
ロシアの米大統領選干渉問題「ロシアゲート」とトランプ陣営の関連疑惑が浮上し、ニュースになったのは記憶に新しい。トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、昨年の大統領選中にロシア人弁護士から電子メールで「ヒラリー・クリントン氏に不利な情報を提供したい」という申し出を受け、関係者間で会合を持ったことが明らかになったのは、7月のことである。
同問題を巡っては、司法省の監督下で米上院司法委員会が設けられ、調査が進められている。CNNは先月29日、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、委員会による非公開の聴取に応じることに同意したと報じた。ところがその翌日、トランプ大統領は同委員会委員長の共和党アイオワ州上院議員チャック・グラスリー氏に電話をし、大統領選の公約であるエタノール産業の支持を約束した。アイオワ州の農産物であるトウモロコシを原料とするエタノールは、グラスリー氏の政策重要課題だ。このニュースを報じた『ガーディアン』紙は、トランプ大統領の電話のタイミングに疑問を呈し、グラスリー氏に暗黙の圧力をかけたのではないかとほのめかしている。RedとBlueはこれをどう見るか?
元記事:Trump Makes Policy Pledge to Senator Investigating Son's Russia Meeting

“The Trump Issue with Russia does exist--except in the imagination of the Leftist Media”
この話に中身は何もない。左派メディアは民主党が大統領選で負けた責任を(本当に責任のある人物以外の)誰にでもいいから押し付けようと、トランプとロシア問題を拡大して完全なでっち上げをしている。ヒラリー・クリントンが選挙に負けたのは、彼女に敬意が欠けていたからだ。クリントンは米国の有権者に対する敬意に欠け、法に対する尊敬に欠け、彼女自身に対する敬意も欠けていた。民主党予備選でクリントンが民主党全国委員会と共謀して、当時の対戦候補バーニー・サンダースとの討論に先駆けて質問のコピーを入手させたのはロシアではない。また、クリントンが2016年の大統領選に勝つ可能性に悪い影響を与えないよう、彼女の犯罪調査をどのように扱うべきかとオバマの司法長官ロレッタ・リンチと陰謀を企てたのも、ロシアではない。夫の何年にもわたる不倫と個人的な辱めにも関わらずビル・クリントンと別れなかったのも、そのことが最高司令官としての彼女への信頼性や判断、気質に疑問を投げかけることになったのも、ロシアが仕向けたものではない。ロシア、あるいはドナルド・トランプを責めようとするニュースはどれも、真実を見ることができない負け犬左派メディアの作り話だ。ヒラリー・クリントンの大統領への道を打ち壊したのは、ヒラリー・クリントン自身である。

“Trump Thinks He Is Above the Law ”
トランプが、共和党アイオワ州上院議員チャック・グラスリーに公約実行を個人的に約束したことは、明らかに見返りを期待する行為で、トランプはそれを隠すことさえしていない。彼は、自分が望むことは何でもできると考えており、大統領執務室に対する尊敬のかけらさえない。トランプは自分が賢いビジネスマンだと思っている。彼はグラスリー上院議員を援助すると約束することで、議員がトランプの息子に特別な取り扱いをする義務を感じ、お返しをしてくれると思っているのは明白だ。
トランプは長年にわたって、エタノール産業を支援すると約束してきた。しかし、彼の大切な友人である原油業界への支援は、エタノールの活性化への約束を果たすことを困難にしている。原油企業はエタノール製品を脅威に感じているからだ。つまりトランプは、グラスリー議員に対して空約束をしたのだろう。しかし、もしもグラスリー氏がトランプへお返しをせず、聴取において委員会がドナルド・トランプ・ジュニアに厳しい質問をしたら、トランプは同議員に対して政治的な仕返しをし、ツイッターで彼を侮辱するに違いない。右派は共和党の大統領が欲しかったからトランプを支持したが、彼らが得たのはただの道化師だったというわけだ。
寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者
1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。
「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!