コーヒーチェーンが紡ぐ、新しい形の「アメリカン・ドリーム」

コーヒーチェーンが紡ぐ、新しい形の「アメリカン・ドリーム」


 経済誌『フォーブス』が今年、最も評価されるべきスモール・ビジネスのひとつと称して、「Small Giants 2017」に選んだドライブ・スルーのコーヒーショップがある。今までアメリカにはなかった「とあるルール」をフランチャイズ加盟条件に設けたことで事業が拡大、売り上げを伸ばしている。

 そのコーヒーショップの名は「Dutch Bros.」。人口が4万人にも満たないオレゴン州の片田舎にある街、グランツパスに本社を置くこの会社の創業は1992年。ディーンとトラビスというBroersma兄弟が、郵便局の横にあった空き地で、コーヒーのワゴン販売を始めたことがビジネスのスタートだった。現在は5000人の従業員、7州にまたがる260ものチェーンを展開するまでにビジネスを拡大させている。

 同社のビジネス成長の陰には、創業者であるBroersma兄弟の「従業員たちに対する熱い思い」が隠されている。このコーヒーショップのチェーンに加盟するには、ちょっと変わったルールがあるのだ。そのルールとは、「フランチャイズを申請する前に、少なくとも3年間、同社に勤務しなければならない」というもの。こうしたルールがあるフランチャイズ店は、全米広しといえども、この店だけだという。同社が大切にする企業としての遺伝子を、しっかりと加盟店オーナーに学んでもらい、その思いを紡いでいくことを重要視しているからだ。

 のれん分けにかかる費用は約3万ドルだが、独立のために必要なお金のローンは、会社側が支援している。「誰しも素晴らしい価値がある。共に働く者が、共に支え合う」というモットーを大切にしているため、この精神を持ち続けて努力を継続できる人であれば、学歴などは全く問わない。そのため、チェーン店のオーナーの多くが、高校中退者だそうだ。

オーナーのトラビスさんは、「絵に描いたような億万長者になる方法は教えることはできないが、自分たちの努力でチャンスは掴めるという学びの機会は提供できる。その学びの継承こそが、僕らのアメリカン・ドリームなんだ」と語る。チェーン店の年間利益が平均20万ドル(約2,258万円)にもなる「Dutch Bros.」。世の中で「失敗者」のレッテルを張られがちの若者たちが、努力することの素晴らしさを学び、自立し、成功していくという仕組みを作ったことが、『フォーブス』誌でも高く評価され、今年の堂々一位に選ばれたのである。

若者に関する記事 >
「Dutch Bros.」:https://dutchbros.com/

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