アメリカ人のジョーク

アメリカ人のジョーク


 アメリカ人との会話の中でいつも感心することは、ジョークをシリアスな場面でも使いこなす話術である。例えばアメリカ人の医師は、大きな手術中でもジョークを言う。それが患者の緊張を解くからだ。

 アメリカ人が使うジョークは、日本人からみると皮肉(sarcasm)に聞こえ、傷つく類のものが多いのだが、それこそがアメリカ流であり、文化でもある。アメリカのジョークは、日本人による冗談や漫才、お笑いのネタとは全く異なる種類のものだ。実際、過去に日本人のお笑い芸人が英語で漫才のネタをハリウッドで公演したが、全く受けなかった。

 では、アメリカ人に受けるジョークとは、どういうものか? たとえば下記のように、シリアスな会話にもジョークのエッセンスを入れ込んで打ち明けるなどは一般的な例のひとつだろう。

妻「あなた、今日は良いニュースと悪いニュースの2つあるの。どっちを先に聞きたい?」
夫「そうだなあ、やっぱり、いいニュースだな」
妻「あなたの車のエアーバックは、正常に動作したわよ」

 上記はアメリカの文化同様にダイレクトでありつつ、皮肉的な言い回しを使って何があったのかを相手に伝えようとしている。もし、上記の会話を日本人が伝える場合は、妻は夫に、夫が大事にしている車で事故を起こしてしまったことを涙ながらに伝えて、誠心誠意で謝るのが一般的かもしれないが、切り返しが早いアメリカ人は、同じことを伝えるにも、どこかに笑いが残るユーモアを入れるのである。

 これをアメリカ人は、センス・オブ・ユーモア(Sense of humor)というが、どんな会話にもユーモアのセンスを上手く入れることは、アメリカ文化なのだ。この背景を理解した上で、自分でジョークを考えて、それを会話に活かしてアメリカ人を笑わせることができたら、立派な英語の達人だと言えるだろう。ここで大切になることは英語力そのものよりも、アメリカ人の「笑いのつぼ」にうまく入ることだ。これは訓練するというより、慣れだと思う。普段からコメンテーターが紹介するアメリカの政治ニュースやミュージカル、コメディー・ショーなどを見ておくと、この感覚がだんだんわかってくるだろう。

 アメリカ人がジョーク好きと言っても、それが行き過ぎるものであれば、当然相手を怒らせるきっかけにもなるので注意が必要だ。そのためには、皮肉を効かせていながらも、単純かつ「前向きな見解に至る内容」のジョークを常にいくつか準備しておくとよいだろう。つまり、たとえジョーク話の設定がなんであれ、そのジョークの最後のオチがポジティブな気持ちになるものであれば良いのである。
  ちなみに、私が教えてもらったアメリカン・ジョークのひとつに、こんな話がある。

 レストランでウエイトレスが熱いスープを客に運んでいた際に、そのスープの中にウエイトレスの指が入ってしまったのを見た客が、「君の指が僕のスープの中に入っていたぞ」と、クレームをつけた。すると、そのウエイトレスはこう言った。「あら、大丈夫よ。私はやけどしてないから」。

 これを聞いて客もウエイトレスも笑い飛ばして終わるのだが、このジョークに「どうしてそこまで笑うのか?」というほどアメリカ人は笑う。こういう前向きに捉えられるようなユーモアを発見して自分の英会話術に組み込み、アメリカ人を相手にさらっとジョークを言えるビジネスマン&ビジネスウーマンでありたいものである。

アメリカ人に関する記事 >

この記事の寄稿者

 ファッション、美容を中心に、日本とヨーロッパで長年輸出入ビジネスを展開。2008年、リーマンショック直前に日本の拠点としていた輸入会社を大手アパレル企業、株式会社ベイクルーズに売却、翌年2009年よりアメリカで本格的な事業展開をスタートし、ハワイ州にビジネスを登記。その後カリフォルニア州ロスアンゼルスにFundsmedia incを設立した。日米双方に向けての商品開発や販売、マーケティング、コンサルテーション、プロモーション、ライセンス契約エージェント業務など、幅広いサービスを提供。特にビューティー、フードビジネスエリアに関するサービスには定評がある。日欧米というグローバルな土壌で培った長い事業経験と、常に新しい視点でリサーチを重ねたビジネス案、ヒット予測を元に、現在新商品開発にも力を入れている。アメリカでビジネス展開を希望する、日本の個人、企業パートナーも募集中。

関連する投稿


日本の逸品、アメリカ人が査定①「ふくらむえのぐ」

日本の逸品、アメリカ人が査定①「ふくらむえのぐ」

「日本の逸品をアメリカ人に手渡したら、どんな反応をするだろう?」。それを見てみたいという好奇心にお応えする企画第一弾は、「ふくらむえのぐ」。 アメリカでは売られていない文具を手にした子供たちの反応は?


これからは「ペットが飼主に電話する」?

これからは「ペットが飼主に電話する」?

自宅にカメラを設置し、外出先からスマホでペットの様子を確認できるアプリ類はもう一般的。そこで今度は、外出中の飼主にペットからコンタクトすることが可能なガジェットが登場し、話題になっている。


1月第4週ニュース・ピックス! 世界滅亡時計から、黄金の便器まで

1月第4週ニュース・ピックス! 世界滅亡時計から、黄金の便器まで

米大手メディアが拾わないような現地ニュースも含め、アメリカ人たちが「これは見逃せない!」と思ったニュースをピックアップ! 先週は、黄金の便器、洗剤を食べる人増加など冗談のようなニュースに注目が集まった。


バッファロー・ウイングを食べるときには

バッファロー・ウイングを食べるときには

自然を愛し、趣味はハイキングと食べることという著者・デイビッド・アンドリューズが、「ごく普通」のアメリカ人代表として綴る『You Are What You Eat~食は人なり~』。アメリカで「ビールに合うつまみ」といえば、ソースに絡めたバッファロー・ウイング。手がベタベタになることが玉に瑕だが……?


野菜は近所で調達! ローカル・フード・ムーブメント

野菜は近所で調達! ローカル・フード・ムーブメント

「サステイナブル(持続可能)」は、今日のアメリカの農業を語る上での、ひとつのキーワードだ。サステイナブルな農業にもいろいろな方法があるが、身近でそれを実現させている注目のサイトを紹介しよう。






最新の投稿


死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

アメリカには不思議な法律がいろいろ存在するが、ワシントン州で思わず首をかしげたくなるような「ホラーな法案」が承認され、この5月1日から施行されようとしている。かなり気味が悪い法律の全貌とは?


再生紙はもはや常識? 環境に優しいファストフード

再生紙はもはや常識? 環境に優しいファストフード

アメリカのファストフード企業の多くは、このところ環境配慮を全面に押し出したマーケティングを行っている。環境配慮の一環としてパッケージに再生紙を利用し、プラスチック・ストローを廃止し、パッケージのリサイクルなどを行うだけでなく、商品を包むパッケージの全てを「堆肥化可能なもの」にしたという企業も現れた。


ストリーミング市場を制する米ネットフリックス、加入者数が歴代最大

ストリーミング市場を制する米ネットフリックス、加入者数が歴代最大

世界最大の動画ストリーミング配信企業、米ネットフリックスが、今年の第1四半期の業績を発表し、加入者数は前年同期比8%増で歴代最大の1億4,890万人だと明らかにした。アップルとディズニーの参入で競争が激化するストリーミング市場で今後の伸び悩みが懸念される同社だが、他社との差別化で躍進を続ける構えだ。


成功への選択「落とし前のつけ方」2019年4月19日~4月25日

成功への選択「落とし前のつけ方」2019年4月19日~4月25日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


【Red vs. Blue】あのシェル石油がパリ協定を支持! 米国のロビー支援をやめると発表

【Red vs. Blue】あのシェル石油がパリ協定を支持! 米国のロビー支援をやめると発表

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は世界的な大企業のシェル石油が気候変動抑制を支持し、長年の米国でのロビー活動をやめると発表したことについて。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング