アメリカに進出したいならば、その時は「今」

アメリカに進出したいならば、その時は「今」


 時が経つのは早いもので、私はすでにアメリカで通算30年近くビジネスをしている。しかし、それでもこの国の深さや凄さを理解するのは難しく、今でも日々が「学び」と思って精進を続けている。

 今回ご縁があってBizseedsに寄稿させていただくことになった。ブログや諸媒体を通じて、あるいは講演会などを通じて「アメリカとビジネスしよう!」をテーマに、日本からアメリカに進出を考える方々への情報発信を始めてだいぶ経つが、この連載でも少しでも役立つ情報をお届けしたいと思っている。今日はまず、そんな私の「自己紹介」をさせて頂きたい。

 1998年10月、私は日本で勤めていた総合商社を退職して渡米した。そしてシカゴを拠点にマーケティング・リサーチや日本企業のアメリカ進出支援、商社業務、テクノロジー支援などを提供してきた。とは言っても、アメリカに進出している企業はそれなりの規模の会社ばかり。中堅企業もしっかりとした会社が多く、ここ製造業の集積地のアメリカ中西部では難易度の高いお題をたくさん頂き、それらの仕事を通して徹底的にお客様に鍛えて頂いた。そして、ハイパーマニアックな各産業分野でのリサーチや販売代行、テクノロジーやビジネス代行業務を提供させて頂くうちに、いまでは川上の上流に位置するサービスプロバイダー企業各社からも仕事が頂けるようになった。そうした企業のマニアックぶりは、ほとんどの人が聞いたこともないような内容ばかりである。

 日本の皆さんは何千キロも離れた場所からアメリカ市場を見ているが、日本と海外(特にアメリカ)はまったくの別世界である。どこから説明したらよいかすら分からないほどの温度差もある。しかし、そのギャップを諦めずに縮めることが、私の使命のひとつだと思っている。

 私自身もさまざまな努力を続けてきたが、なかでも大きな進展が近年あった。アメリカでは企業市民、企業の社会的責任(CSR)の一環として重要視されている「サプライヤー・ダイバーシティー」というものがある。これは人種、国籍、性、年齢を問わず、企業が人材を活用する姿勢のことだが、弊社はその「マイノリティー承認」を取得することができた。アメリカが社会として重要視する認証を得られたことは、とても大きなことである。これにより、アメリカ在住の企業として、さらにアメリカの懐に入り込んでいくことができるだろう。こうした企業バックグラウンドを上手く活用し、もっと日本企業の役に立ちたいと思っている。

 日本には素晴らしい商材がたくさんある。日本企業にとって、今がチャンスなのだ。 世界のフォーチューン・カンパニーも、アメリカの先進ベンチャー企業も、成功している企業は日本の技術や製品をうまく取り込んでいる。もちろんアメリカに進出している企業やここで製造している企業が優先という流れが本流ではあるが(国家戦略としては当たり前の話だが)、あらゆるイノベーションが起こり、あらゆる海外リソースが押し寄せてきているアメリカでは、今を逃せばチャンスは希薄になるばかりだろう。アメリカに進出したいならば、その時は「今」に他ならない。

 ところが、日本人のアメリカにおけるビジネスの姿勢は理解されにくく、非常にもったいないことも多々ある。例えばアメリカ人で日本企業と接したビジネスマンの多くが戸惑うことのひとつに、日本企業の出稼ぎ体質があげられる。日本からアメリカに出張や赴任で渡米した人からビジネスの話を何度も聞き、ようやくニーズが生じたので連絡したら、すでに帰国してアメリカにはいなかったという話がある。アメリカのビジネスマンたちは、「彼は一体、何だったんだろう? 何をしに来たのだろう?」と不思議に思い、私もよくそれについて説明を求められる。

 せっかくアメリカに市場を求めても、現地の人間に「何をしに来たか」ということすら伝わらなければ、元も子もないだろう。日本企業はこの考え方を早く改めないと、他のアジア勢にアメリカ市場を席捲されてしまうかもしれない。多くの日本企業が目指すべきは「お客様状態」からの脱却だ。アメリカ市場において、厳しき真の仲間入りを狙う真剣な日本企業を支援するヒントになることを、毎月このコラムでお伝えしていきしたいと思う。

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