アメリカでは喜ばれない、日本式「おせっかい」

アメリカでは喜ばれない、日本式「おせっかい」


 日本人にとって「おせっかい」とは、都会の下町や田舎の街などで日常的に見られる「老婆心」や「義理人情」と同意語であり、それらは善意そのものだろう。しかし、アメリカ人には、それを理解する感覚も文化もない。

 ひとつ例を挙げよう。先日、ロスアンゼルスの韓国街にあるサウナ、日本でいうならば健康ランド的な公衆の場で起こった出来事だ。そこに置かれていた自動販売機でコーヒーを買い、販売機用の紙コップでコーヒーを飲んだ後に、横にあった無料の水の浄水器の水を同じ紙コップを使って飲んでいた。すると、たまたま掃除をしていた健康ランドのオーナーの韓国系アメリカ人の女性が、怒った様相で私のところへ近づいて来て、「あんた! この紙コップはタダではないの! それは、お金を払ってコーヒーを飲んだ人だけが使用できるやつなの。その浄水器の飲料用には、そこにあるもっと安い小さな紙コップを使用するのよ!」と捲し立てた。

 私がコーヒーの紙コップを使って水を飲んだのは、別の紙コップを使うのはもったいないと考えたからだ。こちらとしては気を遣ったにもかかわらず、怒鳴られる結果になった理由は、無料の水を飲むために用意された安い紙コップではなく、有料商品用の紙コップを勝手に使用するという人たちがたくさんいるからなのだろう。私は頭に来ながらも、オーナーに事情を説明して理解してもらったが、アメリカ的にいうなら「勘違いされるような行為をする方が悪い」のである。コーヒーは有料専用の紙コップで飲み、無料の水はそれ専用の紙コップで飲むべきだったのだ。

 日本人はついつい気をまわしたり、「おせっかい」をし過ぎる傾向がある。しかし、「こうしてあげた方が、きっと良いだろう」という考え方や、「その人のために敢えて伝えてあげる」などの言動をしても、アメリカ人にはその根底にある想いは伝わらないと思ったほうがよい。そもそも、そんなことをしたり、発言することの意味自体が彼らにはわからないのだ。

 私も日本人の顧客には、「ここまでやるか」というほどのサービスをするが、アメリカ人の顧客に同じことをしても無駄なので、基本的なことしか行わない。日本人ビジネスマンへのサービスと同じことをアメリカ人ビジネスマンにしても、同じ効果はないからだ。例えば、日本人のビジネスマンで、アメリカ企業との最初のミーティングで手土産を渡そうとする人が多いが、それは「日本人が良いと考えること」であって、アメリカにはその文化はない。アメリカ人の中には、知らない人からいきなり食べものを差し出されて、「毒でも入っているのでは?」と考える人もいるため、喜ばれないことすらある。頼んでもいない手土産を持参した日本人の中には、「お土産を渡したのに何もお返しがない」と嘆く人もいて驚かされるが、やり過ぎは禁物であると言い良い例だろう。日本のお土産文化も、お中元やお歳暮のような文化はアメリカにはないので、「物をもらったから、お返しをする」という考え方は彼らの頭の中にはない。残念ながら「何かもらった、ラッキー」くらいに思う程度だ。アメリカでは、ビジネス相手とはビジネスライクに付き合うべきである。

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この記事の寄稿者

 ファッション、美容を中心に、日本とヨーロッパで長年輸出入ビジネスを展開。2008年、リーマンショック直前に日本の拠点としていた輸入会社を大手アパレル企業、株式会社ベイクルーズに売却、翌年2009年よりアメリカで本格的な事業展開をスタートし、ハワイ州にビジネスを登記。その後カリフォルニア州ロスアンゼルスにFundsmedia incを設立した。日米双方に向けての商品開発や販売、マーケティング、コンサルテーション、プロモーション、ライセンス契約エージェント業務など、幅広いサービスを提供。特にビューティー、フードビジネスエリアに関するサービスには定評がある。日欧米というグローバルな土壌で培った長い事業経験と、常に新しい視点でリサーチを重ねたビジネス案、ヒット予測を元に、現在新商品開発にも力を入れている。アメリカでビジネス展開を希望する、日本の個人、企業パートナーも募集中。

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