疑惑の渦中に再び登場、「ポケモンGO」

疑惑の渦中に再び登場、「ポケモンGO」


 2016年のアメリカ大統領選挙にロシアが介入した疑惑には、根深いものがある。きな臭いニュースが続いているが、決定打となる情報はなく、真実は今ひとつはっきりしない。

 ロシア疑惑関連のニュースが取り上げられるたびに、リベラル派はトランプ政権誕生経緯の健全性に対し、疑問と不快感を隠さない。保守派は、こうした疑惑を取り上げるニュース自体に懐疑的になり、そこへの嫌悪感を露わにしている。中道派は概ね、「確かな証拠が見つかるまで、いい加減にこの議論はやめて欲しい」という感じだろうが、とにかく何か事件が起きるたびに、アメリカのソーシャルメディアは疑惑談義一色になってしまうのは、トランプ政権誕生後から変わっていない。

 そして、今またロシア疑惑がソーシャルメディアをにぎわしている。日本でもすでに報道されているように、ロシア疑惑をめぐる一連の動きのひとつとして、「ポケモン GO」が登場。ロシアはフェイスブックやツイッターなどを使い、アメリカ人たちを扇動したのではないかとされているが、その扇動活動の一環として、白人警官による黒人射殺に抗議する「ブラック・ライブズ・マター」の関係者を装い、ポケモンGOを使った人種差別反対キャンペーンが計画された疑いが浮上したと CNNが報道した。

 このキャンペーンは、ロシア政府の関与が指摘される「インターネット・リサーチ・エージェンシー」が展開したと見られており、2016年7月に、キャンペーンに関連するウェブサイトを通じ、ポケモンGOコンテストの開催が呼びかけられた。同コンテストは黒人が警官に殺害された現場近くでキャラクターを見つけるという内容で、そこでキャラクターを見つけたら犠牲者の名前を付けることを促すという、悪趣味なものでもあった。ポケモンGOのユーザーが実際にこのコンテストに参加しようとした痕跡は、CNNの取材では分かっておらず、このコンテストの目的そのものも不明なままだ。しかし、「事件現場の近くで犠牲者を思い出させることで、人々を怒りへと扇動する目的だったのではないか」という可能性は否めない。

 このポケモンGO、「疑惑の渦中の人」となるのは、今回が初めてではない。昨年6月、ロシアで、「ポケモンGOはアメリカがCIAなどの諜報活動のために開発に関与したものであり、国家の安全保障を揺るがす陰謀だ」という見解が、インタファクス通信によって世界に報じられた。この見解を示したのは、ニコライ・ニキフォロフ情報通信相など複数の政治関係者だった。ロシア政府は結果的に「ポケモンGO」の代替ゲームとして、モスクワ市政府監修で、ロシアの歴史にゆかりのあるキャラクターを捕まえる「ディスカヴァー・モスクワ」というアプリの開発までしている。

 このニュースを覚えている保守派の一部からは、「ロシア自らが、CIAの関与が疑われるアプリを使って、アメリカの選挙戦に関与しようとするだろうか」という疑問の声もあがっているが、今回も何が真実なのかは、まだ何も分かってはいない。当のポケモンとしては何度も疑惑のツールとして世間を騒がせる羽目となり、さぞ迷惑していることだろう。

引用元:Even Pokémon Go Used by Extensive Russian-Linked Meddling Effort
トランプ大統領に関する記事 >
Bizseedsでは、アメリカの注目新サービスを日本に展開するお手伝いをしています。ご興味のある方はお気軽にお問合せください。

この記事の寄稿者

関連する投稿


【Red vs. Blue】「白人共和国」を望む共和党は、自由の国アメリカを破壊するのか?

【Red vs. Blue】「白人共和国」を望む共和党は、自由の国アメリカを破壊するのか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はタイム誌の「共和党はアメリカを白人共和国にするためにトランプを支持し、アメリカを破壊しようとしている」という記事について。


NASAを賞賛したり、ディズニー映画を楽しむのはダメなのか?

NASAを賞賛したり、ディズニー映画を楽しむのはダメなのか?

メキシコ国境と隣接する米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回は、リベラル派やリベラル系の新聞が「NASAやディズニー映画は人種差別で男尊女卑だ」と指摘していることについての保守派の意見をまとめた。


GDPRがアメリカにもたらした教訓 いまさら聞けないデータビジネスの心得とは

GDPRがアメリカにもたらした教訓 いまさら聞けないデータビジネスの心得とは

Facebookの個人情報流出事件では、その制裁金の高さに注目が集まったが、アメリカ企業であっても欧州の顧客データがあるだけで「EU一般データ保護規則(GDPR)」に従う必要があり、今、どの企業もデータ管理の再強化を迫られている。


女子プロサッカー・ラピノー選手とトランプ大統領のSNSバトル 

女子プロサッカー・ラピノー選手とトランプ大統領のSNSバトル 

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回はサッカー女子ワールドカップで優勝したアメリカ代表チームのキャプテン、ミーガン・ラピノー選手によるトランプ大統領批判から派生したSNSバトルについて。


【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はトランプ大統領が来年11月に予定されている次期大統領選への立候補を正式表明したことについて。






最新の投稿


どんなに銃撃事件が続いても、銃を手放さない米保守派の言い分とは?

どんなに銃撃事件が続いても、銃を手放さない米保守派の言い分とは?

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、罪のない大勢の人々が犠牲になる悲惨な銃撃事件が立て続けに起きているアメリカで、銃規制に断固として反対し続ける保守派の見解を著者が解説する。


今週の神秘ナンバー占い(2019年8月23日〜29日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年8月23日〜29日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


ヴィーガンが崇める植物製肉「ビヨンド・ミート」の勢いが止まらない!

ヴィーガンが崇める植物製肉「ビヨンド・ミート」の勢いが止まらない!

「健康維持と環境保護ができる代替肉ブーム」が、北米で止まらない勢いを見せている。なかでも、植物ベースの代替肉としてベジタリアンやヴィーガンなどの健康志向の人たちを中心に大人気の「ビヨンド・ミート」は、今年5月に上場して以来、株価が2カ月弱で9倍にまで上昇。一時はIPO幹事行が投資判断を引き下げたほど注目が集まっている。


【Red vs. Blue】「白人共和国」を望む共和党は、自由の国アメリカを破壊するのか?

【Red vs. Blue】「白人共和国」を望む共和党は、自由の国アメリカを破壊するのか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はタイム誌の「共和党はアメリカを白人共和国にするためにトランプを支持し、アメリカを破壊しようとしている」という記事について。


世界初! サンフランシスコ空港「プラスチック製の水ボトル販売禁止」を決定

世界初! サンフランシスコ空港「プラスチック製の水ボトル販売禁止」を決定

米カリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港が、8月20日から空港内における使い捨ての飲料水入りペットボトルの販売を禁止することを発表した。世界的にプラスチック製ゴミの問題が大きくなる中、それを減らすために市をあげて取り組む姿勢だ。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング