「一流」や「本場」から学ぶということ

「一流」や「本場」から学ぶということ

「ペンタゴン(米軍)式」はビジネスでも使える! メンタル・トレーニングを中心に、国防省現役キャリアの著者が知られざるペンタゴンの世界を紹介する『ペンタゴン式・心の鍛え方』。何かを習得したい時には、ボトムアップでコツコツ自分を試すだけなく、一流や本場と呼ばれる世界に体当たりしよう。


軍の訓練の実態とは

 「軍の訓練」と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「ブート・キャンプ」だろう。心身共に限界まで追い込み、自らを「創造しなおす訓練」として、軍に入隊したものは、誰もがこのキャンプを経験する。多くが「もう二度とあんなトレーニングはしたくない」と口々にするほど、ブート・キャンプは過酷だ。ろくに眠ることも許されず、毎日何時間も走らされ、身体を酷使し、少しでも気を抜けば怒号が響き渡る……。しかし、実際の戦場や被災地などは、訓練以上に悲惨であることがほとんどだ。何度もそうした現場を経験してきたが、「これでもか」と思うほどブート・キャンプで厳しくトレーニングされて丁度いいくらい、現実は厳しい。軍隊式訓練は総じて過酷だが、緊張下で機能する「自分」を作り上げるには、こうした実践訓練が何より相応しいのである。

  人は、一流や本場と呼ばれる世界で自らを磨いた方がいい。特に何かを習得しようとする際、基本を押さえてコツコツとスキルを積み上げることに加え、緊張感のある一流の現場で、自分を試す経験を積んだ方がいい。そうした場所で自分を試せない場合は、本物や一流といわれる現場をなるべく「見る」、「知る」ことが出来る、あらゆる努力をするべきだ。現場にいる人が書いた本を読んだり、講演会や勉強会に参加したり、現場を見学する機会があれば、そうした機会をすべて利用すべきである。「本物を知ることなしに、本物は目指せない」――これは軍での経験の中で習得した私自身の哲学でもある。

海軍が作った「海」のような巨大プール

 米軍の場合、「本物の現場」は実際の戦場や被災地になるため、「とりあえず経験してみる」というわけにはいかない。そのため、必然的に「本物に酷似した状態」を再現して行う訓練が増える。今まで経験した中で特に記憶に残るのは、核兵器と生物兵器が実際に使われたことを想定して行われた大規模な訓練だ。武器、防弾服、レーダーなどのツールに至るまで、実践のそれを使い、あまりの厳しさに「本当の戦場に投下されたのではないか」と何度も思えてしまうような緊迫感を味わった。訓練が終わった後も数日間は放心状態になったほど過酷だったが、その過酷さを忘れぬよう、何度も「イメージ・トレーニング」として、この経験を頭の中で再現せよと、当時の上司に指導されたこともよく覚えている。このイメージ・トレーニングもまた、トレーニングそのものの成果をさらに上げるために大変役立った。頭の中で何度も現場をリハーサルすることは、恐らくビジネス・シーンにおいてもプレゼンや、スピーチの席などに役立つものではないかと思う。

 この映像は米メリーランドにある「The Maneuvering and Seakeeping Basin」、通称「MASK」(“操縦および航海”の略)と呼ばれる海軍が所有する訓練プールを撮影したものだ。全長約103メートル、横幅73メートルの同プールでは、様々な天候を想定した海の波を本物のように再現することができる。主に機材をテストするためのプールで、海軍が水中で使うあらゆる機材をここでテストしている。米軍では緻密さを求められる訓練や実験ほど、このように本物に近い現場環境を整備するのである。

 機密のために外部には出せない情報も多いが、このように公共に出せる情報も米軍のホームページなどに掲載している。最新の技術があらゆるところに使われていることが、わかるだろう。

セルフレス(無私)の境地を手に入れる

https://bizseeds.net/articles/338

 軍隊経験を通して学べた最も貴重なことのひとつが、「人は一人ではない」ということだ。あまりにも単純で当然なことのようだが、ともすると人はそんな単純なことすら忘れてしまう。

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この記事の寄稿者

現役米国国防総省キャリア、サイバーセキュリティ・スペシャリスト。University of Washington卒。米空軍在軍中に、米国軍 事大学院で修士課程修了。その直後に 国防総省国防情報システム局入局。情報部隊のエキスパートとして、国防総省でも保有率わずか1%というサイバーテロスペシャリストのライセンスを取得。現在は国防総省、軍に籍を置きつつ、民間企業「ディフェンス・ディベロップメント・コンセプト社」をベースに、米、カナダ等でセミナー、コンサルティ ングなども行っている。日本、台湾等で書籍を出版した経験も。空軍での階級は少佐。

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