疑惑のセッションズ司法長官が共和党の懸念を調査する特別顧問を検討中

疑惑のセッションズ司法長官が共和党の懸念を調査する特別顧問を検討中


 トランプ大統領の長男が、昨年の大統領選中にウィキリークス(WikiLeaks)と連絡を取っていた事実が判明するなど、トランプ陣営とロシアとの関連疑惑において次々と新たな事実が浮上している。そんな中、ジェフ・セッションズ司法長官が、ロシアに関してより幅広い調査をするため、第二特別顧問を設置する考えを共和党上院議員へ報告した手紙を、ワシントン・ポスト紙が入手した。同長官が調査対象にあげた案件には、クリントン元国務長官の個人電子メールサーバー使用に関するFBIの調査や、オバマ政権時代のロシアとのウラン合意に関連してロシアのウラン企業がクリントン財団へ献金した件などが含まれる。

 セッションズ長官は、トランプ陣営とロシア疑惑の調査には自分は不適格なため関連しないと表明して以来、トランプ大統領から「自分を助けてくれないならば司法長官に任命しなかった」と不興を買っており、自身の解職を食い止める策ではないかと同紙は見ている。これをRedとBlueはこのニュースをどう分析するのか。

出典『ワシントン・ポスト』紙
引用元:Sessions considering second special counsel to investigate Republican concerns, letter shows

RED: クリントンの時代はついに終わった
“The Era of Clinton is finally over”

 最近、セッションズ司法長官の指揮下で司法省が、金銭的見返りのための政治的支援など数件の犯罪に関連したとされる17人の関係者に対して、連邦告発をするための最終的な準備を進めているという噂が流れている。告発の内容は主に、カナダの鉱業会社ウラニウム・ワンを通して、米国のウラン供給の20% をロシアのエネルギー・エージェンシーに販売することを承認したことに関わっている。

 オバマ前大統領とクリントン前長官による政治的腐敗は最悪で、あまりにも広範に影響しており、その全貌を明らかにすることは決してできないだろう。オバマと民主党に敵対する政治グループ、ティー・パーティーを標的にした国税庁の調査から、「ファースト&フュリオス」スキャンダル(メキシコのギャング取り締まり捜査で故意に武器を売り渡した事件)、クリントン前長官の機密情報取り扱いの誤りまで、すべては左派民主主義者の傲慢を指摘している。左派は自分たちの力に酔って、ヒラリー・クリントンが民主党の候補者である限り、米国大統領選勝利は保証されていると思い込んでいたのだ。その後、オバマ前政権によって犯された全ての犯罪は闇に葬られ、永遠に蓋をされた。

 その民主党がひとつだけ計算に入れていなかったのが、ドナルド・トランプの浮上だった。民主党予備選挙においてドナ・ブラジル議員とエリザベス・ウォーレン上院議員の2人がヒラリー・クリントンの行いを公然と非難した時点で、ワシントンD.C.の誰もがヒラリー・クリントンとその仲間の最後は近いことを知っている、という強いシグナルを送っていたのだ。


BLUE:ジェフ・セッションズは騒ぎに加わるのを拒んでいる
“Jeff Sessions Refuses to Join the Circus”

 右派は、民間ではストーカーとみなされる、ヒラリー・クリントンへの不健康な執着を今も続けている。下院司法委員会委員長のボブ・グッドラット氏は、ヒラリー・クリントン氏の事案に関して調査を2回行なった。トランプ大統領は、ジェフ・セッションズと司法省が「ヒラリー・クリントンを追求していない」ため、「非常に失望している」と述べた。これに対して、あのセッションズ長官は、大統領が政治的なライバルを標的にするのは「不適切」だと述べている。

 リベラル派がセッションズを認めるのは非常に稀なことではあるが、今回は彼を評価したい。この『ワシントン・ポスト』紙の記事が掲載されて以来、セッションズ司法長官は司法省によるヒラリー・クリントンの調査を承認することを拒否している。共和党のジム・ジョーダン氏は、クリントン氏の調査の特別顧問を任命するのに十分な証拠がある「ように見える」と長官に言ったが、セッションズは「見える」と言うのは、特別顧問を任命するのに十分な基盤ではないと答えた。

 トランプ氏は選挙に勝ったのだ。右派がライバルのヒラリー・クリントンに対する捜査権を繰り返し要求するのは、トランプ政権とロシアとの犯罪捜査から我々の目を逸らすための「余興」に過ぎない。

 一般投票においてクリントン氏に負けたことについて、トランプがまだ怒っていることはありえない(と思いたい)。しかし、トランプの支持率は現在35%であり、世間の注意を自身から切り離して批判をかわすために、彼は必死なのに違いない。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

将校には不人気? トランプ大統領、軍での支持率

https://bizseeds.net/articles/537

 波乱にとんだ大統領選挙から1年が過ぎ、トランプ大統領支持率を分析した記事が米メディア各紙でも多くみられるようになった。

トランプ大統領に関する記事 >

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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