「メリー・クリスマス!」と言いたい人は、どうすればいいのか?

「メリー・クリスマス!」と言いたい人は、どうすればいいのか?

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などを、ジョーンズ千穂がアーカンソー州より徹底紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。日本とは異なり、多人種から構成されるアメリカでは、12月の挨拶も一筋縄ではいかない……。


ホリデー・シーズンの正しい挨拶の仕方とは

 12月に入り、クリスマスムードいっぱいのアメリカ南部。

 デパートやレストラン、ビルディングから一般家庭の軒先までがクリスマスの装飾や電飾でキラキラ輝く、とても素敵な時期であり、人々の心もどこかウキウキしているのがうかがえる。

 日本は正月の三が日にお店が閉まることが多いが、アメリカ南部ではクリスマスにほとんどのお店が閉まる。毎年11月のサンクスギビング・デー(感謝祭)と同様、クリスマスは家族や親族が集まって共に過ごすホリデーであり、それに従い米各州に散らばって生活している家族が実家などを目指して大移動をするため、アメリカ国内中が帰省ラッシュとなり、高速道路は渋滞し、航空券が値上がりするので要注意な時期でもある。

 12月半ばになると、街で 「メリー・クリスマス!」と声を掛けられることが増える。アーカンソー州は敬虔なクリスチャンの多い「バイブル・ベルト」と呼ばれる地域でもあるので特にそうなのかも知れないが、この時期に周囲の人に「メリー・クリスマス」と声を掛けても、変な表情をされることはほとんどない。私がアジア人であるため、「ポリティカル・コレクトネス」を重んじる人、つまり職業・性別・人種・文化・人種・民族・宗教・障害者・年齢・婚姻状況等について、公平中立的な表現を使うべきであるということに、敏感または繊細な人や、もしくは「このアジア人の信仰する宗教は、仏教かも知れない」と先回りするような人は、私に向かって「ハッピー・ホリデーズ!」と声を掛けてくれることもあるが、ほとんどの場合、みんな笑顔で「メリー・クリスマス!」と声を掛けてくれる。

 「メリー・クリスマス」と言う代わりに、「ハッピー・ホリデーズ!」と言うのは、クリスマスの他にも、12月にはユダヤ教だとハヌカ、イスラム教だとイード・アル=アドハー(ヒジュラ歴)、アフリカ系アメリカ人だとクワンザ等のいろいろな祝日(ホリデー)を祝う人達がいるからである。

そこまで言うなら、仏教徒には何と声をかけるべきか?

 そもそも仏教にはクリスマスを祝う習慣はないので、12月下旬には仏教徒のホリデーはない訳だが、もしポリティカル・コレクトネスに繊細になるのであれば、「仏教徒に対して、ハッピー・ホリデーズと声を掛けるのも如何なものか?」と思う。しかも、アメリカには無宗教な人たちも意外と多い。無宗教の人達にとっても、12月に彼らのホリデーが特別にやってくる訳ではないので、本気でポリティカル・コレクトネスにこだわるのであれば、「その人達への配慮はどうなるのか?」という疑問が生まれる。

 そのため私は、「メリー・クリスマス!」と言われれば、「メリー・クリスマス!」と返答し、「ハッピー・ホリデーズ!」と言われれば、「ハッピー・ホリデーズ!」と笑顔でかわしている。当サイトのコラムニストである西森マリー女史の最新記事にも書かれていたが、「嬉しい気持ちを分かち合いたい」とか「喜びのおすそ分け」という相手からの純粋な思いやりの気持ちを無駄にすることなく、また自分の信仰する宗教を無下にすることもなくしたいものである。最近、アメリカ国内で目立つ意見のひとつに「クリスマスはキリスト教の習慣だから、他者に配慮してメリー・クリスマスと言うのはやめるべきだ!」とする一部の人達がいるが、彼らの動きには正直、私は違和感を覚える。クリスチャンが「メリー・クリスマス」と言えないのであれば、ユダヤ教の信仰者たちも「ハッピー・ハヌカ」とか言えないことになるではないか。

 私は、それぞれが信仰する宗教の教えは教義として大切にしつつ、宗教や文化の交流も盛んにして相互理解を深め、相手が嬉しい時には嬉しさを分かち合い、共に喜び、互いにハッピーになるのが一番大切なのではないかと考えている。幸せな人には、他の人を幸せにするパワーもあるのだ。またその逆に、ネガティブな人には他の人までネガティブに、暗くさせる作用もあると思う。

 最近のアメリカのポリティカル・コレクトネスはどんどん細かくなり、昨日までは「A」が正しかったのに、今日は「Aでは差別だ! 間違いだ!」だのと、とにかく非常に分かりにくくなってきている。もっとシンプルに、本当の意味で皆が幸せを感じながら1日でも多く過ごせるように、オープンマインドで他を受け入れる寛容性も人の心には必要なのではないかと考える師走である。

アメリカ南部でビジネスを成功させる「カギ」は、教会にあり!

https://bizseeds.net/articles/227

アメリカ南部の人々は人情深く、どんな小さな親切も心にとどめ、こちらが忘れた頃に必ず恩返しをしてくれる義理堅い人達だ。彼らの心は南部という土地の気候のように非常に温かく、他州や他国から来た観光客のことも親切に歓待してくれる。

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この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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