである。

 たとえ周囲にその人のサービスを必要な人が居たとしても、それをうまく紹介できなければ残念な結果になりがちだ。

 その反対に、アメリカで成功している起業家は、「What do you do?」(あなたは何をされているのですか?)に対する答え方がとても具体的だ。「What do you do?」と聞けば「よくぞ聞いてくれた!」とばかりに喜んでビジネスの自己紹介をしてくれる。「What do you do?」に対する答え方ひとつで、顧客を増やすことが可能と言っても言い過ぎではないだろう。

 私がアメリカで長年仕事をしてきた中で、これまでに最も秀逸な自己紹介だと唸ったのは、シリコンバレーでビジネススクールを経営する経営者が、自社のサービスを「弊校は意識が高く才能に満ちているが、集客に悩んでいる起業家を対象に、シックス・フィギュアー(6桁の年収、日本円で1,000万円以上)の安定を実現させるためのサポートを独自のメソッドを用いて提供しています 」と、紹介したケースだ。

 ビジネスの基本は「プロブレム・ソルーション(問題解決)」、つまり消費者が抱える悩みや問題を解決することだ。上記紹介文中には、ターゲットに定める客層、悩みを直接表現する言葉、提供するサービスの効果を伝えており、更には顧客の理想が実現した時の状態を具体的に表現する言葉も織り込まれている。この自己紹介を聞いて、まさに自分にピッタリのサービスだと感じた人はそのサービスに強く興味を惹かれるし、または、もし身近に当てはまる状況に置かれる家族や友人や同僚がいたら、是非紹介したいと思うであろう。

 私のビジネス・セミナーでも伝えることだが、輪郭がぼやけた自己紹介では、残念ながら顧客の心に止まり続けることは難しい。たとえば、「私は医師です」という表現だけでは、どのような状況の時に頼りにすれば良い医者なのか判断に困る。もう一歩踏み込んで具体的に「心臓外科医です」、「私はアトピー性皮膚炎専門の皮膚科医です」と言った方が伝わるし、患者の方からあなたを探して来てくれるだろう。それによって自分の得意分野の客、つまり理想通りの顧客と仕事を継続することが可能になるのである。

 また、たとえ目の前の相手が理想の顧客でなくても、具体的な自己紹介を心がけて欲しい。印象に残る自己紹介をすることで、あなたの理想の顧客をその人が間接的に紹介してくれる可能性は飛躍的に広がるはずだ。だからこそ、ビジネスで初めて会う人に対しては、相手の心に響くだろうと思える言葉を選び、できるだけわかりやすく伝える自己紹介を心がけて欲しい。

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