LGBTが躍進! 2017年アメリカ州議会選挙

LGBTが躍進! 2017年アメリカ州議会選挙


 11月第2週目はアメリカにとって、ある意味で歴史的な一週間となった。この週、アメリカでは多くの州議会選や市長選などが一斉に行われたが、LGBT候補の多くが、各選挙で躍進したのだ。「反LGBT」として知られるマイク・ペンス氏が副大統領に就任したこともあり、現在トランプ政権では、たびたびLGBTに対する否定的な動きを見せ、それが左派からの反発を呼んで問題になっている。選挙結果は現政権の動向を覆す動きとして、「左派リベラルの勝利」という結果になったと多くの米メディアが伝えている。

 バージニア州では、トランスジェンダー候補のダニカ・ローム氏が州議会選で勝利した。 ローム氏は33歳の民主党員で元ジャーナリスト、現在はメタルバンドのボーカリストという異色のキャリアの持ち主だ。対抗馬は26年もの政治経験がある社会保守主義者の重鎮、73歳のボブ・マーシャル氏だったが、彼は「反LGBT」としても有名であり、自らを同州の「ホモフォビア(同性愛嫌悪)の代表」と称することもあった。この言葉を裏付けるように、マーシャル氏は選挙期間中にローム氏と公開討論などを行うことを拒否していたことでも話題を呼んでいた。選挙結果は10%の支持の差をつけてロームが圧勝。トランスジェンダーを公言した人物が、州議会選で勝利を収めたのは、ローム氏が全米で初めてのケースとなった。

 そして、その勝利後にペンシルバニア州で、トランスジェンダーを公表していた33歳で二人の子供をもつ父親、タイラー・タイタス氏が州議会選で勝利した。また、ミネソタ州では、アンドレア・ジェンキンス氏が投票の73%を得て、ミネアポリス市議会選で圧勝。ジェンキンス氏はトランスジェンダーというだけでなく、黒人という人種的背景をもち、「性的マイノリティー、かつ人種的マイノリティーの候補」として州議会で勝利したアメリカでの第一号となった。それに続いてカリフォルニア州では、トランスジェンダーのリサ・ミドルトン氏がパームスプリングス市議会の座を獲得した。

 ワシントン州では、ジェニー・ダーカン氏が、シアトルで最初のレズビアンの市長になることになった。ワシントン州はリベラルな土地柄で知られ、なかでも特にシアトルは性的マイノリティーにも寛容な街として定評がある。ちなみに前市長で五人の男性から性的虐待を受けたと告発され、9月に辞任したエド・マレー前市長も、同性愛者(ゲイ)であった。

 アメリカの沿岸都市部は、リベラル色が強い傾向があり、政治家が性的マイノリティーであることを公言しても受け入れられやすい環境が整っている。公共施設に設置されたトイレはもちろんのこと、公立の学校教育などにおいても、性的マイノリティーへのさまざまな配慮がなされているのが一般的だ。LGBTの政治家たちが、今までは届きにくかった「声」をオープンにしていくことは、時代の流れに沿って今後はますます重要になるだろう。

引用元:LGBT sweep in historic election for transgender candidates
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