畑を目指す若者たち  ミレニアルが都会の生活を捨てる日

畑を目指す若者たち  ミレニアルが都会の生活を捨てる日

アメリカでは農業を目指すミレニアル世代たちが増えている。高学歴、安定した収入と都会の暮らしを捨て、農業に従事する彼らの抱える現実とは?


若い農業従事者は高学歴

 アメリカでも「若者の農業離れ」は深刻な問題だ。そのこと自体が現時点で劇的に好転しているわけではないが、昨今、興味深い現象がみられるようになった。ミレニアル世代が農業従事を目指す動きが増えてきたのである。この事実が、アメリカの農業の在り方を今後大きく変えていくかもしれない。

 ミレニアル世代で農業従事を目指す人には、いくつかの特徴がある。まずは学歴が高いと言う点だ。米国農務省の最新農業統計調査によると、若い農業従事者で大学の学位があるのは全体の69%。大学卒業人口がこれだけのパーセンテージを占める業種は、他の職に比べて、かなり高い。また、彼らは地域密着型の農場に携わり、農薬や化学肥料を制限した安全な農作物を提供することに重きを置く傾向も高い。そのため、地産地消を目指す農家に多い、小中規模の農場に携わるケースがほとんどだ。こうした点から、今後その規模の農業成長に寄与する期待が持てると言える。

 2007年から2012年の間に25歳から34歳が経営する農家の数は、2.2%増加。特にカリフォルニア州、ネブラスカ州、サウスダコタ州などの州では、新規に農業を始めた人口が20%以上も増加している。また、オバマ前政権下で、農務省副局長を務めたジョージ・ワシントン大学フード・インスティテュートのキャサリン・メリガン氏が、その擁護団体であるNational Young Farmers Coalitionを通して実施した調査によれば、若い農業従事者は全くの新規であり、農業従事の家庭出身でないことも分かっている。

志は高くても、農業進出には厳しい現実も

 彼らの多くは、生産した農作物を「食のハブ」的な流通経路の中で販売している。収穫した農作物を同業者同士がまとめて保管、加工、販売することで、大規模農場と競争できる価格で食料品店やレストラン・チェーンに提供しているのだ。前述のメリガン氏の見解では、今後こうした流れは拡大する見込みだと言う。その証拠にウォルマートやSuperValu(スーパーバリュー)を含む複数の米大手スーパーでさえも、地産地消プログラムを取り入れ出している。

 環境、社会全体の利益などに価値を置くミレニアル世代の特徴らしく、「よりよいものを大切に生産し、社会の中の『つながり』という流れを活用して地域に貢献しながら自らも潤う」という志の高さが、このあたりにも見え隠れしている。しかし、現実はどうなのだろうか。

 若い農業従事者にとって、事業の立ち上げそのものが困難だという現実もある。彼らの46%は、大学を卒業するために組んだ学資ローンの債務を抱えている。仮にある程度ビジネスが上手くいっても、こうしたローンを返済しながら、新たな土地を取得して事業規模を広げ続けることは、困難も伴う。農地以外にも、トラクターなどの農業用具を整えるのにかかる費用も膨大だ。そのため、農家を営む若い世代の多くが、育児補助金や公的医療保険などの政府プログラムに依存しているという現状もある。

 『ワシントン・ポスト』紙が取材した若い女性農業従事者は、「好待遇の職を捨ててこの道を選んだのだから、社会にポジティブなインパクトを与えたい。けれども財政的には厳しい。今は目の前の状況をよくすることに集中しているので、事業の拡大は考えていないけれど、数年先のことは誰にも分からないでしょう?」と将来に希望をのぞかせていた。

 こうした世代が、これからアメリカの食糧生産をどのように変えていくのだろうか。

引用元:A Growing Number of Young Americans Are Leaving Desk Jobs to Farm

米国スタートアップ企業①ブランドレス「ミレニアル世代にはブランドは関係ない」

https://bizseeds.net/articles/318

購買対象者は「ミレニアル世代」、「全商品3ドル均一」の一般消費財を売るEコマース・サイト「Brandless」(ブランドレス)。「今の若者は商品が良ければ、ブランドにはこだわらない」という起業家のアイデアに投資家が賛同し、約5千万ドル(約55億円)を集めて昨年起業、先月サイトをローンチした。

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