イラン核合意におけるトランプ大統領の動きをドイツが警告

イラン核合意におけるトランプ大統領の動きをドイツが警告


 トランプ大統領は、2015年に米国、中国、フランス、ロシア、英国、ドイツ、欧州連合が調印したイランとの核合意を破棄するかもしれないと警告した。これについてドイツ外相が同国でのインタビューに答え、 米国が合意を破棄すればイランは核兵器を開発し、欧州との戦争の危険性を高める可能性があるだけでなく、北朝鮮などの他国にもアメリカは約束を守らない国だと受け取られ、多くの国が核開発を始めることになりかねないとの懸念を示した。

 トランプ大統領は米国議会に、2016年の合意と同時に解除されたイランへの経済制裁を復活させるかどうか決定するよう、60日の猶予を与えた。トランプ政権と北朝鮮問題に引き続き、中東・ヨーロッパも核戦争の危機に陥るのだろうか?

出典『ロイター通信』
元記事:Danger of War, Germany Warns After Trump's Move on Iran Nuclear Deal

RED:イランは危険だ
“Iran is Dangerous”

 ドナルド・トランプは、2015年の核開発制限を条件とするイランとの核合意の遵守を避け、2016年に解除された経済制裁を再開するべきか否かを決定するよう米国議会に60日の猶予を与えた。ドイツのシグマール・ガブリエル外相はラジオで、米国によるそうした行動は、イランとの戦争に導くことになりかねないと警告した。

 この発言における唯一の間違いは、イランはすでに戦争を望んでいると述べていることだ。イランの神政独裁政権は、イスラエルとその国の人々を一方的に何度も絶滅の危機に陥れている。まず、そのことをしっかり胸に刻もう。イラン(政府と軍隊)は、イスラエルを滅ぼし、8百万人のユダヤ人を絶滅させたいと世界に表明している。私には、それがすでに戦争を宣言している証拠だと見える。ドイツが望んでいるのは現状維持だ。

 以前の経済制裁下では、イランとの商取引は禁じられていた(原油の購入を含む)。さらに、イランの経済はすでに相当不自由で、遅かれ早かれイラン政府は核開発を全面的に断念せざるを得なかっただろう。当時のオバマ大統領は、イランが核強化計画を進めるのを平和目的のために認めるだけでなく、危険なイスラム国に対する多くの経済制裁も解除するという、まったく意味のない文書に同意したのである。つまり、核合意はイスラエルとその国の人々を滅ぼすことを目的とし、平和の空約束をするイランのような国をナイーブにも信じたアメリカの愚か者(オバマ元大統領)によってなされたものだ。ドイツ外相は何もわかっていない。イランは危険だ。国連あるいは他の誰かが考え出した合意であっても、その事実は変えようがない。


BLUE:トランプはアメリカの同盟国を遠ざけ続けている
“Trump Continues to Push America's Allies Away ”

 第二次世界大戦以来、アメリカ人は世界で起こる闘争の場において「正義の味方」を自負してきた。しかし、その後、我々の軍事的な立場や関与のいくつかにおいて、疑問視されるようになってきた。例えば、ベトナムやイラクは、我々アメリカが関与する必要のない国だった。ベトナムに関しては、我々が共産主義に対する恐れに囚われたのが理由だ。イラクに関してはいろいろな考え方があるが、いずれも「正義の味方」に基づいた行動ではない。政権交代の理由にされた大量破壊兵器を実際にはイラクは持ってはいなかった。

 そして、イランに対する我々の態度は、30年以上前に起こった人質に対する外交的な対立によって(カーター政権時代に起きたイランでのアメリカ大使館襲撃人質事件)、永遠に毒されたようだった。しかし、イランの指導者はその後、変化を遂げており、オバマ元大統領はもっと平和な関係を築く好機と捉えて、イランとの合意契約を取り付けた。これは、ヨーロッパの同盟国が望んでいたことだった。しかし、かつての人質事件に怒りを抱いているアメリカの右派は、合意に反対した。そして今、トランプはその取引を無効にしようとしている。一方でドイツ外相は、イランに対するトランプの対応は「ヨーロッパを、アメリカに敵対するロシア、中国と共通の立場に置こうとしている」と警告している。トランプと彼の支持者は、アメリカを同盟国から遠ざけ、我々を平和な世界から遠ざけているのだ。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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