アメリカで流行りそうな日本の商品とは?

アメリカで流行りそうな日本の商品とは?


 先月の当コラム、「アメリカのフォーチュン企業の重要施策」では、アメリカのダイバーシティが、2042年から加速して変貌するという予測に触れたが、こうした流れの中で、人の「嗜好」も日々変化していると言える。今月は読者の方から、「アメリカで流行りそうな日本の商品があるならば、それは何だと思うか?」という質問が届いたので、それについて書かせて頂く。

 日本のたくさんの素晴らしい商品の中で、アメリカで売れるものは何だろうか? アメリカのダイバースなコンシューマー嗜好をすべて満足させるのは、当然のことながら難しい。ましてや、それらを機能や品質など、コンシューマーが望む形に松竹梅的に分け、バラエティ・ラインナップをつくって商材を市場に投下するのは、産業用の製品・機械・機器など、テクノロジー分野以外のリテール分野ではなかなか難しい話である。

 日本人は、ポピュラリティや人気度合い(マーケットシェアー)で商品の評価をするが、アメリカ市場では実価値に重きをおくような気がする。一般の消費者層(ミドル市場)を顧客ターゲットとしているのであれば、それは必要最低限の機能や品質を有した商品、「梅」であり、事業体は物流業に近く、サプライチェーンが勝負の鍵となる。「アメリカでの営業はエレベーター・ピッチ」で、日本より厳しいアメリカの営業市場について触れたが、ここでは相当に高いレベルでの価格(相当な価格競争力、安く)X価値(必要最低限のニーズに応えられる商品であること)というハードルに直面してしまう。

 それでは、比較的ハイエンドな「松」の商品群が多いとされる日本商品では、どのような消費者をターゲットとするべきだろうか? 売れそうな商品という切り口だけでは、ターゲットは絞りきれない。ターゲットとなり得る層が複数、しかも日本よりもたくさんあるアメリカのマーケットでは、それらを全て洗い出して整理し、それぞれのニーズにあわせたローカライズをすることは大変困難であるとともに、視点がぼやける傾向がある。

 具体的な商品を示すときりがないので、ここでは食を除くリテール向けの売れる日本商品の共通の大条件について考えてみた。まずは、日本商品で最もアメリカ人の消費者層に近い位置にいるものには、高いレベルの職人向け、玄人好み、マニア向けといったキーワードが並ぶ。いかなる分野においても世界中から人が集まるアメリカでは、それだけ多くの商品や情報も集まるものだが、消費者の愛好家・マニアについても相当なレベルであると言える。そのため日本でもトップ級の愛好家・マニアに好まれている商品が、アメリカでも売れる可能性が高い。こうした商品は大きなコミュニティを形成している可能性も高く、口コミやリピーター客獲得も期待しやすいだろう。また往々にしてこうした類の商品は私などよりもアメリカ人の方が詳しいくらいで、彼らから特定の商品ブランド名を言われて話をされても、分からないことがほとんどだ。

 最近、アメリカのマニアたちに聞かれたいくつかの日本商品の中で、知らなかったものとしては(ほとんど全て知らなかったが……)、釣り具の「ノリ・ルアー」であったり、筆記用具(ペン)の「パイロットのカスタムヘリテージ92」であったり、コーヒーの「カリタ ウェーブ・フィルター185」などがあげられる。ほかにも、ここには列記しきれないほど、たくさんの日本発マニアックな商品が、アメリカで愛されているのだ。つまり、マニアックなアメリカのマニア層をターゲットとして売れるものは、日本にはたくさん眠っているといえるだろう。

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この記事の寄稿者

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。学生時代は日本起業家協会の学生会長を務める。伊藤忠商事大阪本社・宇宙情報産業機械部門に勤務後、1999年よりシカゴのアイティエー・インク (I.T.A., Inc.) にジョインし、2005年より社長。日本の産業分野における対米進出支援、商社業務、リサーチ・調査、IT/テクノロジー支援を中心にニッポンのアメリカ事業部としての支援プラットフォームを構築。また、米国マイノリティ承認を取得し、大手企業へのCSRの一環であるサプライヤー・ダイバーシティ向上を支援している。

米オバマ大統領直轄ホワイトハウスのアジアアメリカ・メンバー(2年間)、 経済加速化イニシアチブに参加。他にも5つの団体で幹部や理事、ジェトロ・コーディネーター等に従事。支援しているインターンは500名以上。

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