貧困救済も「クラウドファンディング」がトレンド

貧困救済も「クラウドファンディング」がトレンド

日本文学で博士号を修め、在米日本領事館での勤務経験もある日本通の著者が、日本人が今「知るべき」話題のアプリ、ソーシャルメディアなどを徹底紹介。マイケル・ラミレスの『アメリカ・トレンド情報局』。アメリカの年末年始の恒例と言えば「助け合い」。貧困層への手助けは、今やクラウドファンディングの利用がアメリカ流だ。


景気は今年も回復されなかった

 成功したビジネスマンとして知られるドナルド・トランプが大統領になった今年も、アメリカで景気が回復することはなかった。

 その証拠を示すもののひとつが、貧困層を救済するための「フード・バンク」や「フード・スタンプ」を利用する人々の増加があげられる。そして、困ったことにこの先も、さらに悪い予測しか立っていない。ガーディアン紙が驚くべき数字を掲載したが、ITの聖地でもあり、成功した金持ちばかりが暮らしていると思われがちなシリコン・バレーですら、状況は厳しいようだ。現地のフード・バンク「セカンド・ハーベス」の調べによると、シリコン・バレーでは4人に1人が貧困で食料危機に陥る可能性があるという。現在このフード・バンクが提供している1カ月あたりの食事は27万食。この数だけを見ると、今後、経済復活があるかどうかさえが疑問に思えてしまう。

 食べ物に困っている人だけではなく、ホームレスも増えている。私の住むシアトル近郊でもホームレスがとても増えて、寒い毎日をテントの中で暮らしている人を多く目にするが、年末年始こそ「困った人を助けよう」というのがアメリカ流だ。

貧困救済もクラウドファンディングで!

 貧困救済のためのプログラムは無数にある。教会やコミュニティーを通して行う街での募金活動、シェルターなどのホームレス貧困施設に出向いてのボランティアや炊き出しサポートなど、その形も様々だ。想像に容易いと思うが、最近ではそのスタイルも支援活動の現場も、ネット上に拡大している。特にクラウドファンディングを使った寄付金集めは、トレンドのひとつと言ってよいだろう。

 例えばちょっとユニークな例を紹介すると、ホームレスを支援するためのクラウドファンディングサイト「HandUP」では、今年「12 Days of Giving」というキャンペーンを実施している。12月12日から12日間にわたって、毎日異なる12のエリアを設け、ホームレス救済のための寄付が出来るというのがその内容。寄付を集めるエリアの内容は12日間毎日、当日になると発表される。この原稿を書いている現時点で7日分の内容が発表されたが、1日目の家族支援に始まり、就職支援、ホームレスのための住宅支援、ホームレスのための歯科治療支援など、支援内容は多岐にわたる。

 人を助ける手段や方法は様々だ。また、支援を求める人の理由も様々だ。そして貧困が今年も増大してしまった理由も様々だが、ひとつでも多くの問題を解決し、「貧困増加をさせない社会作り」については急務であり、優先順位のナンバーワンだと感じる。年の瀬、私自身もこれから支援する先を考えたいと思う。

HandUp ホームページ:https://handup.org/12daysofgiving

自立への道の「希望」を生む、ホームレス村

https://bizseeds.net/articles/566

米オレゴン州のユージーン。リベラルなこの土地らしいホームレス村が誕生し、話題になっている。すべてを失い、絶望の淵にある人たちに最も必要なものは「希望」。そう考えるコミュニティーの取り組みとは?

貧困層に関する記事 >

この記事の寄稿者

カリフォルニア大学バークレー校、大阪外国語大学大学院を卒業。2009年任天堂DSゲーム「ガールズ・モード」の編訳チームに参加、アプリ「DoggyDoc」の英語版ローカライゼーションを担当。2014年、現代日本詩集『トカゲのテレパシー、キツネのテレパシー』をChin Music Press社から出版。2016年には『京都・有次の包丁案内』(小学館) の翻訳チームにも加わった。現在アメリカ大手保険会社のリクルーターとして、目標達成術とモチベーション術を指導している。芸術、自己啓発系の文学を愛読し、日本文化にも造詣が深い。米国ワシントン州シアトル市に在住。

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