CNNの記事撤回事件の裏側をNYタイムス紙が取材検証

CNNの記事撤回事件の裏側をNYタイムス紙が取材検証


 今年6月、トランプ大統領の上級顧問がロシア疑惑で連邦会議の調査を受けているという記事がCNNのウエブサイトに掲載されたが、社内の編集基準を満たしていないとして翌日撤回され、関係記者3人が辞職した異例の事件は、ジャーナリズム界に衝撃を与え、トランプ大統領がCNNを攻撃する格好の材料にもなった。ピュリッツアー賞受賞記者を含めた敏腕ジャーナリストのチームが、そうした間違いを起こすに至った背景に何があったのか。同事件について『NYタイムズ』紙の記者が綿密に取材している。CNNには政府から圧力がかかったのではないかという疑惑や、CNN社内にスクープへのプレッシャーがあったこと、他メディアから引き抜かれてきたエリート記者に対する内部の厳しい視線などと言った裏側を取材した記事だ。極右派メディア『ブライトバート』が、CNN サイトから撤回された問題の記事を転載して「これこそフェイクニュース」と報じたことなども伝えている。さて、RedとBlue の感想は?

出典:『New York Times』
元記事:At CNN, Retracted Story Leaves an Elite Reporting Team Bruised

RED: CNNは世間の軽蔑に値するが、同情には値しない
“CNN deserves public scorn not sympathy”

 私はCNNが気の毒だとは思わない。私に言わせれば、彼らはアメリカの報道機関の中でも最悪のジャーナリストのクズである。彼らは大統領を中傷するために、ほんのわずかな証拠さえもないのに、次々と話をでっち上げる。CNNは、真実または客観的な報道というものに興味がないのだ。彼らには左翼の課題があり、公然と民主党を支持している。記事が間違ったのは、CNNの崩壊した社内編集プロセスのせいだ。このニュースの背景にある事実は、それ以上でも以下でもない。いい加減にしてくれ。CNNは真実など気にもかけていない。もしも気にかけていたなら、記者や経営幹部の採用にもっと厳正になるだろうし、アメリカのケーブルチャンネルに毎晩のように嘘のゴミで埋め尽くされた情報を流すことに対して、もっと用心したことだろう。

 しかし朗報がある。CNNの残りの日々は少ないと私は見ている。CNNは2017年の5月と6月の間、プライムタイムにおける視聴率が20%近く減少した。このままではネットワークが閉鎖されるか、報道活動を縮小するか、あるいは他の形態——多分ドキュメンタリー制作に転向するか選択を迫られるのではないか。いずれにしてもそれが起こるのは時間の問題だろう。今年5月のハーバード・ハリス世論調査によると、65%のアメリカ人はニュースメディア(特にCNN)は偽の報道を流していると信じている。少なくともCNNは大半のアメリカ人を騙すことはできなかったようだ。私は、最終的にはアメリカが完全にCNN を無視するようになることを願うばかりだ。アメリカには、CNNがない方が良い。


BLUE:CNNは過ちを認めたが、フェイクニュース・サイトは決して認めない
“CNN Admits a Mistake, But Fake News Sites Never Do”

 この事件については、以前にもこのコラムで議論している。CNNの報道チームは規則を破り、そのことが見つかって職を失う責任を取らされた。裁きは下された。
 しかし、右翼メディアはいまだにこの話を引きずっている。CNNと件のチームの問題に対する右翼メディアの喜び方は、彼らの報道がいかに偏っているかをよく示している。
 『ブライトバート』、『FOXニュース』、そして彼らの右翼の同類たちは、事業を開始した初日から偏った記事を報道している。彼らは陰謀論、偏向した記事、または完全な嘘のニュースを流すことに対してまったく躊躇しない。しかし、CNNが伝えるすべての正しいニュースの中で、たったひとつ間違いを起こしたことが発覚したら、右翼は、まるでCNNが政府を倒そうとして見つかったかのように扱うのだ。
 いつものことながら、騒々しい者ほど隠すことが多い。「あっ、ほら、俺たちは悪くないぞ。見てみろ、奴らが何をやったか!」と。『ブライトバート』や『FOXニュース』は、競争相手が捕まった時にほくそ笑むのではなく、常日頃から何かを成し遂げるよう、事実を報道してみるべきだろう。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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