共和党の「減税神話」の作成者、トランプの減税政策に警告

共和党の「減税神話」の作成者、トランプの減税政策に警告


 共和党が減税案のモデルとしている「1986年の税制改革法」はドナルド・レーガン大統領によって実施され、成功を収めた。同法の作成に携わった当時の国内政策顧問ブルース・バートレット氏が、当時の経済成長には減税以外の要素が加わっており、共和党はレーガンの減税策を過大評価していると警告を発した。レーガン政権は実際には何度も増税を繰り返しており、「減税そのもの」は必ずしも経済成長につながらないとし、同時にジョージ・ブッシュ大統領時代の減税失敗例も挙げている。また「近年で最も大きな経済成長を促したのは、90年代にビル・クリントン大統領が増税した後だ」と指摘。現在の共和党の減税案は間違っているという指摘に対する RedとBlueの見解はいかに?

出典『ワシントンポスト』紙
元記事:I Helped Create the GOP Tax Myth. Trump Is Wrong: Tax Cuts Don’t Equal Growth

RED: トランプに反対するジャーナリストばかり
“Another Journalist disagrees with Trump, big deal”

 ブルース・バートレットが、ドナルド・トランプの「減税が経済成長を促進する」という考えに異議を唱えている。彼自身が減税と経済成長の神話作りに貢献したという主張はとりあえず横に置いておくが、アメリカのジャーナリスト、もしくは「えせジャーナリスト」による「ドナルド・トランプ嫌い」は激しい。大統領がたとえば画期的ながんの治療法を見つけたとしても、ジャーナリストは彼のことを嫌悪するのだろう。

 バートレットの見解は世界級の冗談だ。彼は税金が経済成長を促進することを知っているし、アメリカ経済を含むいかなる経済も、政府が長期にわたる借金を増やし続けなければ、はるかに良くなることを知っている。アメリカの国内総生産(GDP)は18兆ドルだ。アメリカの国家債務は20兆ドルを少し上回っている。バラク・オバマが政権を取るまで(2009年頃)は約10兆ドルだったが、わずか8年で彼は国家債務をほぼ倍にした。これは過去のすべての大統領を合わせたものよりも多い。

 政府が課税を少なくして支出を減らせば、経済は早く成長する可能性がある。アメリカの法人税は前代未聞の39.6%で、これは世界のほとんどの国の平均のほぼ2倍である。ブルース・バートレットはこれを知っていながら、経済成長について正直な会話をするのではなく、ドナルド・トランプが税について間違っていると主張している。バートレットは役立たずだ。彼がトランプに同意しないからといって、彼の主張が正しいことにはならない。


BLUE:共和党内部者が警告「減税は金持ちをさらに金持ちにする」
“Republican Insider: Tax Cuts Make the Rich Richer”

 右派は、「減税=経済成長」という嘘を1980年代から通し続けてきたが、これまで減税が行われるたびに、経済は成長しないという事実が繰り返し見られている。その反対に、増税すると経済成長が起こっているのが事実である。ところが、共和党は今でもまだ「経済成長を活発にするために減税する必要がある」と言い続けている。

 真実は、「減税は金持ちの銀行口座を潤すのに役立つだけ」だ。共和党は減税の話をするのが大好きで、有権者にとっても減税は常に魅力的に聞こえるものだ。しかし、トランプの減税案は、実際には中間所得層の税金を引き上げる。共和党右派のお気に入りであるレーガン元大統領でさえ、1980年代にまず大幅減税のイベントを実施した後で、一度ならず数回の増税を行なっている。

 共和党が減税をこれほど推すのは、減税をすれば一般市民は短期間に少しだけ利益を味わい、富裕層は長期にわたって大きな利益を得られるからだ。トランプ大統領の新しい減税案が実施されれば、アメリカは収入源を失い、財政赤字は増加する。トランプ大統領が言っている減税は、ゆっくりと沈みかけている船の甲板で椅子の配置を変えているだけに過ぎない。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

減税に関する記事>

この記事の寄稿者

関連する投稿


【Red vs. Blue】トランプ大統領「不法入国者は米裁判抜きで即送還せよ」?!

【Red vs. Blue】トランプ大統領「不法入国者は米裁判抜きで即送還せよ」?!

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は、両者の意見が大きく異なるからだ。当連載では、アメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人に見解を披露してもらい、その相違点を読み比べる。今回はトランプ大統領の「不法入国者は即刻強制送還するべき」発言について。


テキサス人は知っている! 大手メディアがひた隠しにする不法移民の実態

テキサス人は知っている! 大手メディアがひた隠しにする不法移民の実態

テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、世界的な批判をうけている「不法入国した親子を引き離して収監する」米現政権の姿勢とそれを報道するメディアなどについて、テキサスの人々の意見を著者が代弁!


同性カップルにウエディング・ケーキを販売しない店が勝訴した理由

同性カップルにウエディング・ケーキを販売しない店が勝訴した理由

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は「男性同士のカップルに対してウエディング・ケーキを販売することを拒否したベーカリー」の側を支持する判決を“米最高裁判所”が出したことに対して、憤るリベラル派の意見を伝える


本物のリベラルを傷つける偽物リベラル

本物のリベラルを傷つける偽物リベラル

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。古き良き時代を知る人には、「最近のリベラル派は真のリベラルとは言い難い」と指摘する人が多い。それは、どういう意味なのか?


ムスリムのトランプ支持者たち

ムスリムのトランプ支持者たち

多様なアメリカでは、暮らす地域によってすべてが異なる。テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は大手メディアではほとんど報道されない「イスラム教徒のトランプ支持者」について紹介する






最新の投稿


プリンセスへの憧れ リアル・シンデレラ・ストーリーの影響力

プリンセスへの憧れ リアル・シンデレラ・ストーリーの影響力

今年の5月にイギリス王室のヘンリー王子と結婚したアメリカ人の女優、メーガン・マークル。サセックス公爵夫人になったリアル・プリンセスは、これまで皇室に入った女性たちよりも親しみやすい雰囲気があるとファンが多い。「メーガンのようになりたい!」と思っている熱烈ファンたちのトレンドを紹介しよう。


疲れたニューヨーカーを癒す、スーパー銭湯?

疲れたニューヨーカーを癒す、スーパー銭湯?

マンハッタンを望むニュージャージー州に昨年オープンした「SoJo Spa」。このスパでは、「韓国風の高級スパをイメージしたサービス」を売りにしているが、アジア式の風呂文化をアメリカ人に広めるのに、ひと役買っているという。


未来の起業家育成は地域が応援!

未来の起業家育成は地域が応援!

アメリカ全土で、子供のための「起業家教育」プロジェクトが盛んになってきた。全米で最も大きな起業家育成イベントは、「Acton Children's Business Fair」という、地域社会を巻き込んだ子供のための「起業フェア」だ。これは、どのように運営されているのだろう?


成功への選択「家族の肖像」2018年7月13日~7月19日

成功への選択「家族の肖像」2018年7月13日~7月19日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


ドラッグクイーンがスーパーヒーロー?

ドラッグクイーンがスーパーヒーロー?

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。Netflixが発表した新作の子供向けアニメシリーズ『Super Drags』が、波紋を呼んでいる。その驚愕の内容とは?


アクセスランキング


>>総合人気ランキング