ラスベガス銃撃犯のホテルの部屋に残されたメモ

ラスベガス銃撃犯のホテルの部屋に残されたメモ


 今月1日、ラスベガスで発生した米国史上最悪の銃乱射事件で、犯行現場のマンダレイ・ベイ・ホテル&カジノ32階の犯人の部屋に最初に踏み込んだ数人の警察班が、当時の様子を報道番組のインタビューで詳細に語った。自殺した犯人が横たわる部屋には大量の兵器が並び、床には足の踏み場もないほど銃弾が散乱していたという。割れた窓の近くには犯人が残したと思われる手書きのメモがあり、それには効率よく多くの人を銃で殺害するための距離や高度、角度を測った計算が書かれていた。
 スティーブ・パドック容疑者がなぜ犯行に至ったのか、まだ何も手がかりは見つかっていないが、短時間でこれほど大勢の人々を殺せる兵器をアメリカでは一般市民が合法に入手できることへの疑問が再び持ち上がっている。RedとBlueの見解は?

出典『CBS News 60 Minutes』
元記事:Note in Las Vegas gunman's hotel room included details of bullet trajectory

RED: ラスベガスの銃撃は新しいことではない
“Las Vegas Shooting is nothing new”

 アメリカの主要メディアや政治家は、しばしば今回のラスベガス銃撃事件のような悲劇を自分たちの目的とすり替える。アメリカのすべての正常な精神の持ち主は、50人以上の人たちが殺害され、約500人が負傷したことを悲しんでいる。メディアや政治家はこの事件がなぜ起こったのか、防ぎようはなかったのか等を事件の背後に見出そうとしているが、彼らの疑問は見当違いである。

 2016年7月、イスラム教テロリストがフランスのニースにおいて、トラックで77人を轢き殺した。2017年8月には別のテロリストがスペインのバルセロナで、またもやトラックで13人を轢き殺し、100人に怪我をさせた。こうした襲撃が、法律を作ったり、規制を強めたりすることで防げると考えるのはバカげている。市民によるしっかりした共通の価値観で築かれていない市民国家は、こうした悲劇の対象となりうるものだ。社会は、政治や人種、宗教の違いに関わらず団結する必要がある。アメリカは2016年にドナルド・トランプが大統領に選ばれた時から、記録的なペースでそれを壊してきた。民主的に選ばれた政治的なリーダーの元に団結するのではなく、左派は異なる人種間、異なる政治的グループ同士を敵対させてアメリカ人を分断し、争いを続けている。

 アメリカ人がこうした有毒な考えを一旦横に置いて人として団結し、個人の自由の文化とお互いへの寛容さを促進させれば、ラスベガスの事件のような出来事を引き起こす現在のような分断と人種的な社会不安の環境を徐々に和らげていくのではないかと私は考える。悲しいことに、同じことが西ヨーロッパの多くの国にも当てはまる。これらの国は、自国に受け入れたイスラム難民を甘やかすのはやめて、異国の移民たちが西欧の価値と文化的伝統を受け入れるように要求するべきだ、と私は言いたい。


BLUE:銃は人を殺す
“Guns Kill People”

 2017年にアメリカで「大規模銃撃がないままに経過した日は、わずか5日だけ」だ。今月1日、1人の男がラスベガスで58人もの人々を殺害し、489人以上を負傷させた。しかもこの銃撃犯は、これを「合法的に入手した武器」で実行することができたのだ。

 アメリカが現在の銃社会は狂っていると認めるまでは、こうした事件について議論すること自体が無意味だ。銃は人を殺す。これほどまでに銃所有を推進するアメリカ社会は正気とは思えない。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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