「職場の飲み会」は業務時間にやる?

「職場の飲み会」は業務時間にやる?


 アメリカのIT企業では、日本でやるような部署単位での飲み会はまず存在しない。たまにチームでのディナーが企画されることもあるが、その場合は費用は会社持ちで、完全に自由参加になる。業務時間後だと家庭の事情で参加できない人が多いからだ。新入社員が入ったとしても、歓迎会を業務時間後にやるようなことはまず無く、大抵はランチで済ませてしまう。時によっては去っていくメンバーの送別ランチさえも開催されず、何も言わずにメンバーが居なくなることもある。

 会社絡みの人間関係は、日本に比べてドライであることは確かだ。会社で人付き合いをしたくない人にとっては、かなり良い環境だろう。それでもマネージャーの視点から見ると、日本と同様に、チームメンバー同士の仲は良い方が望ましい。なので、社員同士の交流の場としては、「モラル・イベント」という行事が行われる。そこではチームワークがよくなるように、リラックスした雰囲気でメンバー同士が交流できるのだ。

 簡単なところでは、オフィスで行われるミニ・イベントがある。金曜日の午後にビールやワインをオフィスで飲む即席の「飲み会」、"Happy Hour" とか "TGIF” ( Thanks God, It's Friday. 神様ありがとう、今日は金曜日だ )などと呼ばれたりする。時には、ドーナツ大食いイベントや、ドローンのレースが行われることもある。「飲み会」は毎週の開催だったり、月一だったり、やらなかったりとチームによって様々だが、一番のポイントは気軽に参加できるということだ。最初から最後まで参加する必要はなく、仕事が一段落したタイミングでふらっと参加して、すぐまた仕事に戻っても良い。

 オフィス外で行われるモラル・イベントもある。手軽な映画観賞やハイキングに始まり、ボウリング、カートレーシングインドア・スカイダイビングウォリーボールなどのレジャー施設にチームで行って一緒に遊ぶイベント、さらに1日がかりでクルーズ船に乗ったり、まれだが泊りがけでリゾートに出かけることもある。各チームにモラル・イベントのための予算が割り当てられていて、時によっては非常に豪華なイベントが行われるのだ。一緒にスポーツやレジャーをやるようなオフィスでの交流よりも確かに仲良くなりやすい。

 もちろん、なかにはこういう行事に参加したがらない人もいる。興味が無いから参加しない人も居るし、仕事を進めたいから参加しない人もいる。全て業務時間内に行われるので、参加せずに仕事をする人も多くいるのだ。たまに、参加せずに家に帰ってしまう人もいる。完全に自由参加なので、参加しなくても責められたり、説教されたりすることは無い。イベント自体が嫌いな人にとっても、やる気を高めるはずのイベントがプレッシャーになったり、逆効果になることは無いと言えるだろう。

 余談だが、私は一度、ある会社を辞める最後の日にチームでのモラル・イベントをやってもらったことがある。元々予定されていたイベントの1週間前が私の最後の出勤日に決まったため、わざわざ予定を変更してその日に合わせてくれたのだ。仕事の整理と机の周りの片付けを全て済ませ、昼過ぎからウォリーボールで皆と一緒に汗を流し、最後にメンバーひとりひとりと握手をして別れたのが、そのチームでの最後となった。「珍しい、面白い辞め方だねえ」とイベント中は冗談を言い合っていたのだが、メンバー達と楽しい時間を過ごした直後の帰り道では勤務期間中の楽しかったことばかりが思い出され、それまでの卒業や転職の「最後の日」とはまた違った寂しさを拭い去ることが出来なかった。

IT業界に関する記事 >

この記事の寄稿者

関連するキーワード


ビジネス アメリカ人

関連する投稿


「一流」や「本場」から学ぶということ

「一流」や「本場」から学ぶということ

「ペンタゴン(米軍)式」はビジネスでも使える! メンタル・トレーニングを中心に、国防省現役キャリアの著者が知られざるペンタゴンの世界を紹介する『ペンタゴン式・心の鍛え方』。何かを習得したい時には、ボトムアップでコツコツ自分を試すだけなく、一流や本場と呼ばれる世界に体当たりしよう。


シリコンバレーで意外とニーズの高い仕事とは?

シリコンバレーで意外とニーズの高い仕事とは?

数日から数か月で、倍から数十倍に売り上げを伸ばすビジネス・コンサルタントがお届けする、アメリカ式「勝てるビジネス」のノウハウとは? 田島洋子のコラム、『アメリカのビジネスシーンで人を惹きつける秘訣』。アメリカのビジネスマンやビジネスウーマンは、きちんとしている印象を持つ人が多いかも知れないが、意外にそうでもない……。


期限は1月7日まで。幸せを約束する場所に急げ!

期限は1月7日まで。幸せを約束する場所に急げ!

 「ディズニーランドに強烈な競合相手が出来た!」とロサンゼルスに住む人たちが語る場所。その名も「Happy Place」。一体、どんな場所なのだろう?


アメリカ人はなぜ、エッグノックを飲むのか?

アメリカ人はなぜ、エッグノックを飲むのか?

自然を愛し、趣味はハイキングと食べることという著者・デイビッド・アンドリューズが、「ごく普通」のアメリカ人代表として綴る『You Are What You Eat~食は人なり~』。クリスマスになると登場する卵色の飲み物「エッグノッグ」。アメリカ人はみんな、これが好きなのだろうか?


バノン氏、次期大統領戦へ向けて極右派トーク番組レギュラーに復活

バノン氏、次期大統領戦へ向けて極右派トーク番組レギュラーに復活

元トランプ政権のご意見番で、米極右派のリーダー的存在であるスティーブ・バノン氏が、再び自身が率いる右派メディアによるラジオ番組にレギュラー出演することを発表し、次期大統領選に向けてスタートを切った。






最新の投稿


「一流」や「本場」から学ぶということ

「一流」や「本場」から学ぶということ

「ペンタゴン(米軍)式」はビジネスでも使える! メンタル・トレーニングを中心に、国防省現役キャリアの著者が知られざるペンタゴンの世界を紹介する『ペンタゴン式・心の鍛え方』。何かを習得したい時には、ボトムアップでコツコツ自分を試すだけなく、一流や本場と呼ばれる世界に体当たりしよう。


ラスベガスで植木鉢を食べよう!

ラスベガスで植木鉢を食べよう!

 アメリカを代表する観光都市、ラスベガス。カジノや世界一流のエンターテインメント・ショー、至近にはグランドキャニオンと見所が一杯だが、有名レストランが多いことも見逃せない。


フェイスブックを作ったことを後悔 元管理職の告白

フェイスブックを作ったことを後悔 元管理職の告白

今や世界中で利用されているソーシャル・ネットワークを構築した先駆者、フェイスブック。しかし、その初期に参加していた制作者たちが次々にメディアで発言し、SNSそのものに対して警笛を鳴らし始めている。


シリコンバレーで意外とニーズの高い仕事とは?

シリコンバレーで意外とニーズの高い仕事とは?

数日から数か月で、倍から数十倍に売り上げを伸ばすビジネス・コンサルタントがお届けする、アメリカ式「勝てるビジネス」のノウハウとは? 田島洋子のコラム、『アメリカのビジネスシーンで人を惹きつける秘訣』。アメリカのビジネスマンやビジネスウーマンは、きちんとしている印象を持つ人が多いかも知れないが、意外にそうでもない……。


アップルが音楽認識アプリのShazamを約4億ドルで買収

アップルが音楽認識アプリのShazamを約4億ドルで買収

アメリカで音楽認識アプリといえば、Shazam(シャザム)。世界中に数億人のユーザーがいると言われるShazamの技術が、音楽で抜きん出ているアップルに加わることで市場に大きな影響を与えるのは間違いない。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング