NFLトム・ブレイディ選手「国歌演奏中の行動はチームメイトへの愛」

NFLトム・ブレイディ選手「国歌演奏中の行動はチームメイトへの愛」


 NFL(米ナショナル・フットボール・リーグ)の人気チーム、サンフランシスコ・フォーティナイナーズのクォーターバックだったキャパーニック選手が、昨夏、人種差別に対する抗議として、試合開始前の国歌演奏中に起立せず膝をつくという行動を始めて以来、それがNFLで徐々に広まった。ところが先月22日、トランプ大統領がアラバマ州の集会で「(膝をついた)選手たちをクビにしろ!」と発言したことから、それに反発してNFLの多くのチームの間で抗議行動が爆発的に広がった。先月25日のニューイングランド・ペイトリオッツ対ヒューストン・テキサンズ戦では、ペイトリオッツの選手16人が膝を付き、国民的なスターでトランプ大統領とも親交のあるトム・ブレイディ選手が、起立したままだがチームメイトと腕を組んだ。ブレイディ選手は、「チームメイトと対戦相手に対して愛と敬意を示すための行動だ」とコメント。NFL選手の多くが黒人であることから、トランプ大統領は「黒人の平和的抗議行動には強く反対するが、白人至上主義者やKKKの暴力行為には何も言わない」という批判の声もメディアから上がっている。RedとBlueはこうした動きをどう分析するのか。

出典『Boston Herald』
元記事:Tom Brady says anthem decision was about showing love for teammates

RED: アメリカの左翼はNFLと共に国の文化と歴史を破壊している
“Leftists in America are destroying the culture and history of a nation, along with the National Football League as well”

 この話はあまりにもバカバカしいため、アメリカ以外の国では、これが報道されるという愚かさは理解できないだろう。この国のリベラルと左翼はバカだ。彼らがアメリカは差別の国だという主な理由は、かつて南北戦争前の南部で奴隷制度が合法だったという事実からだが、奴隷制度は米国では150年以上も前に憎むべき制度として廃止されている。

 さて、ナショナル・フットボール・リーグ開幕では、総勢で約100人のプロ・フットボール選手が、アメリカが未だに人種差別の国だからという理由で国歌演奏中に起立しないことを決めた。しかし、米国憲法修正第14条(1868年)には、いかなる市民もその肌の色によって異なる扱いを受けてはならないとうたわれている。南北戦争(1895年に奴隷制度を終結させた)において36万人もの連合軍人が命を落とし、その結果、この国ではすべての人が自由に生きることができるようになったのだ。

 みんな自分が信じたいことを信じたらいい。しかし、国歌演奏中に起立するのは人種差別ではない。それは礼儀正しい敬意の表明だ。仲間への尊重、アメリカの国旗への尊重、世界の人々を代表する自由への尊重だ。しかし、これらの愚か者たちが国歌演奏中に膝をつくのをやめて静かに起立すべき最も重要な理由は、彼ら自身への尊重のためである。


BLUE:フットボール選手はトランプよりもアメリカ人らしい
“Football Players Are More American Than Trump”

 アメリカの価値観の真髄のひとつは自由だ。言論の自由は、米国憲法によって保証されている。そして保守派たちは、他の全てのアメリカ人と同じだけ言論の自由を高く評価している。

 ところが保守系ウェブサイトは「政治的正当性」に関して始終不平を述べている。彼らは特定の言葉に対して「無礼だ」と言われることをとても嫌う。女性や白人以外の少数派の人々を差別から守るルールは「不公平だ」と苦情を言うのである。何をすべきか、何を言うべきかについて、保守派が他から指図されたくないのは明白だ。

 「アメリカは何かが間違っている」と言って、トランプは大統領に選ばれた。しかし、フットボール選手たちが「アメリカは何かが間違っている」と、国歌演奏中に抗議の姿勢を示したら、保守派は彼らに国から出て行けと言う。しかし待ってくれ、保守派たち自身が、表現の自由の権利があると大声で言っているではないか? 

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

差別に関する記事 >

この記事の寄稿者

関連する投稿


【Red vs Blue】セクハラは党政治よりも大きな問題だ

【Red vs Blue】セクハラは党政治よりも大きな問題だ

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。最近は毎日にように「まさか、この人が?」という文化人や有名人の過去のセクハラ行為が次々とメディアに取り上げるが……?


【Red vs Blue】トランプ大統領、水を飲むためスピーチを中断

【Red vs Blue】トランプ大統領、水を飲むためスピーチを中断

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は、話題に事欠かないトランプ大統領の「大統領としての振る舞い」がなっていないと批判する米メディアの記事について。


アウトドアウエアのパタゴニア、トランプ大統領を告訴

アウトドアウエアのパタゴニア、トランプ大統領を告訴

 壮大なグランド・ステアケース・エスカランテ国定公園と、ベアーズ・イヤーズ国定公園は唯一無二の自然の宝庫。しかし、鉱山開発を推進するトランプ大統領は保護を辞めると決定。そこに、パタゴニアが立ち上がった!


「メリー・クリスマス!」と言いたい人は、どうすればいいのか?

「メリー・クリスマス!」と言いたい人は、どうすればいいのか?

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などを、ジョーンズ千穂がアーカンソー州より徹底紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。日本とは異なり、多人種から構成されるアメリカでは、12月の挨拶も一筋縄ではいかない……。


米大統領夫人と副大統領夫人が揃ってファストフード店でランチ?

米大統領夫人と副大統領夫人が揃ってファストフード店でランチ?

米国のファースト・レディとセカンド・レディが揃ってテキサス州のハリケーン被災地を訪問中、予告なく地元のファストフード・ハンバーガー店に立ち寄り、気軽にランチを購入して店員やプレスを驚かせた。






最新の投稿


「一流」や「本場」から学ぶということ

「一流」や「本場」から学ぶということ

「ペンタゴン(米軍)式」はビジネスでも使える! メンタル・トレーニングを中心に、国防省現役キャリアの著者が知られざるペンタゴンの世界を紹介する『ペンタゴン式・心の鍛え方』。何かを習得したい時には、ボトムアップでコツコツ自分を試すだけなく、一流や本場と呼ばれる世界に体当たりしよう。


ラスベガスで植木鉢を食べよう!

ラスベガスで植木鉢を食べよう!

 アメリカを代表する観光都市、ラスベガス。カジノや世界一流のエンターテインメント・ショー、至近にはグランドキャニオンと見所が一杯だが、有名レストランが多いことも見逃せない。


フェイスブックを作ったことを後悔 元管理職の告白

フェイスブックを作ったことを後悔 元管理職の告白

今や世界中で利用されているソーシャル・ネットワークを構築した先駆者、フェイスブック。しかし、その初期に参加していた制作者たちが次々にメディアで発言し、SNSそのものに対して警笛を鳴らし始めている。


シリコンバレーで意外とニーズの高い仕事とは?

シリコンバレーで意外とニーズの高い仕事とは?

数日から数か月で、倍から数十倍に売り上げを伸ばすビジネス・コンサルタントがお届けする、アメリカ式「勝てるビジネス」のノウハウとは? 田島洋子のコラム、『アメリカのビジネスシーンで人を惹きつける秘訣』。アメリカのビジネスマンやビジネスウーマンは、きちんとしている印象を持つ人が多いかも知れないが、意外にそうでもない……。


アップルが音楽認識アプリのShazamを約4億ドルで買収

アップルが音楽認識アプリのShazamを約4億ドルで買収

アメリカで音楽認識アプリといえば、Shazam(シャザム)。世界中に数億人のユーザーがいると言われるShazamの技術が、音楽で抜きん出ているアップルに加わることで市場に大きな影響を与えるのは間違いない。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング