学生たちのスタディー・スペース 「みんな、どこで勉強しているの?」

学生たちのスタディー・スペース 「みんな、どこで勉強しているの?」

アメリカ東海岸の寄宿学校を卒業後、難関コロンビア大学バーナードカレッジに入学した日本の若者は、アメリカの若者をどう見るか? 次世代を動かすアメリカの姿を紹介する光田有希の『取説:アメリカの若者たち』。アメリカでは自主的に勉強する学生が多く、それぞれがお気に入りの場所があるようだ。勉強が捗るのは、どんな場所なのだろうか。


アメリカの学生達が好む場所

 日本の友達から、よく「いつも、どこで勉強しているの?」と、聞かれる。アメリカでの学生生活5年目にして改めて気づいたのは、アメリカと日本の学生向けスタディー・スペースの数とクオリティーの違いである。 「スタディー・スペース」とは、学生や社会人が勉強で利用する場所のことだが、日本とアメリカでは、同じ世代の若者が持つスタディー・スペースのイメージがかなり異なる。

 日本でスタディー・スペースとして人気なのは、カフェなど飲食の提供がある店だ。「このカフェは落ち着いていて、長時間勉強していても怒られない」、「コンセントがあるカフェに行きたい」などといった話をよく聞く。特に都市部では、カフェ好きな学生は多いだろう。

 一方、アメリカの学生が好むスタディー・スペースは、圧倒的に図書館だ。大学や公共の図書館は、日本のそれよりもはるかに充実している。その上、図書館の規模が日本よりも大きい場合がほとんどなので、学生たちは自分の学習ニーズによって図書館内の場所を変えたり、異なる図書館に移動したりすることも可能だ。

歴史や個性溢れる数々の図書館で

 アメリカの大学の図書館について私が驚いたのは、その施設の数と蔵書の充実度だ。実際、コロンビア大学には21もの図書館があり、その中には大学院や専門の図書館も多い。例えばエンジニア専門の図書館があったり、東アジアに関する書物を専門に所蔵する建物もある。もちろん本や資料目当てでその図書館を利用する学生もいるが、ひとつひとつのライブラリーが違った雰囲気を持っているので、気分や目的によって場所を変えることができるのも嬉しい。また、同じ図書館であっても、部屋やその中の区域によってルールや雰囲気が異なることもある。自分のニーズにあったお気に入りのスタディー・スペースを探すため、学生たちは入学して最初の数週間はいろんな図書館やスペースを利用する。「この部屋は静かすぎる」とか、「もっと自然光があるところがいい」といった個人の好みも、選択肢がたくさんあるからこそ言えるわがままなのかもしれない。

 こんなにも図書館の数やバリエーションが多いというのに、期末前や週末ともなれば、人気のスペースや部屋はすぐに満席になる。24時間オープンしている図書館でも、夜遅くにいい席を見つけるのはなかなか難しい。座る場所を見つけられない「スタディー・スペース難民」は、図書館の通路に座って(本でも読みながら)辛抱強く席が空くのを待つか、さもなければ肩を落として部屋に戻ることになる。

 私の通っていたボーディング・スクール(寮のある学校)でも感じたことだが、アメリカ人にとってスタディー・スペースの充実度は、学校を選ぶ上でとても重要なポイントだ。大学の見学ツアーでも、図書館の説明や、どこで勉強する人が多いかなどの情報はしっかりと提供される。歴史ある図書館や建物は外見も壮麗で美しく、学校のシンボルになることもある。なかでも私が一番驚いたのは、イエール大学にある冷戦中に建てられた図書館だ。どこかのカテドラルを思わせるような荘厳な図書館だが、それは原子爆弾にも耐えられるよう地下深くに建造されていた。長い歴史を持つ大学には、時代の流れに左右されながらも、今なお愛される図書館があるのだ。

 お金を出さないと利用できないカフェなどではなく、学生証さえあれば24時間利用できる図書館を、日本ももっと充実させたらどうだろう。

アメリカの若者に人気の浪人生活?! 「ギャップ・イヤー」って何?

https://bizseeds.net/articles/337

 「浪人生活、大変だったね」、「三浪してまで国立大学を目指して凄いね」。こんな言葉が日本の大学生や受験生の周りではよく飛び交っている。浪人生たちは予備校に通い、翌年の大学受験を目指す。浪人する……。

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この記事の寄稿者

1997年生まれ、21歳。東京都出身。青山学院初等部・中等部を卒業後、米国バージニア州の女子校、St. Margaret’s Schoolに2年通う。2015年にコネチカット州のWestminster Schoolに転校し、卒業。現在はニューヨークにあるコロンビア大学・バーナードカレッジにて都市計画と国際関係、教育を専攻し、国際貢献の分野を志している。

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