アメリカでの交渉に必要なこと

アメリカでの交渉に必要なこと


 今月も読者から質問を頂いた。今回の質問は、「アメリカで初めての商談が決まりました。その交渉に向けて準備を進めていますが、どんな注意が必要でしょうか?」である。

 アメリカでの初めての交渉といわれても、業界や分野や製品・サービスによりけりであり、広範なテーマだ。以前、「アメリカでの営業はエレベーター・ピッチ」でも触れたが、アメリカでは順を追って、じっくり進める事はプラント・プロジェクト級の案件でない限り、あまりなく、オンオフでのやり取りが続き、要所では一気呵成に結論まで持っていくことが多い。

 一般的にアメリカでは、事前に起こり得ることのシナリオを想定し、仮説を立てながら作戦を練ってのぞむという傾向がある。シナリオ・ベースで選択した作戦の全ての手の内をテーブルに並べて、それぞれに対する相手の真意を汲み取りながら議論交渉を推進する。また、交渉の席には権限を委譲された意思決定者がのぞみ、なるべく「持ち帰り」の案件が出ないような状態を最初から用意するという背景もある。

 日米の共通点をあげると、顧客にメリットを提供することが重要であること。しかし両者の大きな違いは、アメリカの企業は投資家・株主寄り、日本は製品・技術・サービス(=顧客)寄りなことだ。我々も日々さまざまな交渉代行をしているが、日本企業がアメリカなど海外で最も苦労することは、相手に対してROI(return on investment)や金銭的な利益を提示することだ。これは相当に相手や市場について勉強し、さまざまな想定をして、それに対処できるように準備をする必要がある。その準備を端折って、我々は「日本の一流大企業と取引実績がある」と提示するだけではダメである。

 日本では、サプライヤーやベンダーが顧客に対していくつかの提案を絞り込み、顧客はそこから選択することが多く、「受け身文化」が浸透し、それに浴していると感じる。一方で、アメリカではピンポイントでやりたいことを明確に提示してくるケースが多いので、それに対して様々な工夫を凝らし、いくつかユニークなソリューションや対応方法を提示することがのぞまれる。

 最後に、日米における主な商談の流れとして力点が置かれる項目をブロックのサイズで下図のとおり示してみたので、大まかなイメージとして参考にして欲しい。

アメリカで成功する日本人の共通点

https://bizseeds.net/articles/330

これまで本稿では、三記事を執筆した。読者の方々から、今度はアメリカで成功する日本人の共通点について書いて欲しいと依頼されたので、たかがアメリカ在住30年弱のヒヨッコではあるが、そのトピックに関する私見を書かせて頂こうと思う。

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この記事の寄稿者

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。学生時代は日本起業家協会の学生会長を務める。伊藤忠商事大阪本社・宇宙情報産業機械部門に勤務後、1999年よりシカゴのアイティエー・インク (I.T.A., Inc.) にジョインし、2005年より社長。日本の産業分野における対米進出支援、商社業務、リサーチ・調査、IT/テクノロジー支援を中心にニッポンのアメリカ事業部としての支援プラットフォームを構築。また、米国マイノリティ承認を取得し、大手企業へのCSRの一環であるサプライヤー・ダイバーシティ向上を支援している。

米オバマ大統領直轄ホワイトハウスのアジアアメリカ・メンバー(2年間)、 経済加速化イニシアチブに参加。他にも5つの団体で幹部や理事、ジェトロ・コーディネーター等に従事。支援しているインターンは500名以上。

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