セレブリティが指定する鑑定場所

セレブリティが指定する鑑定場所


 セレブリティたちの人生に、ゴシップはつきもの。私生活がニュースになるのは想定内で、それは本人たちも分かっている。けれど、パパラッチに隠し撮りを狙われ続け、ありもしないことを書かれてしまうことを「有名税だと思えばいい」などと言い切れる人は稀だろう。

 私達はみな、同じ人間。ありもしないことを世間に報じられて、傷つかない人はいないと思う。立場上、私は彼らの悩みの相談に乗るのが仕事でもあるが、「あの記事には参った」と、心底落ち込み、傷ついてしまう人はとても多い。

 なので、有名人といわれる人たちが、私達のような仕事をしている人間に何かを見てもらう際、彼らはとても慎重になる。「運命鑑定=悩み、問題」という公式が誰でもすぐ浮かぶので、ゴシップ記事を書く仕事の人たちにそのことを知られたら、何と書かれるか分からない。だから彼らは、鑑定士や占い師の存在自体を秘密にし、鑑定士に長期契約の代わりに他の人の鑑定を行う際の条件をつけたり、「鑑定士という職業を公開しない」と誓約させたりするのだ。

 以前、私と同じ仕事をしている仲間のひとりが、「鑑定士という職業を公開しない」と契約書にサインした上で、定期的にある男性俳優を鑑定していた。鑑定をする指定場所はいつも一流ホテルのスイートルームだったが、ある時、仕事を終えて出てきたところをパパラッチに撮影されて、「XXXの新しい恋人は20歳年上の子持ちの既婚女性」とタブロイド記事に書かれてしまった。彼女は契約書にサインをしていたため、その誤解を公表できずにとても苦しみ、家族にも迷惑が掛かったこともあって、それ以後は有名人の鑑定を引き受けなくなった。

 この事件はハリウッド内部では有名な話で、この事件後はセレブリティの運命鑑定の場所にホテルが使われることは少なくなった。ホテルだけでなく、自宅やハリウッド市内も避けるケースが増え、誰もがもっと安全だと思える場所を指定するようになった。

 ほとんどの場合、私たちは現場に行くまで行き先を伝えられない。お迎えの人が来て、延々と車に乗せられ、ロサンゼルスから何時間も掛けて、エージェントが運命鑑定のためだけに借り切った森の中の一軒家に連れていかれたこともあるし、立ち入り禁止になっている取り壊し前の郊外のビルに連れていかれたこともある。

 最近一番多い鑑定場所は、プライベート・ジェット機の中だ。移動時間を利用できる上、プライバシーが完全に保てるので、セレブリティたちにとって最適な場所だと思う。私もプライベート・ジェットのように隔離された場所であれば、安心して仕事に集中できる。顧客たちとは仕事で会っているのに、「新しい恋人だ」、「不倫だ」と疑われては身が持たないし、一般人の私には、それも仕事の一部だとは思えない。セレブリティでいることは、本当に大変なのだ。人が羨むような生活をしていても、不自由はいっぱいある。他人の人生は、外から見ただけでは分からないものだ。

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この記事の寄稿者

運命鑑定士の家系に生まれ、幼少期より算命学、数秘術、占星術などを学ぶ。米国ロサンゼルス在住。大学を卒業後、両親の顧客であった著名人の運命鑑定を引き継いだことをきっかけに依頼が増え、現在は長期契約の顧客のみを鑑定しながら、シンボル・アートの制作に力を入れている。日本にも住んでいたことがある。

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