やたらと荷物の多いアメリカ人たち
私のアメリカ人の友人で、主に起業家を対象にした「プロフェッショナル・オーガナイザー」としてシリコンバレーで活躍している女性がいる。起業家は自分の才能を活かすことはもちろん、無駄なくシステム化された時間の使い方をしないとビジネスの成長は難しいため、彼女のサービスは常に繁盛している。
起業家のカンファレンスに出席する際、出席者は会場となるホテルに滞在することが多い。私もカンファレンスの際には、起業家の友人たちとルーミング(一緒に宿泊すること)し、夜遅くまでお互いのビジネスやライフスタイルについて語り合うことが楽しみのひとつでもある。連泊するにあたり、私もある程度の荷物を持っていくが、それとは比べものにならないくらいの多くの荷物を友人達は持参する。
ある友人は、たった3泊なのに半分ずつ使うクローゼットに靴をたくさん並べられていた。数えてみたら、スニーカーからヒールの靴まで9足もあって驚いた。朝5時にホテルにあるジムを使う際、毎朝、異なるスニーカーを履くためだという。アクセサリーも、「家にある物を全部持ってきたのでは?」と思うほどに山盛りに持参していた。
自家用車で来た友人は、朝に自分が飲むためのスムージーの材料からミキサーまで持参していた。また、バナナを20〜30本と水を1ダース持ってきたり、プロテイン・パウダーを詰め替えずに大容量の容器ごと持ってきたり、 有機野菜や果物を中心とした食事をガラスの入れ物に入れて毎食分を持参するほど食事に拘る健康志向の人などもいる。

とにかく、誰もがやたらと荷物が多い。日本人の感覚からすると、整理整頓能力が高いとは残念ながら言えない人が多いのは確かである。
整理整頓は得意な人に任せればいい
こんなに整理整頓が苦手な人たちのビジネスを成功に導くためには、この要素、つまり整理整頓に特化した専門家、プロフェッショナル・オーガナイザーが必要だ。日本ではあまり馴染みのない職業かも知れないが、個人のスケジュール管理だけを専門とする人たちも意外と多く、特にシリコンバレーでは、オーガナイザーのニーズは高い。
整理整頓が苦手な人たちのパソコンの中身や顧客情報の整理、経費や収支などのデータ整理はもちろん、私のように育児中の起業家には子供の学校や習い事などのスケジュール管理法から食事のルーティンまで、それぞれのニーズに合わせてサポートしてくれる仕事である。
強い精神と肉体を持たなければ、良い仕事はできない。日々のストレスや感情面に流されることなく、淡々と自分のルーティンをこなしながら、顧客が目指すゴール達成のためにあらゆるニーズに素早く対応できる、完璧と思えるほどの彼女の整理整頓能力には、いつも脱帽する。その仕事には、任せるだけの価値が明確にある。
プライベートに関わる部分であっても、自分の不得意とするところはお金を払って専門家へ委託し、ビジネスでより効率的なパフォーマンスを実現させることが米国流スタイルなのだ。

世界中から優秀なエンジニアが集まるシリコンバレー。そこで働くエンジニアたちとは、どんな人達だろうか?
高校卒業後に単身で渡英。ロンドンに4年間留学し、ビジネスを学ぶ。2003年に結婚。直後に渡米し、その後ロサンゼルスで起業。経営者、妻、一男一女の母、講師、一女性として様々な試練や失敗から学びながら、ビジネスの成功とプライベートな生活を両立させるという永遠のテーマを追求し、解決策の数々を個人でも実践している。
これまでに1,000人を超える経営者、起業家、個人事業主、企業の営業チームなどを対象にサービス向上と商品の売り上げを2倍以上に伸ばすためのサポートを提供。セールス戦略やリーダーシップ・セミナーなどをロサンゼルス、シリコンバレー、日本で開催している。