教会乱射事件の後、テキサス人は、そしてリベラルは何をしたか?

教会乱射事件の後、テキサス人は、そしてリベラルは何をしたか?


 11月5日、米テキサス州の教会で乱射事件が起き、5才の子供や妊婦を含む26人が犠牲となった。

 犯人は、家庭内暴力や動物虐待などの前科を持っていたが、政府機関の連絡ミスによって銃の購入に要する身元調査をすりぬけて合法的に銃を入手。逆恨みから、義父母の通う教会で乱射事件を起こした。銃声を聞いた教会の隣人が、合法的に所持していた自動小銃を持って裸足で家から駆け出し、その小銃で完全武装をした犯人を撃ったため、犯人は銃を捨てて逃げ出し、最終的には自害した。

 事件直後、トランプ大統領や共和党議員は遺族や被害者に 「心を込めた祈り」(thoughts and prayers)を送り、テキサス州知事やペンス副大統領が現地に駆けつけて住民と共に祈りを捧げた。

 しかし、エリザベス・ウォーレン民主党上院議員やオバマ夫妻を筆頭に、民主党議員たち、ハリウッドのスターたち、リベラルな記者たちは一斉に、「教会で祈っている人が殺されたのに、共和党支持者は祈りなど無意味だということに気づかないのか?」と、信仰を持つ人々の行動を小馬鹿にし、「祈りなど、時間の無駄。今すぐ銃規制強化を!」と呼びかけた。カリフォルニア州選出のテッド・リュー民主党下院議員に至っては、議会で行われた被害者の冥福を祈る黙祷の最中にわざわざ席を立ち、議会の外に出て、「銃規制強化法案を通過させよう!」とコメントしているビデオを撮り、それをフェイスブックに載せた。

 オバマ政権時代にテロや乱射事件が起きたときは、オバマ夫妻もクリントン夫妻も被害者や遺族に「心を込めた祈り」を送っていたはずだ。しかし、今回の彼らの対応をみると、リベラルな人々がこのフレーズを口にするときは、単なるリップサービスにすぎないと疑わざるをえない。

 信仰の篤いキリスト教徒、特に福音主義者やカトリック信者が「心からお祈りします」(send my thoughts and prayers)と言うときは、実際に心の底から死者の冥福、被害者の回復、遺族の悲しみの軽減を祈り、そして、その後に祈りを叶えるための行動を起こす。教会襲撃事件の直後、テキサス人たちは、まずそれぞれが通う教会で祈り、被害者のために献血し、働き手を失った人々のため、また葬儀や遺族の精神的カウンセリングのための資金集めを行った。

 さらに、牧師たちは、「今回の襲撃事件の犯人のような心の病を患った人が社会から落ちこぼれないようにするために、隣人愛の輪を広げなさい」と呼びかけ、信者たちは精神的に不安定な人々の受け入れ施設設立や、治療費を提供するためのバザーなども積極的に行い、この活動は今でも続いている。つまり、キリスト教徒が「心からお祈りします」と言うときは、祈願実現化のための具体的・実践的な行動が伴うのだ。彼らは決して、他力本願で「奇跡を起こしてくれ」と神に祈っているわけではなく、神の意図を自力で実行するための勇気を、祈ることによって神から授かろうとしているのである。

 このようなキリスト教徒の祈りに対する姿勢は、信仰のない人たちには全く理解できないだろう。リベラル派がテキサス人をあざけるのは、仕方のないことなのかも知れない。しかし、もしモスクが襲撃された後に、ムスリムたちが死者や被害者、遺族のために祈りを捧げたら、エリザベス・ウォーレン民主党上院議員は彼らを小馬鹿にしただろうか? もし仏教徒たちが殺されて、ダライ・ラマが「彼らのために黙祷を捧げよう」と言ったら、テッド・リュー民主党下院議員は黙祷を無視しただろうか?

 リベラル派の心ない言動によって、今回の乱射事件で保守派とリベラル派の溝がまたしても深まったことは間違いない。

 ちなみに、犯人を撃った教会の隣人がNRA(全米ライフル協会)の射撃インストラクターだったということもあり、「銃を持った悪者を阻止できるのは、銃を持った善人のみ」という保守派の信条はさらに強まり、テキサスでは信者の銃携帯を許可する教会が増加している。

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この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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