自立への道の「希望」を生む、ホームレス村

自立への道の「希望」を生む、ホームレス村

米オレゴン州のユージーン。リベラルなこの土地らしいホームレス村が誕生し、話題になっている。すべてを失い、絶望の淵にある人たちに最も必要なものは「希望」。そう考えるコミュニティーの取り組みとは?


必要なのは、施しではなく自立支援

 現在、全米にはホームレスが、50万人以上いると言われている。高額医療費による自己破産や、倒産、離婚などで深く傷ついた上、家を失ってしまったというホームレスたちの中には、つい少し前まで「ごく普通の暮らし」をしていた人も大勢いる。ほんの小さなきっかけで転落してしまった彼らは、絶望の淵で希望を失った状態にある。しかし、その「希望」さえ見出すことができれば、彼らの多くは再び自らの足で立ち上がることが出来るのだ。

 オレゴン州ユージーン市に誕生したホームレス村は、「誰の人生にもチャンスを」という願いを込めて、「Opportunity Villages」(チャンスの村)という名が付けられた。このコミュニティーでは、何よりも家を失った人のために「希望」を見出す手助けを大切にしている。ここを運営するのは「SquareOne Villages」という非営利団体だ。この団体は市内の空き地を借り上げ、そこに小さな家を建てて、ホームレスたちに住む場所を提供している。まずは映像を見てみよう。

「希望」というギフトが人々を真に救う

 この映像は、人道主義の活動家として知られる、Rob Greenfieldが制作したもの。彼が自らのフェイスブック・ページでこの動画をアップロードしたところ、あっという間に59万回再生、1,200以上もシェアがなされたことからも、この村への人々の関心の高さがうかがえる。これらの家は寄付で集められた資材を使い、ホームレスである当人たちと、多くのボランティアによって建設されたもの。現在、家の数は30軒。特徴は、「サステイナブル(持続可能)な暮らしの提供を基本とする」という運営側の姿勢だ。小さいながらも安全性、安定性、プライバシーが守られた空間を用意し、そのコミュニティーを利用するホームレスたちが共同で使える調理場、野外ダイニング・スペースなどを設置。利用者たちの食糧の確保などについても、コミュニティーの共有資産として自らが耕せる、小さな畑まで用意されている。

 「シェルター」や、いわゆる「炊き出し」のような、いわば「施しの形で行われる支援」ではなく、暮らす人々が共に助け合い、それぞれが自立を目指せる機会を大切にしている。彼らが行っているのは「希望」の創造なのだ。

 SquareOne Villagesはこの他にも似たようなコミュニティーを運営しているというが、こうした団体の姿勢に共感する人は多く、支援を申し出る人は後を絶たないそうだ。

SquareOne Villages ホームページ:https://www.squareonevillages.org/

住まいのない大学生たち 増加する若年層ホームレス

https://bizseeds.net/articles/284

 アマゾン・ドットコムやマイクロソフト本社、グーグルの支社などIT関連企業の進出により全米でも抜きん出て急成長中のシアトルは、ワシントン州キング郡最大の都市である。しかし、その成長の一方で、ホームレスという深刻な社会問題を抱えているのも事実だ。

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