「フェイク・ニュース」の定義がアメリカの辞書に初掲載

「フェイク・ニュース」の定義がアメリカの辞書に初掲載


 そもそも「フェイク・ニュースとは何を指すのか?」という素朴な疑問を持つのは、日本の読者だけではないらしい。アメリカ国内でも大勢の人々がフェイク・ニュースの意味や定義をオンラインで検索しているという。ちなみに、歴史ある『オックスフォード』辞書のオンライン検索では、「該当する単語の定義は見つかりません」という結果が出てしまう最も多い言葉のひとつが「フェイク・ニュース」だという。

 こうした背景から、何がフェイク・ニュースかについて「定義すべき」という動きが出ていた。特に昨年の米大統領選を機に高まったのは、トランプ大統領が選挙戦中にしきりにこの言葉を使ったためだ。そして今回、Dictionary.comの次回のアップデートで「フェイク・ニュース」という言葉が追加されることになった。

 フェイク・ニュースはトランプ大統領と彼の支持者たちが多用する言葉のひとつとして知られているが、定義化は冷静かつ機械的に表記される。その言葉の持つニュートラルな意味を重んじる辞書としての役割上、辞書編集者の思想や好みに影響されることも、現大統領の使用法を反映した定義になることもない。辞書には下記のように入れ込む予定だそうだ。

fake news:
false news stories, often of a sensational nature, created to be widely shared online for the purpose of generating ad revenue via web traffic or discrediting a public figure, political movement, company, etc.

フェイク・ニュース:
偽のニュース。センセーショナル性を持たせ、ウエブ・トラフィックによる広告収入を得るためか、有名人や公的な人物、政治運動、企業などの信用を失わせる目的のためにオンライン上で広く共有されるように作られた偽のニュース記事。

 CNNやABC、CBSなどのテレビ局や、『ニューヨーク・タイムス』紙や『ワシントン・ポスト』紙などの米主要メディアが、「故意に自分の印象を悪くするような記事ばかり書き立てている」と主張するトランプ大統領にとっては、同辞書の定義は大いに納得できる内容だろう。しかし、この定義はフェイク・ニュースという言葉がもつ意味合いの一部でしかない。Dictionary.comのジェーン・ソロモン氏は、「今回のアップデートでは、人々にフェイク・ニュースが意味することの広義な理解を示すことを優先し、前述の定義採用を予定する流れとなった」と語っている。

 一方、大手『メリアム・ウェブスター』辞書は、「説明や定義の必要なし」として、この言葉を辞書に加えない姿勢のようだ。フェイク・ニュースとは偽のニュースの意であり、「赤い車」や「暑い日」などと同様、辞書に個別に欄を設けて説明する必要がないという考えだ。

 『オックスフォード』辞書で新語を担当するクレイグ・レイランド編集者も、「今はまだ使い方や意味が進化しているため、しばらく様子を見る」と話している。同編集者によると、フェイク・ニュースという言葉自体は1800年代から「間違ったニュース」や「偽造されたニュース」という意味で存在しているが、最近の使用法はその上にさらなる意味を含んだ使い方に変わってきているため、新しい意味を辞書で定義する必要があると言う。

 昨今の言葉が変化するスピードは、以前よりずっと速くなっていると編集者たちは実感しているそうだ。どこの国の言葉も時代と共に変化を続けているが、SNSの普及により、そのスピードはますます加速しそうだ。

引用元:The Dictionary Is Adding An Entry for 'Fake News'
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