億万長者が実践する朝の「風水」

億万長者が実践する朝の「風水」


 『フォーブス』誌で世界の億万長者として紹介されたこともある老紳士は、ヨーロッパ貴族の末裔で、その後、アメリカを拠点にアートのコレクターとなった。一度、彼のニューヨークの自宅を訪問した際、さりげなく飾られている絵画がピカソやモネだったことをよく覚えている。彼は日本の作品も好きだった。私が日本に住んでいたことがあると話すと、会話が弾んだ。彼は夢中になって竹久夢二の話をしてくれた。飼い猫を「YUMEJI」と名付けるほど、彼は夢二を愛していた。

 そんな彼が凝っていたもののひとつに、「風水」がある。夢二の暮らした東京下町を旅した際に、偶然立ち寄った店の庭が風水を元にデザインされていると知って以来、彼はすっかり風水の虜になったのだと言った。彼はニューヨークだけでなく、ヨーロッパにもいくつか家を所有しているが、そのひとつであるオーストリアの屋敷は、香港から風水師を呼び、すべてデザインさせたと言っていた。そして、その屋敷が完成した直後から、素晴らしい出来事が立て続けに起こったそうだ。娘の結婚が決まり、孫が誕生した。コレクションに加えたい作品も様々な偶然が重なり、オークションなどに参加しなくても、何故か彼の元に作品がやって来るようになった。一番の幸運はピカソの絵で、「風水がピカソを運んできてくれたんだよ」と、それは嬉しそうに話していた。

 その老紳士は以降、「朝の風水」というものを大事にしていた。これは風水というより、彼がそう呼んでいる「儀式」のようなものだ。朝起きるとすぐに、ピレネー山脈に位置するフランスのルルドから特別に取り寄せた水を一杯飲みほし、これを朝食替わりにしていた。ルルドという地は、聖母マリアが出現した地とされており、カトリックの巡礼地にもなっている。聖母マリアが示した場所を掘った洞窟から湧き出る水は、万病を癒す奇跡の泉として知られ、世界中からその奇跡を求めて人が集まることでも有名だ。

 「風水は水や風の流れを大切にするが、この知恵を学んでから、人間の体の水の流れも滞ってはいけないと思うようになった」と言い、この儀式をかれこれ15年も続けていると話していた。ニューヨークから遠く離れたルルドから水を輸入するためだけに、彼は5人も雇っていた。風水を取り入れ、ルルドの泉を朝の儀式にするというのは、少し不思議な組み合わせのようにも思えるが、こういう人たちは自分が「良い」と思ったことには、金額など二の次なのだろう。

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この記事の寄稿者

運命鑑定士の家系に生まれ、幼少期より算命学、数秘術、占星術などを学ぶ。米国ロサンゼルス在住。大学を卒業後、両親の顧客であった著名人の運命鑑定を引き継いだことをきっかけに依頼が増え、現在は長期契約の顧客のみを鑑定しながら、シンボル・アートの制作に力を入れている。日本にも住んでいたことがある。

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