【Red vs. Blue】トランプ大統領、アメリカのパリ協定への参加も想定できる?

【Red vs. Blue】トランプ大統領、アメリカのパリ協定への参加も想定できる?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は、世界を騒がせた米のパリ協定離脱から7カ月後に、トランプ大統領が同協定の参加を想定できると発言したことについて。


 トランプ大統領は1月10日、ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相とホワイトハウスで会談を行なった。ノルウェーは石油とガスの埋蔵量が豊富な国でありながら、世界の炭素排出削減条約を批准した先進国で最初の国である。記者会見でソールバルグ首相は、「私たちはパリの目標を達成するために厳しい規制をしている。つまり環境に優しく、気候に優しい技術政策を行なっているということだ」と述べた。トランプ大統領は、エネルギー問題は会談の主要な課題ではなかったが、水力を利用したノルウェーの再生可能エネルギーによるビジネスチャンスの可能性に感銘を受けたと述べた。そして、パリ協定そのものには賛成だが、オバマ前大統領は「(アメリカにとって)よくない条件を受け入れた」と前大統領を非難。米国がパリ協定に再び参加することを想定はできるが、それには豊富な化石燃料を持つ国を罰しないという条件下でなければならないと語っている。
 昨年、米国がパリ協定から脱退すると発表して以来、世界は米国抜きで気候変動対策に取り組んでおり、米国は世界から取り残されつつあるとの見方もあるが、保守派とリベラル派の市民は、大統領の発言をどう分析するのか。

出典『USA Today』
U.S. could 'conceivably' re-join Paris climate agreement, Trump says
https://www.usatoday.com/story/news/politics/2018/01/10/u-s-could-conceivably-re-join-paris-climate-agreement-trump-says/1022118001/

[BLUE リベラル派] トランプは春、パリで注目を浴びたいのだろう

Trump Wants the Spotlight, and Paris In the Spring

 トランプ大統領は、アメリカはパリ気候協定を脱退すると言って自身を孤立させた。彼は、アメリカが取引から抜けることで共和党の支持者をなだめることができ、同盟国の中で米国をより強く見せられると思ったのだろう。実際には、協定脱退は世界から大変な不評を買うことになった。今、トランプは孤立を感じているのだろうが、責める相手は彼自身だ。

 トランプはパリ協定から脱退するという自分が下した決断の責任を負いたくないため、「オバマがパリ協定参加に署名した時に、悪い条件を受け入れた」と、オバマ前大統領を責めた。なぜなら、その条件がトランプの取り巻きである化石燃料関係企業各社の潜在的な収入を制限するように見えたからだろう。

 トランプはFOXニュースでの受けを良くするためなら、自分以外の誰でも非難する。彼は、アメリカがパリ協定に参加するためにお金を使ったという苦情まで言っている。だが彼は、「協定に戻る方法を見つけられれば、参加国としてアメリカが利益を得ることができる」ことがわかるくらいには賢いようだ。未来を左右する事柄を共に決定するグループの一員であることは、すべての国と共に働くことを拒否する世界で唯一の国であるより、はるかに良いはずだ。

[RED 保守派] 「想定できる」とは、その可能性があるという意味ではない

Conceivable is not the same as likely or even possible

 トランプ大統領は、米国が化石燃料の使用やその自然エネルギー資源へのアクセスで罰せられなければ、パリ気候変動協定に加わることも考えられる、と言った。これは、ノルウェー首相との議論において主要な問題ではなく、また同首相の訪問の焦点でもない。つまり、トランプ大統領は「想定できる」と言っただけなのだ。この単語(conceivable)を、可能性があるとか、可能だという意味と混同してはならない。

 Conceivableという単語には、次のような使い方がある。たとえば「地球の全ての生き物を払拭するに十分なほどの大きさの小惑星が、明日直撃すると想定すること(conceivable)はできるが、それが実際に起こる可能性は無限に小さい」とか、「北朝鮮が30日以内に武器を放棄して平和な統一を求めることをconceivableできるものの、実際に起こる可能性はない」などだ。このように世界では多くのことを想定できる(conceivable)が、それが実際に起こる可能性については、トランプは何も言っていない。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

【Red vs Blue】アメリカから見る「日本の少子化危機と日常生活への影響」

https://bizseeds.net/articles/626

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回は米ビジネス・インサイダーの記事、「日本の少子化の危機」を読んで保守派とリベラル派がどう感じたかを問うた。

パリ協定に関する記事

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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