リベラルには理解できない、銃所持者たちの真実

リベラルには理解できない、銃所持者たちの真実


 アメリカで暮らす銃所持者にとって、銃所持権は侵害されてはならない権利である。
アメリカ独立の15年後に合衆国憲法に付加された補正第2条には下記のように記されている。

 「規律の整った国民義勇軍は自由な国家の安全保障にとって必要であり、国民が武器を所持し、携帯する権利は侵害されてはならない」


 この条項に関してリベラル派は、「当時の武器は装填に時間がかかるマスケット銃で、この条項は現在のピストルや半自動小銃の所持を許しているわけではない」と言っている。しかし、その解釈法だと、「言論の自由を保障した補正第1条は活版印刷の地方紙しかなかった時代に制定されたものであり、ツイッターやインターネットの言論の自由を守っているわけではない」と言う人が出てきても、おかしくないことになる。

 また、リベラル派は「英国から独立を勝ち取った義勇軍が国防を担当していた時代は終わった。警察や正規の軍隊が存在する現在のアメリカではこの補正条項は無意味だ」と解釈している。しかし、保守派は「国民義勇軍とはアメリカの一般人から成り立っており、彼らの敵だった英国は“外国政府”ではなく、アメリカという植民地を支配していた政府だった。この条項は“自国の政府の横暴に国民が立ち向かうために銃所持権を与える”と規定したものだ」と解釈している。

 つまり保守派の銃所持者たちは、もしアメリカ政府がベネズエラのような独裁政権と化してしまった場合、本気で政府に立ち向かう覚悟でいるのである。彼らは、国民義勇軍(=一般人)が銃と大砲の力で独立を勝ち取った、というアメリカ建国史に大いなる誇りを抱いている。

 そして、南部や中西部、アラスカ州などに住む人々は、自分たちの先祖が銃の力を借りて荒野を開拓し、農場や牧場に変えたことを誇りに思っている。中西部の牧場や農場で働いている人々の家に行くと、居間の壁に数世代前の先祖が使っていたライフルを飾っている人や、亡くなった祖父が使っていた銃を形見として大切に携帯している人などが大勢いる。彼らにとって銃は、侍にとっての刀と同様に意義があるものなのだ。

 彼らは今でもコヨーテやオオカミ、地域によっては熊やマウンテン・ライオンから家畜や子どもたちを守るために銃を使用している。彼らの多くは敷地が4エーカー以上の地域や、広大な牧場・農場の脇に住んでいる。万が一強盗に襲われて警察に通報しても、保安官が到着するまでに20分以上もかかるため、護身のためにも銃が必要だ。

 そういう地域に住む人々にとって、銃は日常生活の必需品であり、小さな子どもたちも親から銃の安全な扱い方を教わる。射撃練習場に通って正しい操作法や射撃法をプロのインストラクターから学び、親と射撃の腕を競い合って楽しむ姿もよく見受けられる。ピンクや紫色のピストルや半自動銃も販売されており、女子中高生やファッショナブルな女性たちも、射撃場などに通って射撃を楽しんでいる。

 このように銃所持者にとっては、銃は不屈の開拓精神の象徴であり、自力で道を切り開く独立心旺盛なアメリカ人のアイデンティティそのものだ。また、銃は親子の絆を深め、家族で楽しい思い出作りをするための道具でもある。

リベラル派は、「狩猟やコヨーテ撃退のために半自動銃は必要ない」と言うが、銃所持派は「銃規制を強化しても、悪者は不法な手段を使って自動式襲撃銃を手に入れるので、それに対抗するためには半自動銃が必要だ」と言う。

 ラスベガス銃乱射事件の直後、CBSテレビの重役がFacebookに「カントリー・ミュージックのファンのほとんどは共和党の銃所持者なので、私は同情心さえ抱いていない」と書き込んで即刻解雇されたが、恐らくこれが都会のエリート、リベラル派の本音だろう。

 テキサス在住である私の隣人はほとんど皆、銃を所有している。彼らの多くは何世代にもわたってテキサスに住んでいる牧場主であり、テレビ番組のリポーターやセレブリティたち、ニューヨークやカリフォルニア州選出の政治家たちが銃規制を叫ぶたびに、必ずあきれ顔でこう言う。

「セキュリティ設備が整った豪邸に住んで、銃を持った警備員に守られている連中に説教される筋合いはない」


 都会のエリートたちは、野中の一軒家に1カ月ほど1人で住んでみたらいい。護身のために銃が必要だという感覚をリベラル派も肌で感じ、「銃は危険物ではなく、安全と自由を確保するための必需品」だという銃所持派のイデオロギーに少しでも理解を示せるようになれば、アメリカでも銃に関してもう少し建設的なディベートができるようになるだろう。

銃規制に関する記事 >

この記事の寄稿者

関連する投稿


【Red vs. Blue】トランプ大統領「不法入国者は米裁判抜きで即送還せよ」?!

【Red vs. Blue】トランプ大統領「不法入国者は米裁判抜きで即送還せよ」?!

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は、両者の意見が大きく異なるからだ。当連載では、アメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人に見解を披露してもらい、その相違点を読み比べる。今回はトランプ大統領の「不法入国者は即刻強制送還するべき」発言について。


テキサス人は知っている! 大手メディアがひた隠しにする不法移民の実態

テキサス人は知っている! 大手メディアがひた隠しにする不法移民の実態

テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、世界的な批判をうけている「不法入国した親子を引き離して収監する」米現政権の姿勢とそれを報道するメディアなどについて、テキサスの人々の意見を著者が代弁!


ムスリムのトランプ支持者たち

ムスリムのトランプ支持者たち

多様なアメリカでは、暮らす地域によってすべてが異なる。テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は大手メディアではほとんど報道されない「イスラム教徒のトランプ支持者」について紹介する


教室にシェルターの設置が加速する?

教室にシェルターの設置が加速する?

今年2月、17人もの犠牲者を出したフロリダ州パークランドの高校における銃乱射事件。アメリカの教育現場ではこうした悲劇を防ぐための解決策が模索されている。そんな中でも注目の対策は?


ブッシュ夫人の死を喜ぶリベラル派が浮き彫りにしたものは?

ブッシュ夫人の死を喜ぶリベラル派が浮き彫りにしたものは?

多様なアメリカでは暮らす地域によってすべてが異なる。テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回はバーバラ・ブッシュ夫人の訃報を喜んだリベラル派大学教授のツイート炎上に関する保守派の意見を紹介する。






最新の投稿


成功への選択「どちらの招待が優先?」2018年7月20日~7月26日

成功への選択「どちらの招待が優先?」2018年7月20日~7月26日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


トランプが世界に仕掛ける無謀な経済戦争

トランプが世界に仕掛ける無謀な経済戦争

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回はトランプの支持者が多い、オートバイのハーレーダビッドソン社が海外へ移転せざるをえない結果を作ったトランプ大統領が、同社を攻撃している矛盾について。


プリンセスへの憧れ リアル・シンデレラ・ストーリーの影響力

プリンセスへの憧れ リアル・シンデレラ・ストーリーの影響力

今年の5月にイギリス王室のヘンリー王子と結婚したアメリカ人の女優、メーガン・マークル。サセックス公爵夫人になったリアル・プリンセスは、これまで皇室に入った女性たちよりも親しみやすい雰囲気があるとファンが多い。「メーガンのようになりたい!」と思っている熱烈ファンたちのトレンドを紹介しよう。


疲れたニューヨーカーを癒す、スーパー銭湯?

疲れたニューヨーカーを癒す、スーパー銭湯?

マンハッタンを望むニュージャージー州に昨年オープンした「SoJo Spa」。このスパでは、「韓国風の高級スパをイメージしたサービス」を売りにしているが、アジア式の風呂文化をアメリカ人に広めるのに、ひと役買っているという。


未来の起業家育成は地域が応援!

未来の起業家育成は地域が応援!

アメリカ全土で、子供のための「起業家教育」プロジェクトが盛んになってきた。全米で最も大きな起業家育成イベントは、「Acton Children's Business Fair」という、地域社会を巻き込んだ子供のための「起業フェア」だ。これは、どのように運営されているのだろう?


アクセスランキング


>>総合人気ランキング